あけましておめでとうございます!。旧年中は当社HomePageをたくさんの方々にご覧いただき、ありがとうございました。今年も皆さんに夜空を楽しんでいただけるよう、楽しいコンテンツ作りをしていきたいと思っております。今後ともよろしくお願い致します。
もともと冬の宵空には明るい星が多い時期なのですが、今年の宵空には、さらに2つの明るい星が見えています。そのうちのひとつ、太陽が西の空に沈んですぐ、夕焼け空にひとつの明るい星が見えてきます。この星が宵の明星の金星です。金星を天体望遠鏡で見てみると、左の写真のように月のように欠けている様子がわかります。 金星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。 金星は、今年6月6日に内合(地球から見て太陽の手前を通過する)を迎えますが、それに向けて少しずつ地球に接近しているところです。今月の金星までの距離は、光の早さで約10分で、金星は日に日に空の高いところに見られるようになります。今年前半は、この金星が宵空の高いところに輝きます。特に4月ごろには深夜10時ごろまで金星が見え、例年に無い深夜の金星を見ることができます。さらに、内合となる6月6日には太陽面を通過していく現象・8月14日には月に隠される金星食と、主役級の活躍を見せてくれます。このころには、深夜2時前にも深夜の金星を見ることができます。
金星が西の空に見えるころ、南の空の高いところにもうひとつ明るく輝いている星が見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
金星が西の空に沈み、空がすっかり暗くなった午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空のにはまだ少しおとなしめに輝く秋の星座たちが見えます。比較的明るい星が少ない秋の星座ですが、北西の空にはW字型の星が連なるカシオペヤ座が見えています。カシオペヤ座からもう少し空の高いところに、漢字の「人」という字を横にしたように星が連なるペルセウス座があります。この、ペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近には、昨年12月のこのページで紹介した二重星団です。地球から7600 光年にある2つの星団で、低倍率の望遠鏡や双眼鏡見ると、天の川のたくさんの星の中に見える様子は感動的です。
一方、視線を南の空に向けると、明るい星が多くとてもにぎやかな冬の星座たちを見ることができます。天頂近くの高いところに見える明るい一等星がぎょしゃ座のカペラ(41光年)です。ぎょしゃ座には先月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。
ぎょしゃ座の南にはおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(65光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。一方、もう少し空の高いところに見える数個の星がごちゃごちゃっと集まって見えるところが、2010年12月のこのページで紹介した「すばる」ことプレアデス星団M45です。双眼鏡で見てみると、いろいろな明るさの100個くらいの星が群れを成しているのがわかります。ヒアデス星団までは約150光年・プレアデス星団までは約440光年の距離があり、それぞれの大きさの差はこの距離の違いによるものです。しかし、プレアデス星団の星の輝きは、ヒアデスよりずっと明るく、高温で非常に高いエネルギーを放出していることがわかります。
50倍くらいの望遠鏡で見たM35
Meade オートスターでの導入方法
双眼鏡や天体自動導入機の無い望遠鏡での見つけ方はこちらのページ
すばるやヒアデス星団より少し低いところには、冬の星座の代表冬の星座の王者オリオン座のベテルギウス(310光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座のプロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。おおいぬ座には、2004年の1月のこのページで紹介した散開星団M41があります。さらにその南には、昨年1月のこのページで紹介したカノープス(310光年)も見えているはずです。
冬の大三角の北には、ふたご座のポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えてきています。このふたごは、ギリシャ神話では大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた双子の兄弟と言われています。
そのふたご座のお兄さんのカストルの足もとに、M35という散開星団があります。地球からの距離は2570光年と比較的遠い星団ですが、いろいろな明るさの星がたくさん集まって、双眼鏡でもでも、とてもきれいに見える星団です。
しばらく星空を眺めていると、22時ごろ、しし座のレグルス(77光年)の後を追うように、不気味に赤く光る火星が昇ってってきます。今月の火星までの距離は、光の早さで約8分で、今年3月の小接近に向けてどんどん近づいてきています。現在、月の次に近いところにある惑星になっています。
このように、惑星たちはそのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
さらに時間が過ぎ1時ごろになると、東の空から青白く光るおとめ座のスピカ(約260光年)と一緒に、もうひとつ黄色く光る明るい星が見えてきています。この星は土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
このページで紹介している星雲星団や土星の輪は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
20cmクラスの望遠鏡で見た土星 デジタルカメラで撮影
●今年の天文現象をちょっとご紹介●
★3月6日 2年2ヶ月ぶりに火星が接近
火星と地球は、約2年2ヶ月の周期で地球に接近します。今回は、火星の軌道が最も地球から離れたところで接近するため、2003年の大接近と比較するとあまり大きく見ることはできませんが、それでも夜空に赤く輝く火星をいつもより大きく見ることができます。
★5月21日(月) 本州では129年ぶりの金環日食
日本での2012年最大の天文現象といっても過言では無いでしょう。東京・名古屋・大阪を含む各地で金環日食が見られます。その他の地域でも大きく欠ける部分日食として見ることができます。
右写真:2010年1月15日に中国で見られた金環日食の様子 (クリックすると今回の日食の詳細を見ることができます)
★6月4日(月)宵 西日本で部分月食
上の日食の14日後となる満月には、西日本で部分月食を見ることができます。2012年に日本で見られる月食は、この1回だけです。
★6月6日(水) 8年ぶりの金星の太陽面通過
私たちの地球のすぐ内側を公転している金星が、太陽の手前を横切っていく現象が、6月6日に見られます。前回は2004年6月8日に見られましたが、次回は2117年12月11日まで、105年先まで見られません!。
★8月14日(火)未明 暗夜に見られるものとしては23年ぶりの金星食
上の太陽面通過後、明けの明星になる金星が、8月14日の未明に月に隠されます。三日月のような月にすぐ横に、しずくのように光る金星が見られるはずです。 日本で夜に見られた金星食は、1989年12月2日以来23年ぶりの現象です。次回、今回のように暗夜に起こる金星食は、2063年5月31日までありません!。
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