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 夜空の方もすっかり春らしくなり、霞のかかった空におとなしく輝く春の星たちを見ることができる季節になりました。今、夕方の西の空でひときわ明るく輝いている宵の明星金星。毎日お仕事や学校の帰りに目にされている方も多いでしょう。地球のすぐ内側をまわる金星は、さらにその内側をまわる水星とともに内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、大きさと明るさが大きく変化します。その様子はこちらのページで解説しています。

 金星は今月2日は最大光輝となります。このころ金星を望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように光っている様子を見ることができます。これから5月にかけて、金星は地球との距離が急激に近くなり、その大きさや形も大きく変化します。そして、日没後の西の空で日に日に高度を下げながら、6月8日の122年ぶりの太陽面通過へと向かっていきます。

昼間の空に輝く金星
望遠鏡で見ると
このように見えます

 太陽面通過(日面通過)は、地球の内側をまわる内惑星が、地球と太陽との間に入り込み、地球からの見かけ上、太陽面に黒い丸として見られる現象で、確率的に非常に珍しい現象です。昨年5月には、水星の太陽面通過が日本で見られました。右の画像はその時の様子です。水星は大きさも小さく、地球からの距離も金星より遠いため、この画像のように小さく見えますが、金星はもっと近いところを通過していきますから、肉眼でも確認できるほど大きな丸として見ることができます。この機会に是非その現象をあなたの目で確かめてみてください。

 今年の春の宵空には、この金星を含め4つの惑星が勢ぞろいしています。5月10日ごろの星空のようすを見ると、金星の光っているあたりは、まだ冬の星座が見えています。北よりの空に明るく輝くぎょしゃ座カペラこいぬ座のプロキオン、それより少し高いところにふたご座カストルポルックスが仲良く並んでいるのを見ることができます。北より(右)に光るお兄さんのカストルの方が若干暗い2等星で、弟のポルックスの方は1等星です。また、カストルの足もとの、金星より少し高いところに光る2つの星が火星土星もです。火星は、昨年8月27日に129年ぶりの大接近をした後、現在は地球は火星を追い抜いて少しずつその距離が遠くなりつつあるため、大接近の頃に比べるとだいぶ明るさも鈍り、望遠鏡で見たときの大きさも小さくなってきています。

 一方の土星は、小型の望遠鏡でも右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。また、ちょうど今土星が光っている付近には、3月のこのコーナーで紹介したM35という散開星団があります。

 西の空に沈んでいく冬の星座たちから目を空の高いところに転じると、おとなしめに輝く春の星座を見ることができます。その中で、ひときわ明るく金色に輝く星を見つけることができます。これが木星です。木星は3月5日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、いまが最も良く見える時期です。木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあります。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。

 さらに北の空を見ると、おとなしめの春の星座のなかでは特に目立つ北斗七星がみえます。北斗七星は星座ではなくおおぐま座という星座の一部になります。おおぐま座は全天で3番目に面積の広い大きな星座で、たくさんの銀河が点在しています。特に昨年4月のこのコーナーで紹介したM81・82は小望遠鏡でも楽しめる天体です。また北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルスおとめ座スピカへと続く春の大曲線の一部としても使われます。うしかい座とおおぐま座の間にあるりょうけん座という小さな星座には、去年5月のこのページで紹介したM3という球状星団もあります。

 このコーナーで紹介している星雲星団や、土星の輪・木星の衛星や縞模様などは、口径6cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径6cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

20cmクラスの望遠鏡で見た木星と土星
デジタルカメラで撮影

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→モクセイまたはドセイを選択

 今月、注目の天文現象として、ゴールデンウイーク最終日の5月5日の明け方には、部分月食が日本全国で見られます。現象の詳細はこちらのページをご覧ください。日本で月食が見られるのは2001年7月5日以来3年ぶりとなります。今回の月食は皆既月食(月全体が太陽の影に隠れる)ですが、日本では月が沈む直前に皆既となる地域がほとんどで、実質的に部分月食として見られることになります。(写真左:2001年7月5日の部分月食(クリックすると詳細が見られます)

 また、今年一番の天文現象として期待されている2001年に8月に発見されたNEAT彗星(C/2001Q4)と、2002年10月に発見されたLINEAR彗星(C/2002T7)、そして4月10日に新たに発見されたBradfield彗星(C/2004F4)が、今天文マニアの注目を集めています。5月1日現在、NEAT彗星(C/2001Q4)は日本からは見えない南半球にいて、5月4日ごろから夕方の西の空で見えてきます。また、LINEAR彗星(C/2002T7)とBradfield彗星(C/2004F4)は、明け方の東の空で見えています。詳しくは、こちらのページにまとめましたので、是非ご覧ください。(写真右:4月25日に撮影したBradfield彗星 (C/2004 F4))

 彗星は太陽や地球に近づくと急激に明るくなることがありますから、早めに観測の準備をしておくことをおすすめします。また、下記Spring Sale! 2004にラインナップしている望遠鏡には、彗星の観測に最適な低倍率・広視界アイピースをすべてのセットに付属しています。是非この機会にお求めください!。

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