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星空案内はこちらのPDFファイルと一緒にお読みください

 いよいよ夏本番。この夏は連日たいへん暑い日が続いています。それでも、日が沈み夜が更けてくると気温も下がり、明るい星の多い夏の星空が美しい季節です。午後9時ごろの星空のようすを見ると、天頂から西の空には、おとなしめに光る春の星座が輝いています。北西の空の中ほどには北斗七星が見えています。北斗七星は星座ではなく、おおぐま座という星座の一部になります。おおぐま座には、3月のこのページで紹で紹介したM81M82や、昨年4月のこのページで紹介したM97M108など、小望遠鏡でも楽しめる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。

 北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルス(約37光年)・おとめ座スピカ(約260光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。8月10日にはこのスピカを月が隠す現象も見られます。
 その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、5月のこのページで紹介した球状星団M3や、2019年5月のこのページで紹介したM51M63といった銀河があります。また、その南のかみのけ座やおとめ座には、6月のこのページで紹介したおとめ座超銀河団もあります。また、うしかい座から少し高い空に見えるヘルクレス座には、先月のこのページで紹介したM13があります。


こと座の惑星状星雲M57のシミュレーション画像
80倍くらいの倍率で見るとこのように見えます
比較的明るく見つけやすい星雲で、小望遠鏡から十分楽しめます

セレストロン Nexstar+での導入方法
「3」(Deep Sky)キー→メシエ
→「57」をキーパッドから入力

Sky-watcher Gotoドブソニアン
Sky Explorer SE-GTでの導入方法
「4」(M)キー→
→「57」をキーパッドから入力

Meade オートスターでの導入方法
Object→Deep Sky→Messier Objects
→「57」をキーパッドから入力

双眼鏡や天体自動導入でない望遠鏡での見つけ方はこちら

 一方、南の空から空の高いところを見てみると、明るい星の多い夏の星座が見えています。天頂近くに、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座デネブ(2600光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。

 その夏の大三角のひとつ、こと座の中には、M57と呼ばれる星雲があります。地球から2150光年の距離にあり、今から約2000万年前に中心にある星が星の一生を終え、放出されたガスがリング状に広がっていく過程が見えているのです。中心にはこれからガスを放出しきって死んで行くであろう白色わい星も見ることができます。

 この種の、小さく円形に広がった星雲のことを、惑星のように見えることから「惑星状星雲」と呼んでいます。このM57は、その中でも比較的明るい星雲で、8cmクラスの望遠鏡でも簡単に見ることができます。50倍くらいからその形をとらえることができるようになり、100倍くらいでリング状のかわいい姿をみることができます。

 もうひとつ、M57から少し離れた夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところに、アルビレオという星があります。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にも出てくる名前で、肉眼ではひとつの星に見えますが、望遠鏡で見ると2つの色の異なる星が寄り添って、とてもきれいな二重星です。地球から380光年の距離にあって、30万年という長い周期でゆっくりとまわりあっている星です。

 このアルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中にには、2022年8月のこのページで紹介したM27と呼ばれる星雲や、2023年9月のこのページで紹介した球状星団M71もあります。


はくちょう座β星アルビレオのシミュレーション画像
50倍くらいで見るとこのように見えます
色の対比のとてもきれいな二重星です

セレストロン Nexstar+での導入方法
「2」(STARS)キー→名前のついた星
→「アルビレオ」を選択

Sky-watcher Gotoドブソニアン
Sky Explorer SE-GTでの導入方法
「8」(OBJECT)キー→「恒星」
→「はくちょう座ベータ星」を選択

Meade オートスターでの導入方法
Object→Star→Named
「Albireo」を選択

 夏の大三角からさらに南の空の低いところに目を移すと、少し西寄りの空にさそり座アンタレス(620光年)が見えています。さそり座には、アンタレスのすぐ西にある球状星団M4や、2012年7月のページで紹介したさそりのしっぽの毒針の先あたりにあるM6M7という2つの散開星団があり、いて座にも2014年8月のこのコーナーで紹介したM11M8など、たくさんの星雲星団があります。

 この方角は私たちの天の川銀河の中心方向にあたるため、明るく太い天の川が見えます。宵空に見えるのは8月〜9月ごろになりますが、夜半過ぎに空の高いところに見えるいまごろの季節のほうが、温度変化が落ち着いて大気の状態が良くなるので、よりはっきりと見ることができます。是非月明かりのない日に、空の暗いたころに出かけて見てみてください。きっと宇宙の広がりを感じることができるはずです。


夏の天の川
25mmF1.8レンズ
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ
8秒露出
長野県野辺山高原にて撮影

 さらに東の空の低いところに目を向けると、周りに明るい星が少ないところに、今年はぽつんと黄色っぽい明るい星が見えています。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。 土星は9月9日に「衝」を迎え、これから観望の好期を迎えます。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 この輪は、土星の直径(約116,000km)に対してわずか20mの厚さしかない円盤のため、地球から見て真横になったときと太陽に対して真横になったときには、見かけ上輪が消えたように見える現象が起こります。次に土星の輪の消失が見られるのは来年3月24日と5月7日で、それに向けて日に日に輪が針のように細くなっていく様子を見ることができます。

 さらに夜半過ぎになると、東の空から2つの明るい星が昇ってきます。金色にとても目立って見えている木星と、そのすぐ近くに不気味に赤く輝く火星も見つかるはずです。8月15日には、この2つが望遠鏡の同一の視野で見えるほどまで見かけ上大接近する様子を見ることができます。
 火星は、来年1月12日の最接近に向けて、ゆっくりと地球に近づいています。今月の火星までの距離は光の速さで約12分で、まだ望遠鏡で見てもとても小さく見えますが、是非この機会に火星を観察して、日に日に大きくなる火星の様子をご自身の目で確かめてみてください。
 木星のほうは、光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。


Nexstar Evolution 6-Jで撮影した土星
MZT824RF ズームアイピース使用
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ
2024年8月3日撮影 
同時に撮影したMP4動画はこちら(7.4MB)

セレストロン CPC1100-J撮影した火星
MZT824RF ズームアイピース使用
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ


セレストロン CPC1100-J撮影した木星
MZT824RF ズームアイピース使用
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ
 火星・木星・土星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。

 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

 もう一つ、8月の天文現象の中で忘れてはいけないのが、12日の夜(13日の明け方)に見られるペルセウス座流星群です。今年のペルセウス座流星群は月も比較的小さく、たいへん良い条件で見ることができそうです。極大は12日の23時ごろと予想されているので、最も良い条件で見られるのは12日の夜(13日の明け方)ですが、その前後数日もたくさんの流れ星を見ることができるはずです。


今年のペルセウス座流星群の見える状況
クリックすると拡大します
8月13日午前3時ごろの北東の空の様子

 流星群を見るときには、なるべく近くに建物や高い山や森などの無い開けた場所で、まわりに街灯や照明などが少ない空の暗い場所を選んでください。また、流星は双眼鏡や望遠鏡を使ってみるものではなく、皆さんの目で空を見上げて見つけるものです。グラウンドシートなどを広げて、寝ころがって空をぼーっとながめているのが、もっとも流れ星を見つけやすい方法です。

 この時間になると、空の高いところにアンドロメダ座アンドロメダ大銀河M31おうし座プレアデス星団M45も見えるようになり、東の空からはもう冬の星座のオリオン座なども見えるようになります。流星探しをしながら、是非望遠鏡や双眼鏡も使って、移り行く星空を楽しんでみてくださいね。

●このコーナーより商品をお申し込みの場合、代金のお支払いはクレジットカード・Amazonアカウント・Yahoo!ウォレット・代金引換・銀行振込・郵便振替・コンビニ決済(NP後払い)・ショッピングクレジット(分割払い)がお選びいただけます。はじめてご利用の方や、決済方法など詳しいことをお知りになりたい方は、こちらのページをご覧ください。

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