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早くも1月が過ぎてしまいました。この冬は地球温暖化の影響でなかなか良い空が見られない地域もありますが、晴れた夜には明るい星の多いにぎやかな冬の星空が広がっています。 |
この冬の宵空では、空の高いところに金色に輝く星が見えます。この星は木星です。木星は昨年11月3日に「衝」を迎え、今が観望の好期です。木星までの距離は光の速さで約40分かかります。木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。 |
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夜も深まる午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空に低くなった木星の北(右)の空には、まだ秋の星座のアンドロメダ座が見えています。アンドロメダ座には、昨年11月のこのページで紹介したアンドロメダ大銀河M31やNGC891・2022年10月のこのページで紹介した二重星アルマク・2008年10月のこのページNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。 アンドロメダ座の北側には小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座があります。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。 そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、空のきれいなところであれば天の川の中に肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した二重星団です。 |
さらに南の空に目を向けると、明るい星が多い冬の星座が見えています。今年木星が輝いているのはおひつじ座で、木星の右上に赤っぽく輝くのはおうし座のアルデバラン(65光年)です。この付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。さらに、アルデバランやヒアデス星団より少し北(右)の空に、都会の明るい空でも肉眼でも数個の星がごちゃごちゃっと集まっているのを見ることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した「すばる」ことプレアデス星団M45です。 |
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そのおうし座より空の高いところには、黄色く輝くぎょしゃ座のカペラ(42光年)が見えています。ぎょしゃ座には、先月のこのページで紹介したM36・M37・M38の3つの散開星団があります。 さらにぎょしゃ座の東には、ふたご座のポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えています。このふたごは、ギリシャ神話では大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた双子の兄弟と言われています。 そのふたご座のお兄さんのカストルの足もと、オリオン座との境界付近に、M35という散開星団があります。地球からの距離は2570光年と比較的遠い星団ですが、いろいろな明るさの星がたくさん集まって、望遠鏡はもちろん双眼鏡でもとてもきれいに見える星団です。 |
冬の天の川 マイクロフォーサーズミラーレスカメラ 7.5mmF2魚眼レンズ 15秒露出 長野県野辺山高原にて撮影 |
一方、南の空には、冬の星座の代表オリオン座のベテルギウス(約600光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座のプロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。オリオン座には、先月のこのページで紹介したオリオン座大星雲M42があります。また、おおいぬ座には、2014年の2月のこのページで紹介した散開星団M41があります。 周囲に街灯等がなく、空のきれいな場所に行くと、天頂付近のぎょしゃ座から冬の大三角を貫くように、淡い光の帯が続いているのを見ることができます。これが天の川です。私たちの太陽系は、私たちの天の川銀河の中心から少し離れたところに位置していますが、冬の天の川は、円盤状になっている天の川銀河の中心とは反対の方向を見ていることになり、中心方向にあたる夏の天の川より細く淡く見えます。それでも、双眼鏡や望遠鏡で見てみると、これまで紹介してきたもの以外にも、たくさんの星雲や星団を見ることができます。 その冬の天の川の中、おおいぬ座のシリウスの少し東にあるのが、とも座にあるM46とM47です。東側(右の写真の左側)の暗い星がたくさん集まって見えるのがM46で、地球から約5,300光年の距離にあります。西側(右の写真の右側)の比較的明るい星がざらざらと集まって見えるのがM47で、地球から約1,600光年の距離にあります。この距離の差が、見かけの明るさや広がりと大きく関係しています。 さらにM46の中を良く見てみると、星団の中の上(北)のほうに、魚のめだまのように見える小さな星雲があるのに気づくでしょう。これはNGC2438という惑星状星雲です。約2,900光年の距離にあり、M46よりずっと手前にある天体なので、M46を構成する星とは直接関係はなく、たまたま星団の手前に見えているわけです。 このようにして、宇宙を立体的に考えながら天体を見てみると、私たちの地球が置かれている状況を目で感じ取ることができるのではないと思います。 |
とも座散開星団M46・M47 セレストロン Nexstar Evolution 6-J + Hyperstar マイクロフォーサーズミラーレスカメラ 15秒露出 栃木県太平山にて撮影 8倍クラスの双眼鏡で見てみると、 ちょうど2つの星団をひとつの視野に見ることができます |
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一方、冬の大三角をずっと南にいった、水平線ギリギリに見えるカノープスという星をご存知でしょうか?。全天で最も明るいおおいぬ座のシリウス(-1.6等星)に次いで2番目に明るい-0.7等星で、地球からの距離は310光年。シリウスは8.7光年とかなり近い星なので、それと比較するとカノープスは絶対等級(実際の星の明るさ)は-5.48MV(シリウスは+1.47MV)と、とても明るく質量の大きな星です。 ここまで書くと、ただの明るい星じゃん?という感じですが、この星はりゅうこつ座という日本からはほとんど見えない星座にあるため、実は見るのがとても難しい星です。理論上は東北以北ではまったく見ることができず、関東では南の空が水平線近くまで開けている場所で、なおかつ透明度が良い日でなければ見ることができないのです。 |
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カノープスは、中国南部などの道教の地域では、「南極老人星」と呼ばれています。水平線から赤みがかった色でよろよろと昇ってくるように見られることや、見られる時期と時間が限られていることから、このような神格された名前が付けられているようです。この星が見られると長生きできるなどという言い伝えもあるそうです。 |
夜も更けて明け方5時ごろになると、空はすっかり春の星座が見えるようになります。春の星座は明るい星が少ないのですが、この冬の明け方の東の空には、明けの明星の金星が輝いています。今月の金星までの距離は光の速さで約11分で、6月4日に太陽の向こう側を通過する外合に向けて、少しずつ地球から遠ざかっているところです。今年の春先までは、明けの明星として見ることができます。 |
Sky-watcher AZ-Go2 MAK127で見た昼間の金星 マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影 |
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