今日から11月。当社の事務所のある埼玉周辺では、標高の高いところから紅葉が少しずつ麓に下りてきています。今年は寒暖の差が大きく、紅葉の色づきも例年以上に美しいようです。
今年の秋の宵空では、太陽が沈んだ後の夕焼け空の中に一番星として見えてくる、宵の明星の金星を見ることができます。金星を天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。今月の地球から金星までの距離は約5分で、これから年末にかけて急速に地球に近づいてきています。金星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。
金星が西の空に沈む午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空の高いところには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座のベガ・わし座のアルタイル・はくちょう座のデネブで作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」と「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座には、7月のこのページで紹介したリング状星雲M57があります。また、はくちょう座には、昨年10月のこのコーナーで紹介したM39など、小望遠鏡で見つけられる星雲星団がたくさんあります。是非ご自分の目ではるか宇宙からの光を確かめてみてください。
一方、西の空の夏の星座たちにくらべて、少しおとなしめに輝くのが、天頂付近に見える秋の星座たちです。「馬肥ゆる秋」のごとく、東の空の中ほどに見えているのは、天馬ペガススの姿です。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。ペガスス座には、昨年10月のこのコーナーで紹介した球状星団M15があります。
このペガススの四辺形を手がかりに、他の星座たちも探してみましょう。四辺形の西側(右側)の縦の辺をまっすぐ南のほうに延ばしていくと、まわりに明るい星がないところにひとつだけ1等星を見つけることができます。この星がみなみのうお座のフォーマルハウト(22光年)です。日本ではその名の通り「みなみのひとつぼし」などと呼ぶ地方もあります。
一方、ペガススの四辺形の北東の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。ペガススの四辺形とアンドロメダ座との接点の星は「アルフェラッツ」という星で、アラビア語で「馬の中心」という意味があります。星座絵に描かれた天馬ペガススの、ちょうどおなかの部分にあたる星なのです。アンドロメダ座には、先月のこのコーナーで紹介したアンドロメダ大銀河や、2006年10月のこのページで紹介した二重星アルマク・2008年10月のこのページNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。そして、アンドロメダ座の北側には小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座がます。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。 そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した二重星団もあります。
さらに視線を東の空に向けると、冬の星座の王者オリオン座のベテルギウス(600光年)が昇ってきているのを見つけることができます。その少し北にはふたご座のポルックス(52光年)とカストル(32光年)もみえています。その近くに、金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星は木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
金星や土星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
さらに時間が過ぎ2時ころになると、木星よりさらに低い空に、しし座のレグルス(79光年)と並んで不気味な存在感で赤く明るく輝く星が見えます。この星が火星です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。
現在、火星は光の早さで約14分で、今年6月に地球から最も遠いところを通過したあと、少しずつ地球に近づいてきていて、来年4月に再び接近します。今回の接近は2003年ほどの大接近にはなりませんが、火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、いち早く自分の目確かめてみませんか?。
●2003年の6月・7月・8月・9月のこのコーナーでは、火星についてより詳しくコメントしています。興味のある方は是非ご覧ください。
このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
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