いよいよ今日から6月です。今年は関東甲信越以西ではすでに梅雨入りしてしまい、曇り空が憂鬱な毎日がはじまっています。そんな梅雨空ではあるものの、今月は2日の部分日食と16日の皆既月食の2つの大きな天文現象もあります。特に16日の月食は全国で見ることができます。もし天候に恵まれたら、是非早起きしてみてみてください。
そんな梅雨空でも、雨の合間に見える晴れの日は、夜空もとてもきれいに見えます。午後9時ごろの空の様子を見ると、西から南の空にはおとなしめに輝く春の星たちを見ることができます。西の空の中ほどに、白っぽくおとなしめに光るのが、春の夜空では数少ない一等星、しし座のレグルスです。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。 そのうちのいくつかには、小望遠鏡でも見える明るい銀河があります。昨年3月のこのページで紹介したM65・66もそれらの銀河のひとつです。
しし座から、今度は目を北の空に向けてみると、暗い星が多い春の星座の中ではとても目立つ北斗七星があります。北斗七星はおおぐま座という星座の一部です。おおぐま座にも、先月のこのページで紹介した小望遠鏡でも見ることができるM81・M82をはじめとした銀河がたくさんあります。
北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座のアークトゥルス・おとめ座のスピカへと続く春の大曲線の一部としても使われます。その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、4月のこのページで紹介したM3という球状星団があります。
さらに、その春の大曲線の終点のスピカとしし座との間に、もう一つの明るい星が見えます。この星は土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
土星は4月5日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、今が最も良く見える時期です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
土星の少し西におとなしく光っている白い星は、春の夜空では数少ない一等星、おとめ座のスピカ(270光年)です。
さらに夜が更けて、午前2時ごろに東の空を見ると、金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
さらに明け方、日の出1時間前の午前3時ごろになると、明けの明星の金星も昇ってきます。今月の金星までの距離は、光の早さで約13分で、少しずつ地球に近づいてきています。
金星や水星を望遠鏡で見てみると、右の画像のように月のように満ち欠けをしていることがわかります。このように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、大きさと明るさが大きく変化します。その様子はこちらのページで解説しています。内惑星は地球からの見かけ上、太陽に近いところに見えることが多く、夕方と明け方のわずかな時間しか見ることができない非常に見つけにくい惑星です。
さらに、その金星と木星の中間付近に、不気味に赤く光る星が火星です。今月の火星までの距離は、光の早さで約18分で、2月に地球から一番遠ざかったあと、再来年1月の小接近に向けてゆっくりと近づいてきています。
このように、惑星たちはそのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
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