天体観測をする場所は、空気がきれいで空の透明度が高く、まわりに明かりが少ない場所が良いとされています。しかし、火星をはじめとした惑星の観測は必ずしもそうとは限りません。それは、惑星たちは地球から比較的近い天体で、太陽の光に照らされて十分な明るさをもっているからです。ですから、都会のように透明度がわるく明るい空でも十分見ることができます。
しかし、惑星観測にもよりよい条件で見ることによって、同じ望遠鏡でも表面の模様をよりはっきりと見ることができます。私たちの地球には、それを取り巻く大気(空気)があります。大気は、地表が温められたり冷めたりすると地表を移動します。これが風となるわけですが、上空の風(気流)が激しく吹くと、空気によってその向こうの宇宙からくる光がかき乱されて、モヤモヤと動いて見えてしまいます。これを天体望遠鏡で高い倍率で見ると、ぼやけてはっきりとした模様を見ることができなくなってしまうわけです。
そこで、なるべく気流の影響を受けないようにするため、以下のことに気をつけて観測してみましょう。
★火星がなるべく空の高いところに来たときに見る
火星はこの夏、日が沈んだ後の東の空に昇ってきて、夜半ごろ真南の空を通って、明け方西の空に沈んで行きます。ですから、最も高いところに来るのは夜半ごろになります。空の低いところは、宇宙からの火星の光は地球の大気をたくさん通ってきますから、気流の影響も受けやすくなります。ですから、空の高いところに来る夜半ごろを狙って観測してみてください。
★都会より、山の上
ヒートアイランド現象などにより、都市部は常時空気が対流を起こしていて、大気の状態は決して良くありません。また、標高が低い分大気の影響も受けやすくなります。その点、標高の高い高原や山の上では、都市部よりは空気が薄くなり、地表の温度も安定しているため対流も起こりにくく、大気も安定してきれいな惑星像を見ることができます。
★台風一過より、晴天続き
夏は台風のシーズンでもあります。台風が過ぎた後は透明度の高いきれいな星空が見られますが、上空では台風に向かって強い風が吹き続けています。ですから、気流の状態は決して良くありません。それより、晴天が何日も続いて夕立が降った数時間後などは、上空の気流が非常に安定します。
火星表面の模様は、口径6cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径6cmですから、充分火星を見ることができます。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、是非あなたの目で確かめてください!。
●6月・7月・9月のこのコーナーでも、別の視点から火星についてコメントしています。興味のある方は是非ご覧ください。
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