早くも1月が過ぎてしまいましたね。この冬は全国的に寒さが厳しく、特に日本海側では雪害も多く発生しています。一方で、冬型の気圧配置が強くなると、関東や太平洋側では乾燥した天気が続き、星空を見るには良い季節でもあります。晴れた夜には、是非星空を見上げてみてくださいね。
この冬の夕方の空で一番星として見えているのは、夕焼けが終わったころに南西の空に見えている木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
木星は、来月中旬ごろまでは夕方の西の空に見えていますが、そろそろ見納めになります。その木星が西の空に沈む午後9時ごろの空の様子を見ると、北西の空にはW字型の星が連なるカシオペヤ座が見えています。カシオペヤ座からもう少し空の高いところに、漢字の「人」という字を横にしたように星が連なるペルセウス座があります。この、ペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近には、先月のこのページで紹介した二重星団です。地球から7600 光年にある2つの星団で、低倍率の望遠鏡や双眼鏡見ると、天の川のたくさんの星の中に見える様子は感動的です。
一方、視線を南の空に向けると、明るい星が多くとてもにぎやかな冬の星座たちを見ることができます。天頂近くの高いところに見える明るい一等星がぎょしゃ座のカペラ(41光年)です。ぎょしゃ座には先月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。
ぎょしゃ座の南にはおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(65光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。一方、もう少し空の高いところに見える数個の星がごちゃごちゃっと集まって見えるところが、2010年12月のこのページで紹介した「すばる」ことプレアデス星団M45です。双眼鏡で見てみると、いろいろな明るさの100個くらいの星が群れを成しているのがわかります。ヒアデス星団までは約150光年・プレアデス星団までは約440光年の距離があり、それぞれの大きさの差はこの距離の違いによるものです。しかし、プレアデス星団の星の輝きは、ヒアデスよりずっと明るく、高温で非常に高いエネルギーを放出していることがわかります。
50倍くらいの望遠鏡で見たM35
Meade オートスターでの導入方法
双眼鏡や天体自動導入機の無い望遠鏡での見つけ方はこちらのページ
すばるやヒアデス星団より少し低いところには、冬の星座の代表冬の星座の王者オリオン座のベテルギウス(310光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座のプロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。おおいぬ座には、2004年の1月のこのページで紹介した散開星団M41があります。さらにその南には、先月のこのページで紹介したカノープス(310光年)も見えているはずです。
冬の大三角の北には、ふたご座のポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えてきています。このふたごは、ギリシャ神話では大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた双子の兄弟と言われています。
そのふたご座のお兄さんのカストルの足もとに、M35という散開星団があります。地球からの距離は2570光年と比較的遠い星団ですが、いろいろな明るさの星がたくさん集まって、双眼鏡でもでも、とてもきれいに見える星団です。
さらに東の空には、もう春の星座も見えるようになります。冬の星座と比較すると明るい星が少ない春の星座ですが、今年の冬の明け方の空には、普段の春の星座の星々には見られない星が見えてきます。22時ごろに東の空から昇ってくる黄色く光る明るい星は土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
土星は4月5日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、今が最も良く見える時期です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
土星のすぐ下におとなしく光っている白い星は、春の夜空では数少ない一等星、おとめ座のスピカ(270光年)です。さらに、スピカより北の空にオレンジ色に輝くるいうしかい座のアークトゥルス(89光年)も目だって見えています。
おとめ座より少し高い空には、もうひとつの春の一等星しし座のレグルス(72光年)が光っています。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。おとめ座やしし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。2005年5月のこのページでも、M65・M66というふたつの銀河を紹介しています。
さらに明け方午前3時ごろになると、金色に明るく輝く星が昇ってきます。この星が金星です。天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。今月の金星までの距離は、光の早さで約8分で少しずつ地球から遠ざかっています。日に日に小さくなり、太陽に照らされている部分の形も変わっていきます。
金星や水星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、大きさと明るさが大きく変化します。その様子はこちらのページで解説しています。内惑星は地球からの見かけ上、太陽に近いところに見えることが多く、夕方と明け方のわずかな時間しか見ることができない非常に見つけにくい惑星です。
金星や木星・土星は、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
このページで紹介している星雲星団や土星の輪は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
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