一時はもう梅雨に入ってしまったかのような日が続いた関東地方も、5月下旬は天候に恵まれとても過ごしやすい毎日がつづいています。南北に長い日本列島でいちばん季節感の差が大きな時期かもしれませんね。皆さんのところではいかがでしょうか。
この事務所の周辺の畑では、麦の刈り入れ時期を迎えていて、いちめん金色のじゅうたんが敷かれたように美しく輝いています。この付近では麦と米の二毛作を行っている農家が多く、一足早く麦を収穫して、すぐにたんぼにして稲を植えると、秋ごろにはたわわに実ったおこめができ上がるというわけです。
この麦の借り入れの頃に、空の高いところに正に「麦色」に輝く一等星があります。6月10日ごろの星空のようすを見ると、宵の北の空の高いところに北斗七星の並びがとても目立って見えています。北斗七星の柄の部分を延ばしていくとたどり着く一等星がその星、うしかい座のアークトゥルスという星です。日本では、その名の通り麦の刈り入れの時期に空高く輝くことから、「むぎぼし」と読んでいる地方もあります。「麦色」というより「ビール色」と言った方が身近な方も多いかもしれませんね(笑)。ビールがおいしい季節ももうすぐです!。
6月は一日のうちで太陽が昇っている時間が最も長い月。その中でも夏至と呼ばれる日がいちばん昼間が長くなります。今年は21日が夏至にあたり、この日は東京では4時25分に日が昇り、19時00分に日が沈みますから、実に14時間35分も昼間の時間があります。6月中の日の出・日の入りの時間はほとんどかわりません。
そんな遅い夕暮れの西の空を見ていると、「宵の明星」の金星が一番星として見えてきます。地球のすぐ内側をまわっている金星は、望遠鏡で見ると左の画像のように月と同じように満ちかけをしながら、地球に近づいたり離れたりして、その大きさを変えていることがわかります。金星は毎日少しずつ見える高さが高くなっていますが、それとは反対に、宵の空に居すわっていた他の惑星や星座たちは、毎日少しずつ西の地平線に低くなっていきます。
金星が見えはじめた夕焼け空をしばらく見ていると、他の星たちもだんだんと見えてきます。5月にはたくさんの惑星が夕空を賑わせていましたが、6月には土星と水星は太陽に近くなって見えなくなってしまっています。でも、金星と並んで明るく輝く木星は、金星とからみあうようにして輝いています。特に6月2日前後には最も接近して美しい眺めとなっています。右の画像は6月1日〜14日までの日没30分後の様子をシミュレーションしたものです。特に6月13日前後はこれに細い月も加わって、とても美しいながめになるでしょう。
夕空の惑星たちのダンスを楽しんでいるうちに、夜空はどんどんと暗くなっていき、春から夏の星座たちが空を賑わせはじめます。明るい星が少ない春の星空ですが、天頂から東の空には夏のにぎやかな星空も見えはじめています。
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