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タイトル画像および背景画像:マーズオービターカメラ(MOC)システムで撮影した火星
Image from (C)NASA

このページは2003年の火星大接近の特集ページです。
2018年の火星大接近の特集ページはこちら。

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 大幅に遅れた今年の梅雨明け。なかなか晴れ間が望めないまま8月を迎えてしまいましたが、皆さんの地方ではいかがですか?。「夏本番」となれば暑い日差しの後の夕涼みに、美しい星空が見られることでしょう。

 8月10日ごろの星空のようすを見ると、北西の空の高いところに目立つっているのが北斗七星です。北斗七星は星座ではなくおおぐま座という星座の一部になります。北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルスおとめ座スピカへと続く春の大曲線の一部としても使われます。うしかい座には、5月のこのコーナーで紹介した球状星団M3があります。また、おとめ座から空の高いところに目を向けると、星空のきれいなところでは、小さな星がごちゃごちゃっと散らばっているのを見ることができます。ここがかみのけ座と呼ばれる星座で、かみのけ座全体がMel.111(メロット111)という星団になっていています。この星団までの距離は約270光年と比較的近い星団のため、肉眼でもわかる大きな広がりを持っています。この付近は、ちょうど私達の銀河系の薄くなった方角にあたるため「銀河ののぞき窓」などと言われていて、口径の大きな望遠鏡で見てみると、無数の銀河(小宇宙)が群がっている様子を見ることができます。

 一方、天頂付近からには夏の星座が見えています。天頂付近にはかんむり座ヘルクレス座といったちょっと暗くおとなしめな星座があります。かんむり座はその名の通り半円形に星が並んだかわいらしい星座です。ヘルクレス座には、北天で最も美しいといわれるM13(去年6月のこのページで紹介)という美しい球状星団があります。

 東の空の高いところには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ・わし座のアルタイルはくちょう座デネブで作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。また、南の空にはさそり座の姿も見えています。

 21時ごろになると、赤く輝くさそり座のアンタレスよりも、もう少し東よりに寄った空に、赤く不気味に赤く光る星を見つけることができるはずです。この星が地球のすぐ外側をまわる火星です。火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。

 火星は、今年8月に129年ぶりの大接近を迎えます。火星と地球は2年2カ月おきに接近をします。前回の接近は2001年6月11日でしたが、今回はその時よりももっと近くに接近し、近年では最も近づく大接近中の大接近になります。今回ほどの大接近になると、小望遠鏡でも十分に表面の模様を見ることができます。

 地球のすぐ外側をまわる火星は、約1年10カ月の周期で太陽のまわりをまわっています。1年で一周する地球とは、約2年2カ月の間隔で接近します。ところが、火星は軌道が少し歪んでいるため、その接近するときの地球と火星の位置によっては大きく接近したり、あまり接近しなかったりします。その様子は下の図のようになります。火星軌道の歪みが太陽に寄っている7〜9月に接近が起こるときのことを「大接近」と呼んでいて、火星を観測する絶好の機会となります。


今回の火星の大接近の様子を
宇宙から見たシミュレーション
緑が地球の軌道・赤が火星の軌道
各惑星は解りやすいように大きくしてあります。
地球は火星に追いつき、追い越して行く

今回の火星の大接近での、火星の視直径(見かけの大きさ)の変化のシミュレーション

6月3日と8月27日では2倍の差がある。

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→カセイを選択

これから15年間の地球と火星の接近する日とその距離
接近する日 距離 視直径
2003/8/23 0.373

25.2

2005/11/3 0.466

20.2

2007/12/19 0.589

15.8

2010/1/29 0.664

14.0

2012/2/29 0.677

13.7

2014/4/6 0.624

15.1

2016/5/18 0.517

18.0

2018/7/25 0.387

24.1

距離の単位はAU(天文単位)
1AUは地球と太陽の平均距離

視直径の単位は角度の秒


地球と火星の軌道を上から見た図

●今年の火星はいつ、どこで見たらいいの?

 その火星は、8月の空では21:00ごろには東の空に見えるようになります。ひときわ明るく赤く輝いているので、一目みて「あれだ」と解るはずです。

 火星を見るのに最も適した時期は、最接近の前後2週間程度の期間。つまり8月10日ごろから9月15日ごろまでが最適です。この期間はほぼおなじくらいの大きさで見ることができます。是非この機会に火星に望遠鏡を向けて、その表面の様子を自分の目で確かめてみましょう。

大接近・中接近・小接近での大きさの比較
最遠の時は太陽の向こう側にいるので、
実際には地球から見ることはできません。
今回の大接近が火星の観望に最適であることがわかりますね

 天体観測をする場所は、空気がきれいで空の透明度が高く、まわりに明かりが少ない場所が良いとされています。しかし、火星をはじめとした惑星の観測は必ずしもそうとは限りません。それは、惑星たちは地球から比較的近い天体で、太陽の光に照らされて十分な明るさをもっているからです。ですから、都会のように透明度がわるく明るい空でも十分見ることができます。

 しかし、惑星観測にもよりよい条件で見ることによって、同じ望遠鏡でも表面の模様をよりはっきりと見ることができます。私たちの地球には、それを取り巻く大気(空気)があります。大気は、地表が温められたり冷めたりすると地表を移動します。これが風となるわけですが、上空の風(気流)が激しく吹くと、空気によってその向こうの宇宙からくる光がかき乱されて、モヤモヤと動いて見えてしまいます。これを天体望遠鏡で高い倍率で見ると、ぼやけてはっきりとした模様を見ることができなくなってしまうわけです。
 そこで、なるべく気流の影響を受けないようにするため、以下のことに気をつけて観測してみましょう。

火星がなるべく空の高いところに来たときに見る
 火星はこの夏、日が沈んだ後の東の空に昇ってきて、夜半ごろ真南の空を通って、明け方西の空に沈んで行きます。ですから、最も高いところに来るのは夜半ごろになります。空の低いところは、宇宙からの火星の光は地球の大気をたくさん通ってきますから、気流の影響も受けやすくなります。ですから、空の高いところに来る夜半ごろを狙って観測してみてください。

都会より、山の上
 ヒートアイランド現象などにより、都市部は常時空気が対流を起こしていて、大気の状態は決して良くありません。また、標高が低い分大気の影響も受けやすくなります。その点、標高の高い高原や山の上では、都市部よりは空気が薄くなり、地表の温度も安定しているため対流も起こりにくく、大気も安定してきれいな惑星像を見ることができます。

台風一過より、晴天続き
 夏は台風のシーズンでもあります。台風が過ぎた後は透明度の高いきれいな星空が見られますが、上空では台風に向かって強い風が吹き続けています。ですから、気流の状態は決して良くありません。それより、晴天が何日も続いて夕立が降った数時間後などは、上空の気流が非常に安定します。

 火星表面の模様は、口径6cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径6cmですから、充分火星を見ることができます。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、是非あなたの目で確かめてください!。

6月7月9月のこのコーナーでも、別の視点から火星についてコメントしています。興味のある方は是非ご覧ください。

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 Meade ETX-70AT・LX90-20・LX200GPSシリーズ→10月下旬〜11月上旬以後
 Meade ETX-ECシリーズ→11月下旬〜12月上旬以後
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