星空案内はこちらのPDFファイルと一緒にお読みください
早くも1月が過ぎてしまいました。この冬はとても冷え込みが厳しく、なかなか良い空が見られない日々が続いている地域もありますが、晴れた夜には明るい星の多いにぎやかな冬の星空が広がっています。 |
この冬の宵空では、太陽が沈んだ後の夕焼けの中に宵の明星の金星が見えています。今月の金星までの距離は光の速さで約12分で、昨年11月に太陽の向こう側を周ってから少しずつ地球に接近してきているところです。このあと7月ごろまで、宵の明星として見ることができます。 |
天体望遠鏡で見た 昼間の金星 |
その金星から目を少し南の高い空に向けると、金星に負けじ劣らず金色にとても目立って輝いている星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡で見てみると、表面のしま模様が良く見えます。 また、木星のまわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星も見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。 |
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金星や木星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。 木星が西の空に沈み、夜も深まる午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空にはまだ秋の星座のアンドロメダ座が見えています。アンドロメダ座には2021年10月のこのページで紹介したアンドロメダ大銀河M31やNGC891・昨年10月のこのページで紹介した二重星アルマク・2008年10月のこのページNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。 アンドロメダ座の北側には小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座があります。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。 そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、空のきれいなところであれば天の川の中に肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した二重星団です。 |
さらに天頂から南の空に目を転じると、明るい星が多くとてもにぎやかな冬の星座たちを見ることができます。天頂付近に鈍く赤く輝く星が火星です。火星までの距離は光の速さで約8分で、昨年12月1日に地球に最も近づきました。
火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、約2年2ヶ月ごとに地球に接近します。しかし、接近ごとにその距離が異なります。その理由は、火星の軌道が真円ではなくちょっとゆがんだ楕円をしているためです。今回の接近は、2018年の大接近ほどではありますが、次回同じくらいまで接近するのは2034年までありません。是非この機会に火星に目を向けてみてください。 |
セレストロン CPC1100-Jで見た火星 マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影 |
今月、火星が見えているのはおうし座です。火星のすぐ近くには、おうし座の一等星アルデバラン(65光年)が輝いています。この付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。さらに、火星やアルデバランより少し高いところに、都会の明るい空でも肉眼で数個の星がごちゃごちゃっと集まっているのを見ることができます。これが先月のこのページで紹介した「すばる」ことプレアデス星団M45です。双眼鏡で見てみると、いろいろな明るさの100個くらいの星が群れを成しているのがわかります。先ほどのヒアデス星団が約150光年と近いのに対し、プレアデス星団は約440光年と約3倍の距離があるので、このように小さくまとまった星団として見えますが、星としてのエネルギーはとても大きく明るいので、肉眼でも見えるほどに明るいのです。 そのおうし座より少し北よりには、黄色く輝くぎょしゃ座のカペラ(42光年)が見えています。ぎょしゃ座には冬の天の川が中央を流れていて、双眼鏡で見ると無数の星たちが輝いているのを見ることができます。ぎょしゃ座には、2021年12月のこのページで紹介したM36・M37・M38の3つの散開星団があります。 一方、南の空には冬の星座の代表オリオン座のベテルギウス(約600光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座のプロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。おおいぬ座には、2014年の2月のこのページで紹介した散開星団M41があります。また、シリウスから東に行った天の川の中には、2021年2月のこのページで紹介したとも座の散開星団M46とM47があります。さらに、冬の大三角の東の空には、ふたご座のポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えてきています。ふたご座には、昨年2月のこのページで紹介した散開星団M35があります。 |
オリオン座大星雲M42・M43 セレストロンCPC1100-J + HyperStar APS-Cミラーレスデジカメ 露出30秒 富士山須走口五合目にて撮影 |
冬の大三角の一端を担うオリオン座には、ベテルギウスのほかにもう一つの一等星リゲル(約900光年)と、オリオンのベルトにある3つの二等星が目立って見えますが、そのベルトの下のところに、少し空のきれいなところだと、肉眼でも3つの4等星が縦に並んでいるのを見ることができます。 ここに双眼鏡や望遠鏡を向けると、オリオン座大星雲M42・M43を見つけることができます。私たちの太陽系から約1300〜1600光年の距離にある分子雲の一部が輝いている領域で、その中の活発な部分が、新しい星を生み出していると考えられています。 双眼鏡で見てみると、肉眼で見えていた3つの星が複数の星の集まりとしてみることができ、その中央に星雲を見つけることかできます。 8cmクラスの望遠鏡で見ると、星雲の中心に4つの星が台形に並んでいるのが見えます。この星は「トラぺジウム」(ラテン語で台形の意味)と呼ばれていて、この領域には、まだ輝きだしていない新しい星が、分子雲の向こう側に隠されていると考えられています。 空の暗い場所で20cmクラスの望遠鏡で見てみると、濃淡の付いた星雲が、鳥が羽を広げたようなたいへん美しい姿を見ることができます。 さらに、望遠鏡にデジカメを取り付けて数十秒くらい露出して撮影すると、左の写真のように赤や青に彩られた星雲が写り、たいへん美しい姿を見ることができます。 |
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一方、冬の大三角をずっと南にいった、水平線ギリギリに見えるカノープスという星をご存知でしょうか?。全天で最も明るいおおいぬ座のシリウス(-1.6等星)に次いで2番目に明るい-0.7等星で、地球からの距離は310光年。シリウスは8.7光年とかなり近い星なので、それと比較するとカノープスは絶対等級(実際の星の明るさ)は-5.48MV(シリウスは+1.47MV)と、とても明るく質量の大きな星です。 ここまで書くと、ただの明るい星じゃん?という感じですが、この星はりゅうこつ座という日本からはほとんど見えない星座にあるため、実は見るのがとても難しい星です。理論上は東北以北ではまったく見ることができず、関東では南の空が水平線近くまで開けている場所で、なおかつ透明度が良い日でなければ見ることができないのです。 |
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カノープスは、中国南部などの道教の地域では、「南極老人星」と呼ばれています。水平線から赤みがかった色でよろよろと昇ってくるように見られることや、見られる時期と時間が限られていることから、このような神格された名前が付けられているようです。この星が見られると長生きできるなどという言い伝えもあるそうです。 |
このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。 |
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