いよいよ今日から6月です。梅雨入りが早かった昨年とは違い、北海道でもすでに夏日を記録するなど、すでに梅雨入りしている沖縄・奄美地方以外では、概ねよい天気に恵まれています。
6月ごろの夜空は、例年ですと明るい星が少なくおとなしい季節なのですが、今年は、肉眼で見える3つの外惑星(地球の外側を周る惑星)が宵空に勢ぞろいしていて、とてもにぎやかな星空になっています。太陽が沈んだ後の西の空には、今日の一番星となっている木星が見えます。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
その木星が沈む午後9時ごろの星空のようすを見ると、空の高いところにおとなしめに輝く春の星座を見ることができます。西の空の中ほどに、春の夜空では数少ない一等星、しし座のレグルスがあります。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。 そのうちのいくつかには、小望遠鏡でも見える明るい銀河があります。3月のこのページで紹介したM65・66もそれらの銀河のひとつです。
しし座から、今度は目を北の空に向けてみると、春の星の中でも特に目立つ北斗七星があります。北斗七星は星座ではなくおおぐま座という星座の一部になります。おおぐま座には、先月のこのページで紹介したM81とM82の2つの銀河があります。北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座のアークトゥルス(約37光年)・おとめ座のスピカ(約260光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、4月のこのページで紹介したM3という球状星団があります。
さらに春の大曲線をたどっていくと、終点にあたるスピカより少し高い空に、不気味な存在感で赤く明るく輝く星が見えています。この星が火星です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。
現在、火星までの距離は光の早さで約7分で、4月15日に再接近しました。今回の接近は2003年ほどの大接近にはなりませんが、火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、いち早く自分の目確かめてみませんか?。
●2003年の6月・7月・8月・9月のこのコーナーでは、火星についてより詳しくコメントしています。興味のある方は是非ご覧ください。
Meade LX200-25で撮影した火星
スピカや火星よりさらに低い空には、もうひとつ黄色く光る明るい星が見えます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
これらの惑星は、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
20cmクラスの望遠鏡で見た土星
一方、東の空にはもう夏の星座が見えています。空の中ほどに、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座のベガ・わし座のアルタイル・はくちょう座のデネブで作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」と「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。
その夏の大三角より少し空の高いところに、3等星でできたアルファベットの「H」を横にしたようなの形の星の連なりを見つけることができます。これがヘルクレス座で、この中にはM13と呼ばれる球状星団があります。地球から23,500光年の距離にある天の川銀河(私たちの銀河系)の中の天体で、球状星団という名前の通り星がボール状に集まったもので、年老いた星がお互いのエネルギーをもとめて集まってきている様子と考えられています。天の川銀河の外側を取り巻くように存在する天体で、いまだに謎の多い天体のひとつです。
ヘルクレス座の球状星団M13のシミュレーション画像 20cmクラスの望遠鏡で見るとこのように見えます 7cmクラスの望遠鏡では、ぼーっとした光のしみのように見えます
Meade オートスターでの導入方法
もうひとつ、夜が更けた明け方の空にも、是非見て欲しい星があります。朝3時前に東の空に見える明けの明星の金星です。金星は、昨年12月の下旬までは夕方の西の空で宵の明星として見えていましたが、1月11日に太陽と地球の間を通過する内合を迎え、今年の前半は明け方の空に輝くようになります。今月の地球から金星までの距離は約10分で、だんだんと地球から離れていっています。金星を天体望遠鏡で見てみると、左の写真のように月のように欠けている様子がわかります。
このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
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