星空案内はこちらのPDFファイルと一緒にお読みください
早いもので、もう今年の半分を過ぎようとしています。6月21日は一年の中で最も昼間の長さが長い夏至です。夏至や冬至・春分・秋分は、紀元前4世紀ごろに中国で使われていた二十四節季のうちのひとつです。二十四節季は、その当時に暦として使われていた太陰暦(月の動きを基準にした暦)とは別に、太陽の動きから季節ごとに起こる事象を綴った暦の一種です。 天文学が発達した現代では、太陽の周りを回る地球の公転軌道を15度ずつに分けて計算し、その座標を通過する日にそれぞれの二十四節季を割り当てています。20世紀中ごろまでは、天文台の子午環と呼ばれる機械で天体を観測して、二十四節季を割り当てていました。このため、春分の日と秋分の日をはじめとした国民の祝日の日付を決めるのは、現在でも国立天文台の仕事で、前年の2月に次の年の祝日が発表されます(2023年の暦はこちら・2024年の暦はこちら)。天文学と言うと浮世離れした難しい学問のように思われがちですが、実は私たちの生活に密接な関係のある基礎学問のひとつなのです。 今年は例年より早く梅雨入りした地方もあるようですが、梅雨の合間に見られる晴れ間はとても透明度が高く、きれいな星空を見ることができます。今年6月の宵空では、太陽が沈んだ後の空の高いところに、宵の明星の金星が見えています。今月の金星までの距離は光の速さで約6分で、昨年11月に太陽の向こう側を周ってから地球に接近してきているところです。 |
その金星は、6月4日に東方最大離角を迎えます。この用語は一般にはあまり聞きなれない言葉ですが、地球から見た時に、金星が太陽から最も東に離れて見えるときのことを差しています。 |
5月16日に撮影した金星 Sky-watcher AZ-Go2 MAK127 MZT824RF ズームアイピース使用 マイクロフォーサーズミラーレスカメラ |
さらに今月中旬には、この金星がかに座にあるプレセペ星団M44のすぐ近くを見かけ上通過していく様子が見られます。金星の少し高いところに見えている火星も、金星より少し早い今月上旬に通過していくので、この2つの惑星がプレセぺを挟んで輝いている様子が見えていることになります。火星までの距離は光の速さで約16分で、昨年12月1日に地球に最も近づいたあと、少しずつ遠ざかっているところです。双眼鏡を使えば、火星と金星とプレセペ星団を一つの視野の中に見ることができます。 |
かに座散開星団M44(プレセペ)と金星・火星の接近 6月7日の様子 85mmF2レンズ→F4 APS-C一眼レフ Sky-watcher AZ-GTi + Lプレート + TSP-SWによる自動追尾 30秒露出 埼玉県刈場坂峠 |
金星や火星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
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セレストロン CPC1100-Jで見た火星 マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影 |
金星や火星が西の空に低くなる午後9時ごろの星空のようすを見ると、天頂から西の空にかけて、おとなしめに輝く春の星座が輝いています。その中でも、北西の空の高いところにある北斗七星は、明るい星が並ぶ見つけやすい星の連なりです。北斗七星は星座ではなく、おおぐま座という星座の一部になります。おおぐま座には、4月のこのページで紹介したM97とM108や2022年4月のこのページで紹介したM81とM82など、小望遠鏡でも楽しめる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、先月のこのページで紹介した球状星団M3や、2019年5月のこのページで紹介したM51やM63といった銀河があります。 |
北斗七星やりょうけん座の南には、春の夜空では数少ない一等星、しし座のレグルスがあります。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座にも、2020年4月のこのページで紹介したM65・66があります。 春の星座の方角は、太陽系のある天の川銀河の円盤状になっているちょうど薄くなった方角にあたります。このため、天の川銀河の中の星たちの数が少なく、その外側にある他の銀河をたくさん見ることができます。 春の大曲線の先にあるスピカから、さらにその先にあるからす座という星座には、M104という銀河があります。写真に撮ると、メキシコの民族衣装の帽子であるソンブレロに似た形に見えるため、ソンブレロ銀河などとも呼ばれています。 私たちの銀河系から4600万光年と、比較的近いところにある銀河で、明るさも9.3等級と銀河としては比較的明るいほうです。それでも天体望遠鏡で見ると、存在はわかるもののぼんやりとした光のしみのようにしか見えません。しかし、最近のデジタルカメラの性能の向上により、天体望遠鏡にカメラを取り付けて数十秒露出をするだけで、右の写真のようにはっきりとその姿を写し出すことができるようになりました。 これまで紹介した銀河以外にも、昨年6月のこのページで紹介したおとめ座やかみのけ座にある銀河団や、M104よりさらに南西にあるうみへび座のM83など、比較的明るい銀河がたくさんあります。遠い宇宙からたどり着いた星たちの光を、是非ご自身の眼で確かめてみてください。 |
M104 からす座ソンブレロ銀河 QV80A90鏡筒+シュミカセ用レデューサ併用 (500mmF6.3相当) APS-Cデジカメ一眼レフ 30秒露出 セレストロンAdvanced VX赤道儀使用 埼玉県刈場坂峠にて
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この時期になると、宵の東の空にはもう夏の星座が顔を出してきます。東の空の中ほどには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座のベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座のデネブ(2600光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」と「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座の中には、昨年8月のこのページで紹介したM57があります。また、夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところには、、2021年8月のこのページで紹介したアルビレオという星があります。そのアルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中には、昨年8月のこのページ紹介したM27と呼ばれる星雲もあります。はくちょう座には2021年9月のこのページで紹介したM39があります。さらに、ベガよりさらに高い空には、2022年7月のこのページで紹介したヘルクレス座のM13も見えています。 |
夏の天の川 25mmF1.8レンズ マイクロフォーサーズミラーレスカメラ 8秒露出 長野県野辺山高原にて撮影 |
さらに、南の空にはさそり座のアンタレス(620光年)も見えています。さそり座には、アンタレスのすぐ東にある球状星団M4や、2012年7月のページで紹介したさそりのしっぽの毒針の先あたりにあるM6とM7という2つの散開星団があり、いて座にも2014年8月のこのコーナーで紹介したM11やM8など、たくさんの星雲星団があります。 さらに夜が更けて夜半過ぎになると、東の空から土星が昇ってきます。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。 |
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その土星を追いかけるように、2時ごろになると木星も昇ってきます。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。 |
マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影 |
このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。 |
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