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 いよいよ秋も深まり、色づいた紅葉が美しい季節になりましたね。日に日に気温も低くなり、冬支度を始める日も間近に迫ってきましたね。

 この秋は、例年には無いちょっと変わった天文現象が2つ連続してメディアをにぎわせました。9月24日のアメリカNASAの人工衛星UARSと、10月23日のドイツの人工衛星ROSATの2つの「スペースデブリ」(宇宙ごみ)の、大気圏再突入です。この2つの衛星が連続して落下した理由は、実は太陽の活動に深く関係しています。

 太陽からは、私たちが眼で見ることができる光のほか、日焼けや肌のシミなどの原因となる紫外線・熱線となる赤外線や様々な放射線とともに、「太陽風」と呼ばれる分子が飛んできます。太陽の活動が活発になると、太陽風の速度が早くなるため、地球の周りを回っている人工衛星の軌道にも影響を及ぼすようになります。

 今回の2つの衛星は、それぞれ2005年・1999年に観測を終了してから、地球からの制御ができないまま、少しずつ高度を下げながら地球の周りを周っていました。それが、このところの太陽活動の活発化により、太陽風の影響を受けて高度の低下が早まった結果、大気圏に再突入したわけです。

 その太陽を専用の望遠鏡で見ると、太陽の表面を覆う彩層という部分を見ることができます。右の画像は、先月上旬に撮影した太陽の様子です。太陽から噴出すプロミネンスや、表面に現れる様々な現象を見ることかできます。

 また、太陽活動が活発になると、オーロラも多く出現するようになります。太陽の活動は2013年ごろにピークに達すると予想されています。これからしばらくは、太陽面もオーロラも活発な活動を見ることができるはずです。是非機会を作ってみていただきたい現象です。


CORONADO P.S.T. で撮影した太陽
ビデオ映像(約4分30秒)
低解像度版(17.7MB) (WMV)  高解像度版(62.6MB) (MPEG-1)

2008年10月にフィンランドで撮影したオーロラ
写真を編集した動画(Windows Media Video)もあります。
その1 VGA版 ハイビジョン版
その2 VGA版 ハイビジョン版
※ハイビジョン版は、再生能力か低いパソコン等では、コマ送りのようになります

???? その太陽が西の空に沈んですぐ、夕焼け空の低いところに、ひとつの明るい星が見えてきます。この星が宵の明星金星です。さらに11月20日ごろまでは、金星のすぐ近くを注意深く見てみると、もうひとつの明るい星も見つかるはずです。この星が水星です。金星や水星を天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。
 水星や金星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。
 金星は8月15日に、水星は9月28日に外合(地球から見て太陽の向こう側を通過する)を過ぎて、少しずつ地球に接近しているところです。今月の金星までの距離は、光の早さで約12分・水星は約9分〜6分で、金星は日に日に空の高いところに見られるようになります。

 金星や水星も沈み、空がすっかり暗くなった午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空には、まだ夏の星座を見ることができます。空の中ほどには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座デネブ(1500光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。はくちょう座には、先月のこのページで紹介した二重星アルビレオや、そのすぐ近くのM27昨年10月のこのコーナーで紹介したM39や、や座の球状星団M71など、小望遠鏡で見つけられる星雲星団がたくさんあります。是非ご自分の目ではるか宇宙からの光を確かめてみてください。

 一方、西の空の夏の星座たちにくらべて、少しおとなしめに輝くのが、天頂から南の空に見える秋の星座たちです。「馬肥ゆる秋」のごとく、天頂付近に見えているのは、天馬ペガススの姿です。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。ペガスス座には、・昨年10月のこのコーナーで紹介した球状星団M15があります。

 このペガススの四辺形を手がかりに、他の星座たちも探してみましょう。四辺形の西側(右側)の縦の辺をまっすぐ南のほうに延ばしていくと、まわりに明るい星がないところにひとつだけ1等星を見つけることができます。この星がみなみのうお座フォーマルハウト(22光年)です。日本ではその名の通り「みなみのひとつぼし」などと呼ぶ地方もあります。

 一方、ペガススの四辺形の北東の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。ペガススの四辺形とアンドロメダ座との接点の星は「アルフェラッツ」という星で、アラビア語で「馬の中心」という意味があります。天馬ペガススのちょうどおなかの部分にあたる星なのです。アンドロメダ座には、昨年11月のこのページで紹介した有名なアンドロメダ大銀河2008年10月のこのページで紹介した散開星団NGC752などがあります。また、このアンドロメダ座の2等星の並びのいちばん先端、ペルセウス座に近いところに輝く2等星アルマクは、昨年11月のこのページでも紹介したとても美しい二重星として知られています。

 アンドロメダ座の北側には小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座がます。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。
 そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した二重星団もあります。

 そして、アンドロメダ座より低い南東の空に、周りのどの星より明るく金色に輝く星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影

 木星からさらに東の空に目を転じると、明るい星が多くとてもにぎやかな冬の星座たちを見ることができます。北よりの高いところに見えるのがぎょしゃ座カペラ(42光年)です。ぎょしゃ座には2003年1月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。

 ぎょしゃ座の南にはおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(65光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。一方、もう少し空の高いところに見える数個の星がごちゃごちゃっと集まって見えるところが、昨年12月のこのページで紹介した「すばる」ことプレアデス星団M45です。

 すばるやヒアデス星団から少し低いところには、冬の星座の代表冬の星座の王者オリオン座ベテルギウス(600光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.6光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座プロキオン(11.4光年)が冬の大三角を形作っています。その北側にはふたご座ポルックス(34光年)とカストル(50光年)も見えてきています。ふたご座にも、2004年3月のこのページで紹介したM35という散開星団があります。

 さらに時間が過ぎ夜半を周ると、しし座レグルス(77光年)のすぐそばに、少し暗めに不気味に赤く光る火星が昇ってってきます。今月の火星までの距離は、光の早さで約12分で、来年3月の小接近に向けてゆっくりと近づいてきています。

 このように、惑星たちはそのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。


Meade LX200-25で撮影した火星

 明け方、太陽が昇る1時間くらい前に、東の空から青白く光るおとめ座スピカ(約260光年)と一緒に、もうひとつ黄色く光る明るい星が見えてきています。この星は土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 このページで紹介している星雲星団や土星の輪は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

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