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 すっかり春らしくなった5月。黄砂の影響もありすっきりした青空を見ることが少なかった4月に比べると、5月の空はとても高くて気持ちが良いですね。この事務所の付近の畑には、麦が植えられているところがあり、これから2週間ほどすると、右の写真のような金色の野原が広がるようになります。この麦が収穫される5月10日ごろの午後9時の星空のようすを見ると、宵空の高いところにはうしかい座アークトゥルス(34光年)がまさに麦色に輝いています。このことから、日本ではこの星のことを「麦星」とも呼んでいます。

 そのころは、まだ西の空にはまだ冬の星座のなごりが見えています。やや北の空の中ほどに黄色く明るく光るぎょしゃ座カペラ(41光年)と、少し南の空に見える同じくらいの明るさのこいぬ座プロキオン(11.2光年)が良く目立ちます。この2つの星の中間付近の少し高い空に、明るい星が2つ並んでいるのがふたご座ポルックス(52光年)とカストル(32光年)です。

 そのふたご座の2つの星より少し高いところに、不気味に赤く光る星が見えるはずです。これが火星です。今月の火星までの距離は、光の早さで約14分です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。火星は去年12月19日に再び地球に接近をし、現在少しずつ遠ざかっています。今回の接近は2003年ほどの大接近にはなりませんでしたが、同じ大きさで見ることができるのは、2014年4月までありません。火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、いち早く自分の目で確かめてみませんか?。

 さらに目を空の高いところに向けると、春の星座が輝いています。冬の星座と比較すると明るい星が少ない春の星座ですが、今年は空の高いところに明るい星が一つ光っています。ふたご座から東に少し目を向けたところに黄色く光る明るい星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星は2月25日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、今が最も良く見える時期です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

Meade LX200-25で撮影した火星

Meade オートスターでの導入方法

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 土星のすぐ西におとなしく光っている白い星は、春の夜空では数少ない一等星、しし座レグルス(72光年)です。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。2005年5月のこのページでも、M65・M66というふたつの銀河を紹介しています。

 もうひとつ、都会の街明かりの中では少し見つけにくい星座ですが、しし座とふたご座の中間付近にある3等星数個が逆Y字に連なっている星座がかに座です。双眼鏡や望遠鏡で探してみると、そこには2003年の4月のこのページで紹介したプレセペという散開星団があります。

 一方、目を北の空に向けると、高いところに北斗七星が見えています。北斗七星はおおぐま座という星座の一部です。おおぐま座には、2002年の4月のこのページで紹介したM81・M82をはじめとして、小望遠鏡でも見ることができる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。

 北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、先ほど紹介したうしかい座アークトゥルス(34光年)・おとめ座スピカ(220光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、2005年5月のこのページで紹介したM3という球状星団があります。

20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

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 さらに時間が進み午前1時ごろに南東の空を見ると、金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この春の明け方の空で最も目だって見える木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

 木星の縞模様や土星の輪・金星の形はは、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影

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