ゆううつな曇り空が続いた梅雨も終わり、いよいよ夏本番!。この夏は例年より少し早めの梅雨明けとなり、7月後半からとてもよい天気が続いていますね。毎日毎日暑い日が続いていますが、真夏の太陽が照りつける昼間とは打って変わって、涼しくなった夜の空には、美しい星たちが待っています。
この夏、太陽が沈んだ後の西の空には、2つの惑星が輝いているのが目に付きます。北西の空に目だって見える北斗七星の柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座のアークトゥルス(36.7光年)・おとめ座のスピカ(260光年)へと続く春の大曲線の行き着いた先に、今年は2つの明るい星が輝いているのが見えます。スピカのすぐ上で黄色く光る明るい星は土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
20cmクラスの望遠鏡で見た土星 デジタルカメラで撮影
もうひとつ、スピカより西側の少し低い空に、不気味な存在感で赤く明るく輝く星が見えます。この星が火星です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。
現在、火星は光の早さで約15分で、3月5日に再接近したあと、少しずつ地球から遠ざかっています。今回の接近は2003年ほどの大接近にはなりませんでしたが、火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、いち早く自分の目確かめてみませんか?。
●2003年の6月・7月・8月・9月のこのコーナーでは、火星についてより詳しくコメントしています。興味のある方は是非ご覧ください。
これらの惑星たちが西の空に低くなる午後9時ごろの星空のようすを見ると、春の大曲線の途中にあったアークトゥルスからさらに高いところに目を向けると、2010年7月のこのコーナーで紹介した球状星団M13があるヘルクレス座や、その南に見えるへびつかい座が、少しおとなしめに輝いているのをみることができます。 このへびつかい座の南に、赤く輝く一等星が見つかるはずです。この星がさそり座のアンタレス(550光年)です。さそり座には、先月のこのコーナーで紹介した散開星団M6・M7があります。
街中の夜空ではなかなか見ることができませんが、夏休みに都会から離れた山の上や海辺などで夜空を見上げると、夏の大三角を貫いて南の地平線にむかって、淡い光の帯を見ることができます。これが「天の川」です。実際に見たことが無いという方も多いと思いますが、夏の天の川は他の季節に比べて濃くはっきりと見えます。アウトドアやキャンプなどで昼間体を動かした後、食後のひとときに是非機会を作って夜空を見上げてみてください。
その天の川が特に濃く明るく見えるのが、さそり座やいて座のある方向。ちょうど今の時期の真夜中ごろに真南の空に見えてきます。この方角が、私達の天の川銀河の中心の方向になります。私達の地球がある太陽系は、天の川銀河の中心から少し離れたところにあります。このため、中心方向を見ると、たくさんの星が集まっている様子を見ることができるのです。
こと座の惑星状星雲M57のシミュレーション画像 80倍くらいの倍率で見るとこのように見えます 比較的明るく見つけやすい星雲で、小望遠鏡から十分楽しめます
望遠鏡での導入方法はこちら
さそり座から、天の川に沿ってさらに空の高いところに目を移すと、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座のベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座のデネブ(2000光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」と「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。
その夏の大三角のひとつ、こと座の中には、M57と呼ばれる星雲があります。地球からの2150光年の距離にあり、今から約2000万年前に中心にある星が星の一生を終え、放出されたガスがリング状に広がっていく過程が見えているのです。中心にはこれからガスを放出しきって死んで行くであろう白色わい星も見ることができます。
この種の、小さく円形に広がった星雲のことを、惑星のように見えることから「惑星状星雲」と呼んでいます。このM57は、その中でも比較的明るい星雲で、8cmクラスの望遠鏡でも簡単に見ることができます。50倍くらいからその形をとらえることができるようになり、100倍くらいでタバコの煙のわっかのようなかわいい姿をみることができます。
もうひとつ、M57から少し離れた夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところに、アルビレオという星があります。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にも出てくる名前で、肉眼ではひとつの星に見えますが、望遠鏡で見ると2つの色の異なる星が寄り添って、とてもきれいな二重星です。地球から380光年の距離にあって、30万年という長い周期でゆっくりとまわりあっている星です。
このアルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中にには、2005年8月のこのページで紹介したM27と呼ばれる星雲もあります。
はくちょう座β星アルビレオのシミュレーション画像 50倍くらいで見るとこのように見えます 色の対比のとてもきれいな二重星です
時間が過ぎて夜半ごろになると、東の空から金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
さらに2時ごろになると、その木星を追いかけるように煌々と輝く星が明けの明星の金星です。この夏、金星は夜2時ごろには東の空から姿を現し、普段は見ることができない深夜の金星を見ることができます。金星は、5月中旬までは宵の明星として夕方の西の空に見えていたのですが、地球を猛スピードで追いかけてきて、6月6日には太陽と地球の間を通過していく太陽面通過が起こりました。今年後半は明けの明星として、明け方の空を賑わせます。特に8月14日未明(13日深夜)にはその金星が月に隠される金星食という現象も起こります。是非ご自身の眼で確かめてみてくださいね。
金星を天体望遠鏡で見てみると、左の写真のように月のように欠けている様子がわかります。水星や金星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。
このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
今年のペルセウス座流星群の見える状況 クリックすると拡大します 8月13日午前3時ごろの北東の空の様子
そしてもう一つ、この夏注目の天文現象として忘れてはいけないのが、金星食の前日、12日の夜(13日の明け方)には、一年の流星群の中でも最も有名なペルセウス座流星群です。今年のペルセウス座流星群は、夜半過ぎに月が昇ってくるため少し空が明るいですが、それでもペルセウス座流星群の流星は明るいものが多いため、十分見ることができると思います。
流星群を見るときには、なるべく近くに建物や高い山や森などの無い開けた場所で、まわりに街灯やネオンサインなどが少ない空の暗い場所を選んでください。また、流星は双眼鏡や望遠鏡を使ってみるものではなく、皆さんの目で空を見上げて見つけるものです。グラウンドシートなどを広げて、寝ころがって空をぼーっとながめているのが、もっとも流れ星を見つけやすい方法です。
是非この夏は、天の川が見えるほど星空のきれいなところに出かけてみませんか?。都会よりもっとたくさんの流れ星を見ることができるはずです。そして、流星だけではなく、是非他の星たちも楽しんで見てくださいね。そんなときに、当社オンラインショッピングおすすめラインナップで取りそろえた双眼鏡や望遠鏡を使えば、きっと楽しい夜の一時を過ごすことができるでしょう!。
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