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星空案内はこちらのPDFファイルと一緒にお読みください

 いよいよ今日から師走。この時期、街はクリスマスムードが少しずつただよいはじめ、あちこちでデコレーションされたイルミネーションが艶やかに輝きだしています。そんな街のイルミネーションから、ふと空を見上げてみると、そこにも地上の星たちよりもっと美しい冬の星空が広がっています。

 12月といえばもう季節は冬ですが、午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空の低いところにはまだ夏の星座のはくちょう座ののデネブ(1400光年)が見えています。はくちょう座には、昨年9月のこのページで紹介した散開星団M39など、小望遠鏡で見つけられる星雲星団がたくさんあります。

 はくちょう座は南天の「みなみじゅうじ座」に対して別名「北十字」とも呼ばれています。キリスト教が信仰されている地域では、クリスマスの夜にこの北十字が地平線に付き刺さって見えることから、この十字をイエスキリストが因われた十字架として見ている国や地域もあります。

 一方、天頂から西の空には少しおとなしめに輝く秋の星座が見えています。明るい星が少ない秋の空ですが、「馬肥ゆる秋」のごとく、西の空の高いところに見えているのは、天馬ペガススの姿です。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。ペガスス座には、2022年10月のこのページで紹介した球状星団M15があります。

 このペガススの四辺形を手がかりに、他の星座たちも探してみましょう。 四辺形の西側(右側)の縦の辺をまっすぐ南のほうに延ばしていくと、まわりに明るい星がないところにひとつだけ1等星を見つけることができます。この星がみなみのうお座フォーマルハウト(22光年)です。日本ではその名の通り「みなみのひとつぼし」などと呼ぶ地方もあります。このペガスス座とみなみのうお座の間にはみずがめ座があります。街明かりの明るい空では見つけることができませんが、少し空の暗いところに行くと、3〜4等星の星たちが点々と星座を作っているのがわかります。みずがめ座には、先月のこのページで紹介した球状星団M2や惑星状星雲NGC7293があります。またフォーマルハウトの東(左)にあるちょうこくしつ座には、昨年11月のこのページで紹介したNGC253という銀河があります。
 そのみずがめ座の方角、フォーマルハウトの北(右)のほうに、今年はぽつんと黄色っぽく輝く星が見えます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 視線を再び西の空の高いところのペガススの四辺形に戻し、みずがめ座とは反対の北東の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。ペガススの四辺形とアンドロメダ座との接点の星は「アルフェラッツ」という名前が付けられており、アラビア語で「馬の中心」という意味があります。星座絵に描かれた天馬ペガススの、ちょうどおなかの部分にあたる星なのです。アンドロメダ座には、先月のこのページで紹介したアンドロメダ大銀河M31NGC891昨年10月のこのページで紹介した二重星アルマク・2008年10月のこのページNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影


40倍くらいでみたペルセウス座二重星団の
シミュレーション画像
まさに「宝石箱」です
 そのアンドロメダ座の北側には、小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座があります。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。

 そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、空のきれいなところであれ、ば天の川の中に肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが二重星団です。地球から7600 光年にある2つの星団で、低倍率の望遠鏡や双眼鏡見ると、天の川のたくさんの星の中に見える様子は感動的です。

セレストロン Nexstar+での導入方法
「3」(Deep Sky)キー→
NGC→「869」または「884」をキーパッドから入力

Sky-watcher Gotoドブソニアン
SkyExplorer SE-GTでの導入方法
「5」(NGC)キー→
→「869」または「884」をキーパッドから入力

Meade オートスターでの導入方法
Deep Sky→NGC Object→
キーで「869」または「884」を入力

双眼鏡や天体自動導入でない望遠鏡での見つけ方はこちら


一眼レフデジタルカメラで撮影した秋から冬の星雲星団
APS-C一眼レフ+20mm F1.8レンズ→F2.5使用 1分露出
長野県野辺山高原にて撮影 nano tracker使用
 この付近は天の川の中にあるので、双眼鏡や望遠鏡で見てみると、これ以外にもたくさんの星雲星団を見ることができます。左の写真は、その秋の天の川を撮影したものです。上の方を横に流れているのが天の川で、たくさんの星や星雲星団の中に、暗黒星雲が複雑に入り組んでいる様子も見ることができます。双眼鏡でこの付近を見ると、無数の星たちが輝いている様子を見ることができます。
 さて、こんどはアンドロメダ座から南の空へ目を向けると、今月の宵空で最も目立って金色に輝く星が見えます。この星が木星です。木星は11月3日に「衝」を迎え、今が観望の好期です。木星までの距離は光の速さで約40分かかります。木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。


セレストロン CPC1100-Jで見た木星
マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影

 その木星から東の空に目を向けると、明るい星が多い冬の星座が見えています。木星の左下に赤っぽく輝くのはおうし座アルデバラン(65光年)です。この付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。

おうし座プレアデス星団M45
APS-Cミラーレスデジカメ
Sky-Watcher N130PDS鏡筒 直焦点撮影
Sky-Exploroer SE-GT102M架台に同架
15秒露出 経緯台自動追尾
 さらに、アルデバランやヒアデス星団よりもう少し空の高いところに、都会の明るい空でも肉眼でも数個の星がごちゃごちゃっと集まっているのを見ることができます。これが「すばる」ことプレアデス星団M45です。双眼鏡で見てみると、いろいろな明るさの100個くらいの星が群れを成しているのがわかります。先ほどのヒアデス星団が約150光年と近いのに対し、プレアデス星団は約440光年と約3倍の距離があるので、このように小さくまとまった星団として見えますが、星としてのエネルギーはとても大きく明るいので、肉眼でも見えるほどに明るいのです。
 望遠鏡にデジカメを取り付けて撮影すると、左の写真のようにたくさんの星が集まっている様子を見ることができ、さらに空の暗い場所では、青い星雲が取り囲んでいることもわかります。
 そのおうし座の北(右)には、ぎょしゃ座カペラ(42光年)が輝いています。ぎょしゃ座には、2021年12月のこのページで紹介したM36M37M38の3つの散開星団があります。さらにその下からは、冬の星座の王者オリオン座も上ってきています。オリオン座には、ベテルギウス(約600光年)とリゲル(約900光年)の2つの一等星・オリオンのベルトにある3つの二等星や、2021年1月のこのページで紹介したオリオン座大星雲M42・M43等があります。

 また、ベテルギウスと全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座プロキオン(11.2光年)を結ぶ大きな三角形は、冬の大三角をと呼ばれています。おおいぬ座には、2014年の2月のこのページで紹介した散開星団M41があります。さらにその南には、昨年2月のこのページで紹介したカノープス(310光年)も見えているはずです。
 その冬の大三角の東の空には、ふたご座ポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えてきています。ふたご座には、2015年1月のこのページで紹介した散開星団M35があります。

 夜も更けて明け方3時ごろになると、東の空から明けの明星金星が昇ってきます。今月の金星までの距離は光の速さで約8分で、8月12日に地球と太陽の間を通過する内合を過ぎて、急速に地球から遠ざかっているところです。これからの来年の春先までは、明けの明星として見ることができます。
 金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。


Sky-watcher AZ-Go2 MAK127で見た昼間の金星
マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影
 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

来年の天文現象をちょっとご紹介

来年の天文現象から、特に注目したい現象を3つご紹介します。

★4月8日(月) 北アメリカ大陸で皆既日食

 2024年は世界的に見ると2回の日食があり、その1回目となる4月8日(月)(日本時間9日(火))の日食はメキシコ・アメリカ・カナダで皆既日食になります。

右写真:2017年8月21日 
アメリカ アイダホ州で見られた皆既日食

★8月10日(土)宵・12月25日(水)未明 スピカ食

 おとめ座の一等星スピカが月に隠される現象が8月10日(土)の宵と12月25日(水)の未明に見られます。
右写真:2017年1月9日のアルデバラン食
(クリックするとその時の様子を見ることができます)

12月8日(日)宵 土星食

 12月8日(日)の宵空の高いところに見える月が、土星を隠します。日本で夜に見られる土星食は2002年3月20日以来23年ぶりです。この他、7月25日(木)の朝(日の出後)の西の空でも土星食が起こります。

右写真:2002年1月25日の土星食
(クリックするとその時の様子を見ることができます)

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