月は光の速さで1.2秒の距離にある 私達に最も近い「星」です。 望遠鏡で見ても、とても興味深い対象です。
残暑お見舞い申し上げます。今年は全国的に天候も良く、大地と太陽からいっぱいの恵みを受けた秋の味覚が、皆さんのお宅の食卓をにぎわせるももうすぐです!。事務所のまわりのたんぼでは、もうすでに金色の輝きが見られるようになり、すでに稲刈りもはじまっています。
秋の夜空といえばまず思い浮かぶのが仲秋の名月。「お月見」と呼ばれる風習は、旧暦(太陰暦)の8月の十五夜に出る「仲秋の月」と、9月の十三夜に出る「後の月」に、その年に収穫された農作物をお供えして、天の恵みに感謝をするものと考えられています。
今年の旧暦の8月の十五夜は、9月22日になります。旧暦と呼ばれる太陰暦はカレンダー(こよみ=暦)の一種で、日本では、現在使われている「太陽暦」が使われはじめた明治6年より前に実際に使われていました。太陽暦が太陽のまわりを地球が一周するのを基準に作られたものであるのに対し、太陰暦は月の満ちかけを基準に作られたもので、同じ日付でも約1カ月のずれがあります。
中秋の名月が東の空から昇るのは、太陽が西の空に沈むより少し前。ちょうどそのころ、西の空の夕焼けの中に、明るく輝く一つの星が見つかるはずです。この星が金星です。天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。今月の金星までの距離は、光の速さで約5分で、現在地球を後ろから追いかけてきているところなので、日に日に大きくなり、太陽に照らされている部分の形も変わっていきます。
金星や水星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、大きさと明るさが大きく変化します。その様子はこちらのページで解説しています。内惑星は地球からの見かけ上、太陽に近いところに見えることが多く、夕方と明け方のわずかな時間しか見ることができない非常に見つけにくい惑星です。
Meade LX200-25で撮影した火星
太陽が沈んで、夕焼け空が暗くなってくると、その金星のすぐ近くに不気味に赤く光る星が見えてきます。これが火星です。火星は、今年1月28日に地球と接近してからどんどんと遠ざかっているところで、今月は光の速さで18分の距離にあります。
この惑星たちが西の空に沈み、夕焼けが終わる午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空にはまだ春の星座が見えています。西の空でいちばん目だってい見えるのは、オレンジ色に輝くうしかい座のアークトゥルス(34光年)です。アークトゥルスからさらに高いところに目を向けると、7月のこのコーナーで紹介した球状星団M13があるヘルクレス座や、その南に見えるへびつかい座が、少しおとなしめに輝いているのをみることができます。 このへびつかい座の南に、赤く輝く一等星が見つかるはずです。この星がさそり座のアンタレス(550光年)です。さそり座には、2002年6月のこのコーナーで紹介した散開星団M6・M7があります。
街中の夜空ではなかなか見ることができませんが、夏休みに都会から離れた山の上や海辺などで夜空を見上げると、夏の大三角を貫いて南の地平線にむかって、淡い光の帯を見ることができます。これが「天の川」です。実際に見たことが無いという方も多いと思いますが、夏の天の川は他の季節に比べて濃くはっきりと見えます。アウトドアやキャンプなどで昼間体を動かした後、食後のひとときに是非機会を作って夜空を見上げてみてください。
その天の川が特に濃く明るく見えるのが、さそり座のM6やM7がのある方向。ちょうど今の時期の真夜中ごろに真南の空に見えてきます。この方角が、私達の天の川銀河の中心の方向になります。私達の地球がある太陽系は、天の川銀河の中心から少し離れたところにあります。このため、中心方向を見ると、明るい天の川を見ることができるのです。特に、この付近を双眼鏡を使って見てみると、天の川が小さな星の集まりであることがわかります。
さそり座から、天の川に沿ってさらに空の高いところに目を移すと、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座のベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座のデネブ(2000光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」と「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。
20cmクラスの望遠鏡の100倍くらいで見た こぎつね座M27のシミュレーション図
望遠鏡での導入方法はこちら
その夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところにあるのが先月のこのページアルビレオという星。そのアルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中にには、M27と呼ばれる星雲があります。地球からの980光年の距離にあり、中心にある星が星の一生を終え、放出されたガスが広がっていく過程が見えているのです。中心にはこれからガスを放出しきって死んで行くであろう白色わい星も見ることができます。
この種の、小さく円形に広がった星雲のことを、惑星のように見えることから「惑星状星雲」と呼んでいます。先月のこのページで紹介したM57もこの仲間で、その中でもM27やM57は比較的明るい星雲で、8cmクラスの望遠鏡でも簡単に見ることができます。
さらに、視線を東の空をに向けると、地平線近くから金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星は、その明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
水星や金星・火星・木星・土星は、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
このページで紹介している星雲星団や惑星の模様・土星の輪などは、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
月・惑星や秋の星雲星団観望に最適な望遠鏡ラインナップ
各マークについての解説はこちら
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