今年の春はとても暖かく穏やかな日が続き、草花が美しく芽吹く季節になりました。ゴールデンウイークには、山や高原など星空のきれいなところに出かけられる方も多いことでしょう。
春の夜空は、例年ですと明るい星が少なくおとなしい季節なのですが、今年の春は、肉眼で見える3つの外惑星(地球の外側を周る惑星)が宵空に勢ぞろいしていて、とてもにぎやかな星空になっています。午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空の中ほどに、今日の一番星となっている木星が見えます。木星は1月6日に「衝」を迎え、今が最も良く見える時期です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
今年、木星が見えているのはふたご座になります。木星より少し高い空に2つ並んで光る星が、ポルックス(52光年)とカストル(32光年)です。このふたごは、ギリシャ神話では大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた双子の兄弟と言われています。ふたご座には、2014年1月のこのページで紹介した散開星団M35があります。
さらに、木星の北に黄色っぽく明るく光るのは、ぎょしゃ座のカペラ(42光年)です。ぎょしゃ座には2013年1月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。この付近は、まだ冬の星座が見えていることになります。
一方、天頂付近から南の空を見てみると、明るい星が多い西の空に比べるとおとなしめに輝く春の星座を見ることができます。ふたご座のポルックスやカストルからより少し高いところに、かに座があります。かに座は最も明るい星でも3等星しかなく、街中の明るい空では残念ながらその姿をみることはできませんが、双眼鏡や望遠鏡で探してみると、そこには2003年の4月のこのページで紹介したプレセペという散開星団があります
かに座からさらに空の高いところには、春の夜空では数少ない一等星、しし座のレグルスがあります。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。 そのうちのいくつかには、小望遠鏡でも見える明るい銀河があります。3月のこのページで紹介したM65・66もそれらの銀河のひとつです。
しし座から、今度は目を北の空に向けてみると、春の星の中でも特に目立つ北斗七星があります。北斗七星は星座ではなくおおぐま座という星座の一部になります。北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座のアークトゥルス(約37光年)・おとめ座のスピカ(約260光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、先月のこのページで紹介したM3という球状星団があります。
Meade オートスターでの導入方法
Meade LS-15で撮影したM81・82 APS-Cデジカメ一眼レフ F6.3レデューサ使用 30秒露出 富士山須走口五合目にて
春の星座の方角は、太陽系のある天の川銀河の円盤状になっているちょうど薄くなった方角にあたります。このため、天の川銀河の中の星たちの数が少なく、その外側にある他の銀河をたくさん見ることができます。その中でも、おおぐま座の中にあるM81とM82は、どちらも約1200万光年と比較的天の川銀河に近く、小望遠鏡でも見やすい天体です。
左の画像は望遠鏡で見たようすのシミュレーション画像で、下の大きめの方がM81、上の細長い方がM82です。さらに、望遠鏡にデジカメを取り付けて写真を撮ってみると、下の写真のようにもっと細かいところまで写し出すこともできます。特にM82のほうは、明るい部分が複雑に分裂している様子をみることができます。ここからは、強力なX線や電波が発せられていることが地上からの観測で解っており、銀河内部で大爆発が起こっていると考えられています。
おおぐま座周辺には、この他にも小望遠鏡でも楽しめる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。
これまで、銀河や星雲や星団の名前に「M」の文字がついた天体をいくつか紹介してきましたが、これは、18世紀のフランスの天文学者シャルル・メシエが作った星雲星団のリストです。彗星の番人と呼ばれたメシエは、彗星と間違えやすい星雲や星団をあらかじめリストアップして、彗星探索をしやすくしようとしました。メシエ天体は全部110個あり、これらは18世紀の望遠鏡でも見ることができたことからもわかるように、現在の小望遠鏡でも容易に見ることができる天体ばかりです。
しかし、そうは言っても肉眼では見ることができない天体ですから、望遠鏡の視野に入れるのはとても難しいものです。でも、天体自動導入望遠鏡なら、天体の名前を入力するだけで見つけることができます。
さらに春の大曲線をたどっていくと、終点にあたるスピカより少し高い空に、不気味な存在感で赤く明るく輝く星が見えています。この星が火星です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。
現在、火星までの距離は光の早さで約5分で、4月15日に再接近しました。今回の接近は2003年ほどの大接近にはなりませんが、火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、いち早く自分の目確かめてみませんか?。
●2003年の6月・7月・8月・9月のこのコーナーでは、火星についてより詳しくコメントしています。興味のある方は是非ご覧ください。
Meade LX200-25で撮影した火星
スピカや火星よりさらに低い空には、もうひとつ黄色く光る明るい星が見えます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
もうひとつ、夜が更けて明け方の空にも、是非見て欲しい星があります。朝3時すぎに東の空に見える明けの明星の金星です。金星は、昨年12月の下旬までは夕方の西の空で宵の明星として見えていましたが、1月11日に太陽と地球の間を通過する内合を迎え、今年の前半は明け方の空に輝くようになります。今月の地球から金星までの距離は約8分で、急速に地球から離れていっています。金星を天体望遠鏡で見てみると、左の写真のように月のように欠けている様子がわかります。
20cmクラスの望遠鏡で見た土星
これらの惑星は、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
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