星空案内はこちらのPDFファイルと一緒にお読みください
今年も残り2か月。山の高いところからだんだんと紅葉が街に降りてきて、柿や栗などの秋の味覚も楽しめる季節になりましたね。11月の夜空は、夏の星座が空の高いところに見え、まだまだにぎやかな季節ですが、今年はそこにさらに2つの惑星も加わり、大賑わいとなっています。午後9時ごろの星空のようすをを見ると、西の空の中ほどに明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座のベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座のデネブ(2600光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」と「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座の中には、8月のこのページで紹介したM57があります。また、夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところには、8月のこのページで紹介したアルビレオという星があります。そのアルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中には、2022年8月のこのページで紹介したM27があります。また、その近くにあるや座という星座には、9月のこのページで紹介したM71もあります。 |
夏の大三角から南西の空に目を移すと、周りに星が少ないところにぽつんと黄色っぽく輝く星が見えます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星は8月15日に「衝」を迎え、今が観望の好期です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。 一方、西の空の夏の星座たちにくらべて、少しおとなしめに輝くのが、天頂から南の空に見える秋の星座たちです。明るい星が少ない秋の空ですが、「馬肥ゆる秋」のごとく、天頂付近に見えているのは、天馬ペガススの姿です。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。ペガスス座には、2022年10月のこのページで紹介した球状星団M15があります。 |
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このペガススの四辺形を手がかりに、他の星座たちも探してみましょう。 四辺形の西側(右側)の縦の辺をまっすぐ南のほうに延ばしていくと、まわりに明るい星がないところにひとつだけ1等星を見つけることができます。この星がみなみのうお座のフォーマルハウト(22光年)です。日本ではその名の通り「みなみのひとつぼし」などと呼ぶ地方もあります。このペガスス座とみなみのうお座の間にはみずがめ座があります。街明かりの明るい空では見つけることができませんが、少し空の暗いところに行くと、3〜4等星の星たちが点々と星座を作っているのがわかります。みずがめ座には、先月のこのページで紹介した球状星団M2や惑星状星雲NGC7293があります。またフォーマルハウトの東(左)にあるちょうこくしつ座には、昨年11月のこのページで紹介したNGC253という銀河があります。 一方、ペガススの四辺形の北東の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。ペガススの四辺形とアンドロメダ座との接点の星は「アルフェラッツ」という星で、アラビア語で「馬の中心」という意味があります。星座絵に描かれた天馬ペガススの、ちょうどおなかの部分にあたる星なのです。 |
一眼レフデジタルカメラで撮影したM31 APS-C一眼レフ+135mm F2.5レンズ 15秒露出 富士山須走口五合目にて撮影 nano tracker使用 |
このアンドロメダ座には、有名なアンドロメダ大銀河M31があります。私達の太陽系がある天の川銀河の外側、距離にすると光の速さで230万年の距離にあるとされている銀河です。しかし、この距離は実のところだんだん遠くなっています(笑)。というのは、実際に銀河系とアンドロメダ大銀河が遠ざかっているわけではなく、観測技術の向上により、その距離がだんだん正確にわかるようになってきたためです。天体観測の技術は、まだまだ進歩の途中なのです。 この銀河を望遠鏡で見てみると、左の写真のように、その両側に小さな銀河を伴っていることもわかります。私達の銀河系にも、日本からは見ることができませんが「大マゼラン銀河」「小マゼラン銀河」と呼ばれる小さな銀河系が伴っています。是非あなたの目で230万年のかなた(と考えられている)からの銀河の輝きを確かめてみてください!。 |
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NGC891 アンドロメダ座銀河 Sky-watcher Goto Dob 10使用 APS-Cデジカメ一眼レフ 30秒露出 茨城県筑波山風返峠にて撮影 |
もうひとつ、アンドロメダ座にある面白い形をした銀河としてNGC891を紹介します。光の速さでおよそ3000万光年の距離にあると考えられていて、空のきれいな場所で20cmクラス以上の望遠鏡を使うと、細長い棒のような形に見え、少し時間をかけて写真撮影すると、左の写真のように中心に暗黒帯を伴った面白い形を見ることができます。 アンドロメダ座には、このほかにも2022年10月のこのページで紹介した二重星アルマクや2008年10月のこのページNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。 さらにアンドロメダ座の北(左)には、小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座も見えています。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近には、昨年12月のこのページで紹介した二重星団もあります。 |
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一眼レフデジタルカメラで撮影した秋の星雲星団 APS-C一眼レフ+20mm F1.8レンズ→F2.5使用 1分露出 長野県野辺山高原にて撮影 nano tracker使用 |
この付近は天の川の中にあるので、双眼鏡や望遠鏡で見てみると、これ以外にもたくさんの星雲星団を見ることができます。左の写真は、その秋の天の川を撮影したものです。上の方を横に流れているのが天の川で、たくさんの星や星雲星団の中に、暗黒星雲が複雑に入り組んでいる様子も見ることができます。双眼鏡でこの付近を見ると、無数の星たちが輝いている様子を見ることができます。 |
さらに東の空に目を向けると、空の中ほどに金色に輝く星が昇ってくるのが見えます。この星が木星です。木星は11月3日に「衝」を迎え、今が観望の好期です。木星までの距離は光の速さで約40分かかります。木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。 |
マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影 |
その木星より低いところには、もう冬の星座も顔を出しています。木星の左下に赤っぽく輝くのはおうし座のアルデバラン(65光年)です。その少し高いところには、1月のこのページで紹介したプレアデス星団M45(すばる)があります。また、アルデバランの北(左)にはぎょしゃ座のカペラ(42光年)が輝いています。ぎょしゃ座には、2021年12月のこのページで紹介したM36・M37・M38の3つの散開星団があります。さらにその下からは、冬の星座の王者オリオン座やふたご座も見え始めています。 |
秋の夜長を楽しみながら、夜も更けて明け方3時ごろになると、東の空から明けの明星の金星が昇ってきます。今月の金星までの距離は光の速さで約7分で、8月12日に地球と太陽の間を通過する内合を過ぎて、急速に地球から遠ざかっているところです。これからの来年の春先までは、明けの明星として見ることができます。 |
Sky-watcher AZ-Go2 MAK127で見た昼間の金星 マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影 |
このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。 |
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