さいたま新都心のビル群から昇る
2021年9月21日の中秋の名月
埼玉県日高市にて撮影
PV80E55鏡筒直焦点 + APS-Cミラーレスデジカメ

月は光の速さで1.2秒の距離にある
私達に最も近い「星」です。
望遠鏡で見ても、とても興味深い対象です。

　残暑お見舞い申し上げます。当社の事務所のある埼玉では、7・8月は連日の猛暑となりましたが、ようやく朝晩は過ごしやすくなってきました。皆さんのお住まいの地域ではいかがでしょうか？。

　秋の夜空といえばまず思い浮かぶのが中秋の名月。「お月見」と呼ばれる風習は、旧暦（太陰暦）の8月の十五夜に出る「仲秋の月」と、9月の十三夜に出る「後の月」に、その年に収穫された農作物をお供えして、天の恵みに感謝をするものと考えられています。

　今年の旧暦の8月の十五夜は、9月10日になります。旧暦と呼ばれる太陰暦はカレンダー（こよみ＝暦）の一種で、日本では、現在使われている「太陽暦」が使われはじめた明治６年より前に実際に使われていました。太陽暦が太陽のまわりを地球が一周するのを基準に作られたものであるのに対し、太陰暦は月の満ちかけを基準に作られたもので、同じ日付でも約１カ月のずれがあります。

20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

　さらに、秋の星座が空高くに輝くようになる夜10時ごろになると、東の空の低いところに、鈍く赤く輝く星が見えてきます。この星が火星です。火星までの距離は光の速さで約7分で、12月1日の再接近に向けて、これから急速に地球に近づいています。是非この機会に火星を観察して、日に日に大きくなる火星の様子をご自身の目で確かめてみてください。

　今月火星が輝いているのはおうし座で、火星のすぐ近くにはアルデバラン(65光年)が明るさを競うかのように輝いている様子が見えます。夜半過ぎになると、東の空にはオリオン座やぎょしゃ座・ふたご座などの冬の星座も顔をのぞかせはじめます。

　この時期になると日が昇る時間も遅くなってきますが、日の出1時間前の明け方4時すぎになると、朝焼けの中に明けの明星の金星が昇ってきます。今月の金星までの距離は光の速さで約14分で、少しずつ地球から遠ざかっているところです。この秋までは、明けの明星として見ることができます。
　金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。