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 いよいよ3月。当社の事務所がある埼玉では、そろそろスギ花粉の季節です(苦笑)。マスクと鼻炎薬が手放せない季節になりました・・・。でも、日に日に少しずつ暖かくなり、木々の芽吹きや鳥のさえずりから春が近くまで来ていることも感じさせてくれます。

 この冬、夕焼け空の高いところで輝いていた宵の明星金星は、現在地球に急速に近づいていて、光の速さで約3分の距離にあります。天体望遠鏡で見てみると、上の写真のように月のように欠けて見え、日に日にどんどん大きく見えるようになります。そして、地球から見ることができるのは今月中旬くらいまでで、3月23日には地球の内側を通過する内合を迎え、4月からは明けの明星として明け方の東の空で見ることができようになります。
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天体望遠鏡で見た
昼間の金星
 水星と金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。

 その金星より少し高い空に、鈍く赤い光で不気味な存在感に輝いているのが火星です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。
 今月の火星までの距離は光の速さで約17分で、昨年5月31日に地球が火星を追い越し、少しずつ離れて行っていて、来年7月31日には18年ぶりに地球に再び大接近します

Meade LX200-25で撮影した火星
 火星が西の空に沈む午後9時ごろの星空のようすを見ると、これまで見えていた冬の星座から春の星座へと移り変わっていきます。北西の空にはW字型の星が連なるカシオペヤ座が見えています。カシオペア座よりもう少し空の高いところに、漢字の「人」という字を横にしたように星が連なるペルセウス座があります。この、ペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、空のきれいなところであれば天の川の中に肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した二重星団です。

 さらに空の高いところに目を移すと、そこには冬のきらびやかな星たちが輝いています。ペルセウス座の北よりの高いところに見える黄色い一等星は、ぎょしゃ座カペラ(42光年)です。ぎょしゃ座には1月のこのページで紹介したで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。
 ぎょしゃ座の南にはおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(65光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。
 一方、もう少し空の高いところに見える数個の星がごちゃごちゃっと集まって見えるところが「すばる」ことプレアデス星団M45です。双眼鏡で見てみると、いろいろな明るさの100個くらいの星が群れを成しているのがわかります。
 すばるやヒアデス星団より少し低いところには、冬の星座の代表冬の星座の王者オリオン座ベテルギウス(310光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座プロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。おおいぬ座には、2014年の2月のこのページで紹介した散開星団M41があります。さらにその南には、2012年1月のこのページで紹介したカノープス(310光年)も見えているはずです。
 その冬の大三角の東の空には、ふたご座ポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えてきています。ふたご座には、2015年1月のこのページで紹介した散開星団M35があります。
おおぐま座銀河M81・M82の
望遠鏡で見たときのシミュレーション画像
20cmクラスの望遠鏡で50倍くらいの倍率で見たときの
視野にしてあります
セレストロン Nexstar+での導入方法
「3」(Deep Sky)キー→メシエ
→「081」または「082」を
キーパッドから入力

Sky-watcher Gotoドブソニアン
Sky Explorer SE-GTでの導入方法
「4」(メシエ)キー→
→「81」または「82」を
キーパッドから入力

Meade オートスターでの導入方法
Deep Sky→
Messier Object→
キーで「81・82」を入力

双眼鏡や天体自動導入機の無い望遠鏡での見つけ方はこちらのページ
 一方、東の空に目を転じると、冬の星座に比べるとおとなしめに輝く春の星座を見ることができます。春の星座の方角は、太陽系のある天の川銀河の円盤状になっているちょうど薄くなった方角にあたります。このため、天の川銀河の中の星たちの数が少なく、その外側にある他の銀河をたくさん見ることができます。その中でも、おおぐま座の中にあるM81M82は、どちらも約1200万光年と比較的天の川銀河に近く、小望遠鏡でも見やすい天体です。

 左の画像は望遠鏡で見たようすのシミュレーション画像で、下の大きめの方がM81、上の細長い方がM82です。空の条件のよいところでより大口径の望遠鏡を使ってみると、この画像よりもっと細かいところまで見えるときもあります。特にM82のほうは、明るい部分が複雑に分裂している様子をみることができます。ここからは、強力なX線や電波が発せられていることが地上からの観測で解っており、銀河内部で大爆発が起こっていると考えられています。

 おおぐま座周辺には、この他にも小望遠鏡でも楽しめる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。

 北斗七星の南には、春の夜空では数少ない一等星、しし座レグルスがあります。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座にも、2015年4月のこのページで紹介したM65・66があります。
 そして東の空の低いところには、金色に輝く木星も昇ってきています。木星は4月8日に「衝」を迎え、今が最も良く見える時期です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。


Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影
 さらに夜が更けてくると、東の空にははくちょう座こと座さそり座などの夏の星座が顔を出してきます。夜2時ごろになると、その夏の星座と一緒に、南東の空の低いところからは土星も昇ってきます。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 金星や火星・木星・土星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
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