星空案内はこちらのPDFファイルと一緒にお読みください
今年は全国的に寒暖の差が激しい冬でしたが、3月になるとだいぶ暖かな日も多くなり、当社の事務所がある埼玉では、そろそろスギ花粉の季節です(苦笑)。マスクと鼻炎薬が手放せない季節になりました・・・。でも、日に日に少しずつ暖かくなり、木々の芽吹きや鳥のさえずりから春が近くまで来ていることも感じさせてくれます。 この季節は、花粉とあわせて中国大陸からの黄砂の影響もあり、晴れてもなかなかきれいな星空が見えない日も多いのですが、風向きが変わると空がとても青く、きれいな星空が見られるときがあります。この春の宵空では、太陽が沈んだ後の宵空の高いところに、金色に輝く星が見えます。この星は木星です。木星は昨年11月3日に「衝」を迎え、今が観望の好期です。木星までの距離は光の速さで約40分かかります。木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。 |
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。 |
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夜も深まる午後9時ごろの星空のようすを見ると、北西の空には、まだ秋の星座のカシオペヤ座が見えています。そのカシオペアの上には、漢字の「人」という字を横にしたように星が連なるペルセウス座があります。そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、空のきれいなところであれば天の川の中に肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した二重星団です。 さらに空の高いところに目を移すと、明るい星が多くとてもにぎやかな冬の星座たちを見ることができます。北よりの高いところに見えるのがぎょしゃ座のカペラ(42光年)です。ぎょしゃ座には冬の天の川が中央を流れていて、双眼鏡で見ると無数の星たちが輝いているのを見ることができます。ぎょしゃ座には、1月のこのページで紹介したM36・M37・M38の3つの散開星団があります。 |
ぎょしゃ座より少し低いところ、木星より少し高い空に赤っぽく輝くのはおうし座のアルデバラン(65光年)です。この付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。さらに、アルデバランやヒアデス星団の少し北(右)の空に、都会の明るい空でも肉眼でも数個の星がごちゃごちゃっと集まっているのを見ることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した「すばる」ことプレアデス星団M45です。双眼鏡で見てみると、いろいろな明るさの100個くらいの星が群れを成しているのがわかります。先ほどのヒアデス星団が約150光年と近いのに対し、プレアデス星団は約440光年と約3倍の距離があるので、このように小さくまとまった星団として見えますが、星としてのエネルギーはとても大きく明るいので、肉眼でも見えるほどに明るいのです。 おうし座からさらに南西の空に目を移すと、冬の星座の代表オリオン座のベテルギウス(約600光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座のプロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。オリオン座には、1月のこのページで紹介したオリオン座大星雲M42があります。また、おおいぬ座には、2014年の2月のこのページで紹介した散開星団M41があります。さらに、シリウスの少し東には、先月のこのページで紹介しとも座のM46とM47があります。 そして、冬の大三角より高い空には、ふたご座のポルックス(52光年)とカストル(32光年)が仲良く輝いています。ふたご座には、先月のこのページで紹介した散開星団M35があります。 |
セレストロン CPC1100-J + HyperStar III APS-Cミラーレスデジカメ 30秒露出 埼玉県堂平山にて撮影
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一方、にぎやかな西の空の冬の星座とは反対に、東の空にはおとなしめに輝く春の星座が見えています。その中でも、北の空の高いところにある北斗七星は、明るい星が並ぶ見つけやすい星の連なりです。北斗七星は星座ではなく、おおぐま座という星座の一部になります。 春の星座の方角は、太陽系のある天の川銀河の円盤状になっているちょうど薄くなった方角にあたるため、天の川銀河の中の星たちの数が少なく、その外側にある他の銀河をたくさん見ることができます。その中でも、おおぐま座の中にあるM81とM82は、どちらも約1200万光年と比較的天の川銀河に近く、小望遠鏡でも見やすい天体です。 左の画像は望遠鏡にミラーレスデジカメを取り付けて撮影したもので、上の大きめの方がM81、下の細長い方がM82です。より空の条件のよいところでみると、この画像よりもっと細かいところまで見えるときもあります。特にM82のほうは、明るい部分が複雑に分裂している様子をみることができます。ここからは、強力なX線や電波が発せられていることが地上からの観測で解っており、銀河内部で大爆発が起こっていると考えられています。 おおぐま座には、この他にも昨年4月のこのページで紹介したM97とM108など、この他にも小望遠鏡でも楽しめる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。 |
北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座のアークトゥルス(約37光年)・おとめ座のスピカ(約260光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、先月のこのページで紹介した球状星団M3や、2019年5月のこのページで紹介したM51やM63といった銀河があります。 |
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そして、その北斗七星の南には、春の夜空では数少ない一等星、しし座のレグルスがあります。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座にも、2020年4月のこのページで紹介したM65・66があります。 そのしし座とふたご座の間にはかに座があります。3等星以下の暗い星たちが、カニが足を広げたように連なっていて、その甲羅のところに、空の暗いところなら肉眼でもなにやらぼ〜っとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが、プレセペ星団M44です。地球からの距離は約580光年と比較的近く見かけ上大きく広がって見えるため、天体望遠鏡より双眼鏡のほうが美しく見える星団です。 |
夜も更けて明け方5時ごろになると、東の空には夏の大三角をはじめとした夏の星座が見えるようになります。その夏の星座たちと並んで、明けの明星の金星が昇ってきます。今月の金星までの距離は光の速さで約12分で、6月4日に太陽の向こう側を通過する外合に向けて、少しずつ地球から遠ざかっているところです。今月下旬になると、見かけ上太陽に近づいてしまうため、見ることができなくなります。 |
Sky-watcher AZ-Go2 MAK127で見た昼間の金星 マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影 |
このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。 |
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