星空案内はこちらのページと一緒にお読みください

 いよいよ今日から6月です。今年も半分が終わろうとしていますね。4月から新しい環境になった新人の方々も、そろそろ学校や仕事にも慣れてきた頃ではないでしょうか?。

 当社では、毎年夏と冬にスターライトキャラバンというイベント開催し、天体望遠鏡を持って全国各地にお伺いし、現地の皆さんに星空を楽しんでいただく企画を行っております。最近、観望会の会場で皆さんとお話しをしていると、以前は「この望遠鏡は何倍ですか?」とか「口径は何cm?」というようなスペックを聞かれることが多かったのですが、最近は「この望遠鏡では何光年くらいの星まで見えるのですか?」と聞かれることがあります。

 宇宙を立体的なものとして捉えるためには、天体までの「距離」という感覚を持つことは非常に重要です。最近は観望会で説明するときにも、もちろんこのページでも、天体までの距離を示すようにしています。私たちに一番近い星である月までの距離は光の速さで約1.5秒ですが、スターライトキャラバンで持ち出しているMeade LX90-30の場合、目で見ることができる天体はだいたい5000万光年くらいのまでです。この距離感だけでもすでに想像を越えるものですが、そのはるかかなたまで、宇宙は広がっているわけです。プラネタリウムのようにペタっと貼られた2次元の宇宙感ではなく、是非遠近感を感じながら宇宙を眺めてみてください。私たち地球上の人間のあるべき姿が、きっと見えてくると思いますよ。

???? そんな広い宇宙の天体の中でも比較的近いところにある太陽系の星たちは、望遠鏡を使わなくても肉眼で見ることができます。今年は、太陽が沈んだ後の西の空に、金星が見えています。昨年3月までの間も、同じように西の空の高いところに見えていた金星ですが、去年はその後ずっと明け方の東の空に「明けの明星」として見えていました。今年は、このまま10月ごろまで「宵の明星」として私たちの目を楽しませてくれることでしょう。

 今月の金星までの距離は、光の早さで約10分で、少しずつ地球に近づいてきています。天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。金星はこれから地球に接近してきますから、望遠鏡でその姿を見ると日に日に大きさや形が変わるのがわかるはずです。

 金星や水星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、大きさと明るさが大きく変化します。その様子はこちらのページで解説しています。内惑星は地球からの見かけ上、太陽に近いところに見えることが多く、夕方と明け方のわずかな時間しか見ることができない非常に見つけにくい惑星ですが、日本の春の宵空では、地球の自転軸の傾きの関係で太陽の天球上の通り道である黄道が地平線に対して垂直に近く交差するため、非常に見やすくなるのです。金星が夜9時過ぎになっても沈まないのは、4〜7月ごろに宵の明星として西の空に見られる時だけで、今年はその意味で珍しい年と言えます。

 その金星が西の空に沈む午後9時ごろの星空のようすを見ると、今年の6月の空には、いつもおとなしく輝く春の星たちに加えて、2つの明るい星が目だって見えています。そのうちの一つ、西の空の中ほどに、青白い1等星と並んで不気味に赤く光る星が火星です。今月の火星までの距離は、光の早さで約13分で、1月28日に地球に最接近したあと、少しずつ遠ざかっています。

 その火星のすぐとなりの青白い星は、春の夜空では数少ない一等星のレグルス(72光年)が光るしし座です。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。2005年5月のこのページでも、M65・M66というふたつの銀河を紹介しています。


Meade LX200-25で撮影した火星

 さらに目を北の空に向けると、春の空ではとても良く目立つ北斗七星が見えています。北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルス(34光年)・おとめ座スピカ(220光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。北斗七星はおおぐま座という星座の一部です。おおぐま座には、2002年の4月のこのページで紹介したM81・M82をはじめとして、小望遠鏡でも見ることができる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。

 そして、その春の大曲線の終点のスピカとしし座との間に、もう一つの明るい星が見えます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星は3月23日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、今が最も良く見える時期です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

 さらに夜が更けて、午前1時ごろに東の空を見ると、金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影

 水星や金星・火星・木星・土星は、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。

 それから、忘れてはいけないのが今月26日(土)の宵空で見られる部分月食ですね。詳しくは右のバナーをクリックして参照してください。また、もう一つ、今月中旬ごろから肉眼で見えるかもしれないマクノート彗星(C/2009R1)も、明け方の東の空で注目されています。ぜひこちらも参考にして探してみてください。

 このページで紹介している星雲星団や土星の輪は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

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