新宿の街中の空では街のあかりにかき消されて数えるほどしか見えませんが、それでも夜になれば星たちは美しく輝いています。5月10日ごろの星空のようすを見ると、宵の西の空の低いところには、まだ冬の星座が見えています。北よりの空に明るく輝くぎょしゃ座のカペラやこいぬ座のプロキオン、それより少し高いところにふたご座のカストルとポルックスが仲良く並んでいるのを見ることができます。お兄さんのカストルの方が若干暗い2等星で、弟のポルックスの方は1等星です。
プロキオンとカペラの中間の更に低いところに光っているのが土星です。土星は望遠鏡で見ると丸い本体のまわりをくるっとドーナツ状の環が取り巻いている様子をみることができます。冬のあいだとても見やすい位置に輝いていた土星も、もうすぐ見納めになります。宵のうちでも特に早い時間(19:00〜20:00ごろ)の、まだ高度が近いうちに見るとよいでしょう。高度が低くなると、地球の大気の揺らぎの影響で、望遠鏡の性能を十分に発揮することができなくなってしまうのです。
ふたご座よりさらに高いところに、今の宵空では最も明るく輝く木星の姿も見ることができます。木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあります。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。望遠鏡で見ると、木星本体にある縞模様や、木星のまわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見された衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。
一方、空の高いところには、冬の星座に比べるとおとなしめに輝く春の星座を見ることができます。そんな春の星の中でも特に目立つのが、北の空に見える北斗七星です。北斗七星は星座ではなくおおぐま座という星座の一部になります。北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座のアークトゥルス・おとめ座のスピカへと続く春の大曲線の一部としても使われます。
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