すっかり春らしくなった5月。この事務所の周辺のたんぼでは、水を張って田植えの準備が進んでいます。耕うん機が田おこしをはじめると、土の中から掘り起こされる虫を取りに野鳥たちが集まってきます。今年は少し暖かい日が多く、すでに南からツバメたちも子育てにやってきています。
当社の事務所の窓から見える竹林は、太陽の光に照らされた若葉がとても美しく見えています。そしてその根元には、この頃になると地面に積もった落ち葉の中から、にょきっとタケノコが顔を出しているのを見ることができます。
美しい若葉を照らしていた太陽が西の空に沈むころ、太陽が沈んだ後の空に、金星が見えています。昨年3月までの間も、同じように西の空の高いところに見えていた金星ですが、去年はその後ずっと明け方の東の空に「明けの明星」として見えていました。今年は、このまま10月ごろまで「宵の明星」として私たちの目を楽しませてくれることでしょう。
今月の金星までの距離は、光の早さで約11分で、少しずつ地球に近づいてきています。天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。金星はこれから地球に接近してきますから、望遠鏡でその姿を見ると日に日に大きさや形が変わるのがわかるはずです。
金星や水星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、大きさと明るさが大きく変化します。その様子はこちらのページで解説しています。内惑星は地球からの見かけ上、太陽に近いところに見えることが多く、夕方と明け方のわずかな時間しか見ることができない非常に見つけにくい惑星ですが、日本の春の宵空では、地球の自転軸の傾きの関係で太陽の天球上の通り道である黄道が地平線に対して垂直に近く交差するため、非常に見やすくなるのです。金星が夜9時過ぎになっても沈まないのは、4〜7月ごろに宵の明星として西の空に見られる時だけで、今年はその意味で珍しい年と言えます。
その金星が西の空に沈む午後9時ごろの星空のようすを見ると、おとなしく輝く春の星たちを見ることができる季節になりました。金星より少し高い西の空にはまだ冬の星座のなごりが見えています。やや北の空の中ほどに黄色く明るく光るぎょしゃ座のカペラ(41光年)と、少し南の空に見える同じくらいの明るさのこいぬ座のプロキオン(11.2光年)が良く目立ちます。この2つの星の中間付近の少し高い空に、明るい星が2つ並んでいるのがふたご座のポルックス(52光年)とカストル(32光年)です。
さらに目を空の高いところに向けると、春の星座が輝いています。冬の星座と比較すると明るい星が少ない春の星座ですが、今年は空の高いところに明るい星が一つ光っています。ふたご座のポルックスとカストルよりもう少し高い空に、不気味に赤く光る星が火星です。今月の火星までの距離は、光の早さで約11分で、1月28日に地球に最接近したあと、少しずつ遠ざかっています。
もうひとつ、都会の街明かりの中では少し見つけにくい星座ですが、いま火星が見える付近の3等星数個が逆Y字に連なっている星座がかに座です。双眼鏡や望遠鏡で探してみると、そこには2003年の4月のこのページで紹介したプレセペという散開星団があります。
Meade LX200-25で撮影した火星
その火星の東には、春の夜空では数少ない一等星のレグルス(72光年)が光るしし座が見えています。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。2005年5月のこのページでも、M65・M66というふたつの銀河を紹介しています。
さらに目を北の空に向けると、春の空ではとても良く目立つ北斗七星が見えています。北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座のアークトゥルス(34光年)・おとめ座のスピカ(220光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。北斗七星はおおぐま座という星座の一部です。おおぐま座には、2002年の4月のこのページで紹介したM81・M82をはじめとして、小望遠鏡でも見ることができる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。
そして、その春の大曲線の終点のスピカとしし座との間に、もう一つの明るい星が見えます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星は3月23日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、今が最も良く見える時期です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
さらに夜が更けて、午前3時ごろに東の空を見ると、金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
水星や金星・火星・木星・土星は、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
このページで紹介している星雲星団や土星の輪は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
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