今日から10月。当社の事務所のある埼玉県日高市は、秋の味覚の栗の名産地でもあります。事務所の周囲にも栗畑がたくさんあり、そろそろいがの中から栗の実が顔を覗かせ始めています。
今月は、今年一番の天文現象である皆既月食が、10月8日の夜の早いうちに日本全国で見ることができます。詳しくはこちらのページをご参照ください。
今月のはじめごろまでの宵空には、太陽が沈んだ後の夕焼け空の中に3つの明るい星が並んでいるのを見ることができます。このうち西(右)に光っている黄色い星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。土星はこのあと西の空にどんどん低くなってしまうため、今年は今月で見おさめとなります。是非見てみてください。
一方、南(左)にある不気味な存在感で赤く明るく輝く星が火星です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。現在、火星までの距離は光の早さで約13分で、4月15日に再接近しました。今回の接近は2003年ほどの大接近にはなりませんでしたが、火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、いち早く自分の目確かめてみませんか?。
20cmクラスの望遠鏡で見た土星
●2003年の6月・7月・8月・9月のこのコーナーでは、火星についてより詳しくコメントしています。興味のある方は是非ご覧ください。
今月19日には、その火星にサイディングスプリング彗星(C/2013 A1)が大接近する様子も見ることができます。詳しくはこちらのページをご参照ください。
その火星の下には、まるでその赤さを競うかのようにさそり座のアンタレス(550光年)も見えています。火星はこの秋から冬にかけて、さそり座・いて・やぎ座・みずがめ座・うお座と移動しながら、西の夕焼け空の中にずっと見え続けます。このように、惑星はそのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
Meade LX200-25で撮影した火星
その土星や火星が西の空に沈む午後9時ごろの星空のようすを見ると、、西の空の高いところには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座のベガ・わし座のアルタイル・はくちょう座のデネブで作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」と「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座には、7月のこのページで紹介したリング状星雲M57があります。はくちょう座にも、先月のこのページで紹介したM39があります。また、アルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中には、2013年8月のこのページで紹介した亜鈴状星雲M27や、や座の球状星団M71など、小望遠鏡で見つけられる星雲星団がたくさんあります。是非ご自分の目ではるか宇宙からの光を確かめてみてください。
一方、西の空の夏の星座たちにくらべて、少しおとなしめに輝くのが、東の空に見える秋の星座たちです。「馬肥ゆる秋」のごとく、東の空の中ほどに見えているのは、天馬ペガススの姿です。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。ペガスス座には、昨年10月のこのコーナーで紹介した球状星団M15があります。
このペガススの四辺形を手がかりに、他の星座たちも探してみましょう。四辺形の西側(右側)の縦の辺をまっすぐ南のほうに延ばしていくと、まわりに明るい星がないところにひとつだけ1等星を見つけることができます。この星がみなみのうお座のフォーマルハウト(22光年)です。日本ではその名の通り「みなみのひとつぼし」などと呼ぶ地方もあります。
一方、ペガススの四辺形の北東の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。ペガススの四辺形とアンドロメダ座との接点の星は「アルフェラッツ」という星で、アラビア語で「馬の中心」という意味があります。星座絵に描かれた天馬ペガススの、ちょうどおなかの部分にあたる星なのです。
先月までのこのページでは、夏に見える天の川を紹介してしましたが、秋の夜空では、その延長線上の天頂近くの空の高いところに、天の川が見えています。
夏の天の川と比較すると、秋の天の川は少し薄ぼんやりとしていますが、その中にはたくさんの星雲星団があります。左の写真は、その秋の天の川を撮影したものです。上の方を横に流れているのが天の川で、たくさんの星や星雲星団の中に、暗黒星雲が複雑に入り組んでいる様子も見ることができます。双眼鏡でこの付近を見ると、無数の星たちが輝いている様子を見ることができます。
一眼レフデジタルカメラで撮影したM31 APS-C一眼レフ+135mm F2.5レンズ 15秒露出 富士山須走口五合目にて撮影 nano tracker使用
また、天の川から少しはなれたところには、アンドロメダ大銀河M31があります。アンドロメダ大銀河は、私達の太陽系がある銀河系の外側、距離にすると光の速さで230万年の距離にあるとされている銀河です。しかし、この距離は実のところだんだん遠くなっています(笑)。というのは、実際に銀河系とアンドロメダ大銀河が遠ざかっているわけではなく、観測技術の向上により、その距離がだんだん正確にわかるようになってきたためです。天体望遠鏡の技術は、まだまだこれから進歩していくのですね。
この銀河を望遠鏡で見てみると、左の写真のように、その両側に小さな銀河を伴っていることもわかります。私達の銀河系にも、日本からは見ることができませんが「大マゼラン銀河」「小マゼラン銀河」と呼ばれる小さな銀河系が伴っています。是非あなたの目で230万年のかなた(と考えられている)からの銀河の輝きを確かめてみてください!。
もうひとつ、アンドロメダ座にある面白い形をした銀河としてNGC891を紹介します。光の速さでおよそ3000万光年の距離にあると考えられていて、空のきれいな場所で20cmクラス以上の望遠鏡を使うと、細長い棒のような形に見え、少し時間をかけて写真撮影すると、左の写真のように中心に暗黒帯を伴った面白い形を見ることができます。
アンドロメダ座には、このほかにも2006年10月のこのページで紹介した二重星アルマク・2008年10月のこのページNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。
NGC891 アンドロメダ座銀河 Sky-watcher Goto Dob 10使用 APS-Cデジカメ一眼レフ 30秒露出 茨城県筑波山風返峠にて撮影
そのアンドロメダ座の北側には、小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座があります。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。 そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが2012年12月のこのページで紹介した二重星団もあります。
秋の夜長を楽しみながら時間が過ぎて夜半ごろになると、冬の星座の王者オリオン座のベテルギウス(600光年)が東の空から昇ってきます。その少し北にはふたご座のポルックス(52光年)とカストル(32光年)もみえています。さらに2時ごろになると、その下から金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星は木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
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月・惑星や秋の星雲星団観望に最適な望遠鏡ラインナップ
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