一方、天頂から西側の空には、秋の星座が天高くに見えています。12月10日ごろの星空のようすを見ると、西の空の低いところにはまだ夏の星座のはくちょう座が見えています。はくちょう座は南天の「みなみじゅうじ座」に対して別名「北十字」とも呼ばれています。キリスト教が信仰されている地域では、クリスマスの夜にこの北十字が地平線に付き刺さって見えることから、この十字をイエスキリストが因われた十字架として見ているところがあります。
目を南の空に転じると、そのはくちょう座と同じくらいの高さの空に、赤く目だって輝く星を見つけることができるはずです。この星が今年8月27日に129年ぶりの大接近をした火星です。地球のすぐ外側をまわる火星は、約1年10カ月の周期で太陽のまわりをまわっています。1年で一周する地球とは、約2年2カ月の間隔で接近します。ところが、火星は軌道が少し歪んでいるため、その接近するときの地球と火星の位置によっては大きく接近したり、あまり接近しなかったりします。火星軌道の歪みが太陽に寄っている7〜9月に接近が起こるときのことを「大接近」と呼んでいて、火星を観測する絶好の機会となります。
●6月と7月・8月のこのコーナーでは、火星についてより詳しくコメントしています。興味のある方は是非ご覧ください。
現在火星が見えているのはみずがめ座になります。このみずがめは、ギリシャ神話の大神ゼウスに仕えていた美少年ガニメデが持っているお酒の入った瓶だと言われています。ルネッサンス時代に記された星座絵には、ガニメデの姿とその瓶、そしてそこから流れ出る酒がみなみのうお座のフォーマルハウトに向けて注がれている様子が描かれています。
火星のいるみずがめ座よりもう少し空の高いところには、秋の代表的な星の連なりであるペガススの四辺形があります。そのペガススの四辺形の北東の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。昨年11月のこのコーナーで紹介したアンドロメダ大銀河も、まだ空の高いところに見えています。
アンドロメダ座の北側には小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座があります。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。
また、ペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近には、二重星団と呼ばれるこの星の集まりがあります。この他にも、さきほども取り上げたアンドロメダ座のとなりのさんかく座にあるM33や、カシオペヤ座のM52など美しい星雲星団を見ることができます。是非あなたも双眼鏡や望遠鏡で楽しんでみてください。
さらに東の空に目を転じると、明るい星が多くとてもにぎやかな冬の星座たちを見ることができます。北よりの高いところに見えるぎょしゃ座のカペラやおうし座のアルデバラン、その南側には冬の星座の王者オリオン座のベテルギウス・リゲルといった一等星がきらびやかに輝き、さらに空の低いところには、全天で最も明るい恒星のシリウスのあるおおいぬ座・そしてこいぬ座のプロキオンも昇ってきて冬の大三角を形作っています。
その冬の大三角より少し北側の高いところに光る明るい星が土星です。これからの季節は土星が観望の好期になります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
土星が見えているあたりがふたご座で、土星より少し北よりに仲良く並ぶ2つの星が、カストルとポルックスです。ギリシャ神話では大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた双子の兄弟と言われています。12月14日の夜には、このふたご座の頭付近から飛びちるようにふたご座流星群を見ることができます(リンク先のページは2000年のものですが、図の見え方はほとんど変わりません)。今年は月の影響も少なく、1時間に30個程度の流れ星を見ることができるかもしれません。
さらに時間がすぎて夜明け前になると、春の星座も続々と昇ってきます。明け方の空で最も目だって見えるのは、しし座の足元にみえる木星です。木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあります。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。先ほどみずがめ座のところでも出てきたガニメデ少年の名前がここでも出てきますね。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
土星の輪や木星の衛星や縞模様は、口径6cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径6cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
これから星空の美しい季節です。是非あなたの目で宇宙からの星たちの光を確かめてください!。
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