月は光の速さで1.2秒の距離にある 私達に最も近い「星」です。 望遠鏡で見ても、とても興味深い対象です。
残暑お見舞い申し上げます。今年は全国的に天候も良く、大地と太陽からいっぱいの恵みを受けた秋の味覚が、皆さんのお宅の食卓をにぎわせるももうすぐですね!。
秋の夜空といえばまず思い浮かぶのが仲秋の名月。「お月見」と呼ばれる風習は、旧暦(太陰暦)の8月の十五夜に出る「仲秋の月」と、9月の十三夜に出る「後の月」に、その年に収穫された農作物をお供えして、天の恵みに感謝をするものと考えられています。
今年の旧暦の8月の十五夜は、9月30日になります。旧暦と呼ばれる太陰暦はカレンダー(こよみ=暦)の一種で、日本では、現在使われている「太陽暦」が使われはじめた明治6年より前に実際に使われていました。太陽暦が太陽のまわりを地球が一周するのを基準に作られたものであるのに対し、太陰暦は月の満ちかけを基準に作られたもので、同じ日付でも約1カ月のずれがあります。
今月中ごろまで、太陽が沈んで30分後くらい経つと、夕焼けに染まる西の空の中に、色の違う明るい3つの星が並んでいるのが目に付きます。このうち、白くおとなしく輝くおとめ座のスピカ(260光年)の横に、スピカより目だって明るく黄色く輝く星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。今年春からの宵空に見えていた土星も、今月中旬を過ぎると、太陽と同じ方角になってしまい見えなくなってしまいます。まだ見ていない方は、是非早めに注目してみてください。
20cmクラスの望遠鏡で見た土星 デジタルカメラで撮影
もうひとつ、スピカより西側の空に、不気味な存在感で赤く明るく輝く星が見えます。この星が火星です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。
現在、火星は光の早さで約15分で、3月5日に再接近したあと、少しずつ地球から遠ざかっています。今回の接近は2003年ほどの大接近にはなりませんでしたが、火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、いち早く自分の目確かめてみませんか?。
●2003年の6月・7月・8月・9月のこのコーナーでは、火星についてより詳しくコメントしています。興味のある方は是非ご覧ください。
これらの惑星たちが西の空に沈む午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空の低いところには、今日の一番星のひとつ、オレンジ色に輝くうしかい座のアークトゥルス(34光年)が見えています。その上には、2010年7月のこのコーナーで紹介した球状星団M13があるヘルクレス座や、その南に見えるへびつかい座が、少しおとなしめに輝いているのをみることができます。さらに高いところには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座のベガ・わし座のアルタイル・はくちょう座のデネブで作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」と「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座には、先月のこのページで紹介したリング状星雲M57があります。また、はくちょう座付近には、アルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中には、2011年10月のコーナーで紹介した亜鈴状星雲M27や、2010年10月のこのコーナーで紹介したM39や、や座の球状星団M71など、小望遠鏡で見つけられる星雲星団がたくさんあります。是非ご自分の目ではるか宇宙からの光を確かめてみてください。
一方、空の高いところに見える夏の星座たちにくらべて、少しおとなしめに輝くのが、東の空に見える秋の星座たちです。「馬肥ゆる秋」のごとく、東の空の中ほどに見えているのは、天馬ペガススの姿です。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。ペガスス座には、2010年10月のこのコーナーで紹介した球状星団M15があります。
時間が過ぎて11時ごろになると、東の空から金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
さらに2時になると、冬の星座の王者オリオン座のベテルギウス(600光年)が東の空から昇ってきます。その少し北にはふたご座のポルックス(52光年)とカストル(32光年)もみえています。そのオリオン座とふたご座の間に見える煌々と輝く星が明けの明星の金星です。この秋、金星は夜2時前には東の空から姿を現し、普段は見ることができない深夜の金星を見ることができます。金星は、5月中旬までは宵の明星として夕方の西の空に見えていたのですが、地球を猛スピードで追いかけてきて、6月6日には太陽と地球の間を通過していく太陽面通過が起こりました。今年後半は明けの明星として、明け方の空を賑わせます。
金星を天体望遠鏡で見てみると、左の写真のように月のように欠けている様子がわかります。水星や金星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。
このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
月・惑星や秋の星雲星団観望に最適な望遠鏡ラインナップ
各マークについての解説はこちら
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