星空案内はこちらのページと一緒にお読みください

 いよいよ3月。この事務所のある埼玉近辺では、梅がちょうど見頃となっています。梅の花は紅梅・白梅といった色の違いから、花の咲き方や枝の広がり方など、実に様々なものがあります。どの花よりもいち早く、春の訪れを感じさせてくれる花ですね。

 星空の方も、3月になると冬の星座から春の星座へと移り変わっていきます。3月の夕方の空には、金星が太陽の沈んだ後の低い空に見え始めます。昨年3月までの間も、同じように西の空の高いところに見えていた金星ですが、去年はその後ずっと明け方の東の空に「明けの明星」として見えていました。今年は、このまま10月ごろまで「宵の明星」として私たちの目を楽しませてくれることでしょう。
 金星は、地球の内側をまわっている惑星で、このような惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、大きさと明るさが大きく変化します。その様子はこちらのページで解説しています。

 金星が西の空に沈み、夜も更けた午後9時ごろの星空のようすを見ると、見ると、宵の西の空には冬の星座がにぎやかに輝いています。北西の高いところに見える明るい一等星がぎょしゃ座カペラ(41光年)です。ぎょしゃ座には2008年1月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。

 ぎょしゃ座の南には大神ゼウスが化けた白い牛の姿を描いたおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(60光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。一方、もう少し空の高いところに見える数個の星がごちゃごちゃっと集まって見えるところが、1月のこのページで紹介した「すばる」ことプレアデス星団M45です。

 おうし座の南には、冬の星座の王者オリオン座ベテルギウス(310光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座プロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。おおいぬ座には、2004年の1月のこのページで紹介した散開星団M41があります。

 その北側にはふたご座ポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えてきています。ギリシャ神話では大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた双子の兄弟と言われています。ふたご座にも、2004年3月のこのページで紹介したM35という散開星団があります。

 さらに目を空の高いところに向けると、春の星座が輝いています。冬の星座と比較すると明るい星が少ない春の星座ですが、今年は空の高いところに明るい星が一つ光っています。ふたご座のポルックスとカストルの隣に、不気味に赤く光る星が火星です。今月の火星までの距離は、光の早さで約7分で、1月28日に地球に最接近しました。火星は、私たちの地球の直径の約半分の大きさしかないため、今回のように接近したときにしか、表面の模様をみることができません。是非この機会に望遠鏡を使って火星を見てみてください。

 もうひとつ、都会の街明かりの中では少し見つけにくい星座ですが、いま火星が見える付近の3等星数個が逆Y字に連なっている星座がかに座です。双眼鏡や望遠鏡で探してみると、そこには2003年の4月のこのページで紹介したプレセペという散開星団があります。

Meade LX200-25で撮影した火星

 その火星より少し低いところには、春の夜空では数少ない一等星のレグルス(72光年)が光るしし座が見えています。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。2005年5月のこのページでも、M65・M66というふたつの銀河を紹介しています。

 そして、そのしし座の下からは、もう一つ明るい星があがってくるのが見えます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星は3月23日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、今が最も良く見える時期です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 火星や土星は、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

 このページで紹介している星雲星団や土星の輪は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

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