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 この夏は、全国的なかなか梅雨が明けず、これを書いている8月1日現在でも、まだ梅雨が明けていない地域が残っています。なかなかきれいな星空が見られず、曇り空を恨めしそうに見る毎日です。

 そんな梅雨空の中、先月22日には、日本の陸地で起こったものとしては46年ぶりとなった皆既日食が見られました。当日はあいにくの天気となった地域も多かったようですが、それでも雲間から月によって隠された太陽を見ることができた方も多かったようです。

 右の写真は、中国の上海から南西に150kmほど行った烏鎮というところで捉えた、今回の日食の様子です。この場所でも朝から雨が降ったり止んだりの天気でしたが、皆既食がはじまる10分くらい前から急に晴れ間が見えはじめ、薄雲がかかってはいたものの、皆既食の間は曇ることなく、美しい皆既日食を見ることができました。

 天文現象は、このように天気や運に左右されることが多いものですが、それだからこそ見られたときの感動はまた格別に大きな物です。3年後の2012年5月には、今度は金環日食という現象が見られます。このときは、東京・名古屋・大阪を含む日本の広い範囲で見ることができます。是非次の機会にも、皆さんに宇宙に目を向けて欲しいと思っています。

 その日食の主役となった太陽が西の空に沈み、すっかり涼しくなった8月10日の午後9時ごろの星空のようす見ると、宵の西の空にはまだ春の星座たちが残っていて、北の空の高いところに北斗七星が見えています。北斗七星はおおぐま座という星座の一部です。北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、うしかい座アークトゥルス(34光年)・おとめ座スピカ(220光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。

 街中の夜空ではなかなか見ることができませんが、夏休みに都会から離れた山の上や海辺などで夜空を見上げると、夏の大三角を貫いて南の地平線にむかって、淡い光の帯を見ることができます。これが「天の川」です。実際に見たことが無いという方も多いと思いますが、夏の天の川は他の季節に比べて濃くはっきりと見えます。アウトドアやキャンプなどで昼間体を動かした後、食後のひとときに是非機会を作って夜空を見上げてみてください。

 その天の川が特に濃く明るく見えるのが、さそり座いて座のある方向。ちょうど今の時期の真夜中ごろに真南の空に見えてきます。この方角が、私達の天の川銀河の中心の方向になります。私達の地球がある太陽系は、天の川銀河の中心から少し離れたところにあります。このため、中心方向を見ると、たくさんの星が集まっている様子を見ることができるのです。

 天の川が最も濃くな見えるところのやや東側に、赤く光る一等星が見えるはずです。この星がアンタレス(550光年)です。さそり座は、このアンタレスから釣り針のようにS字型をした星の連なりで、夏の星空の中ではとてもわかりやすい星座です。是非、実際の星空で探してみてください。

 そして、さそり座の西側の天の川が特に濃く明るく見える付近が、いて座のある方向。ちょうど今の時期の真夜中ごろに真南の空に見えてきます。この付近には、2008年7月のこのコーナーで紹介したM11M8などの星雲星団があります。

 いて座からさらに東に目を移すと、低いところに金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

 一方、空の高いところには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座デネブ(1500光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影

 夏は夜も短く、星空をぼーっと眺めていると、いつのまにか明け方近くになっていたりします。8月ともなると、3時ごろにはもう冬の星座のオリオン座も東の空から昇ってきます。このころ、オリオン座より少し北よりの空から、キラキラと輝く明るい星が昇ってきます。この星が金星です。3月中旬までは宵の明星として、夕方の西の空に見えていましたが、3月25日に内合(太陽と地球の間を金星が通過する)を過ぎ、これからしばらくは明け方の東の空に見える「明けの明星」になります。今月の金星までの距離は、光の早さで約10分で少しずつ地球から遠ざかっています。天体望遠鏡で見てみると、上の写真のように月のように欠けている様子がわかります。

 金星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。内惑星は地球からの見かけ上、太陽に近いところに見えることが多く、夕方と明け方のわずかな時間しか見ることができない非常に見つけにくい惑星です。



望遠鏡で見た昼間の金星

 また、その金星より少し高い空には、鈍く赤く光る火星も昇ってきます。今月の火星までの距離は、光の早さで約14分で、ちょうど太陽の反対側の遠いところをゆっくりと移動しているところです。このため、望遠鏡で見ても小さな赤い丸にしか見えません。

 しかし、この火星と金星、そしてそのまわりの星座の星々は、毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして一昨年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。夏休みの自由研究のテーマとしても最適では無いでしょうか。

 木星の縞模様・金星の形は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。そこにはきっと新しい発見が待っているはずです。

Meade LX200-25で撮影した火星
 そして、この夏注目の天文現象として忘れてはいけないのが8月13日未明(12日の夜)に見られることが予想されているペルセウス座流星群があります。


今年のペルセウス座流星群の見える状況
クリックすると拡大します
8月13日午前3時ごろの北東の空の様子

 今年のペルセウス座流星群は、下弦の月が空の高いところに残りますので、その月が西の空にまわる午前3時ごろから良い条件で見ることができます

 流星群を見るときには、なるべく近くに建物や高い山や森などの無い開けた場所で、まわりに街灯やネオンサインなどが少ない空の暗い場所を選んでください。また、流星は双眼鏡や望遠鏡を使ってみるものではなく、皆さんの目で空を見上げて見つけるものです。グラウンドシートなどを広げて、寝ころがって空をぼーっとながめているのが、もっとも流れ星を見つけやすい方法です。

 是非この夏は、天の川が見えるほど星空のきれいなところに出かけてみませんか?。都会よりもっとたくさんの流れ星を見ることができるはずです。そして、流星だけではなく、是非他の星たちも楽しんで見てくださいね。そんなときに、当社オンラインショッピングおすすめラインナップで取りそろえた双眼鏡や望遠鏡を使えば、きっと楽しい夜の一時を過ごすことができるでしょう!。

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