今日から10月。当社の事務所のある埼玉では、ここ数日で朝晩の冷え込みが強まり、一気に秋の気配になりました。事務所の周辺でも、いろいろな秋の味覚が収穫の時期を迎えています。今年は夏の雨が少なく、朝晩の寒暖の差が少なかったこともあり、稲の実の入りが例年より悪く、まだ稲刈りが終わっていないたんぼも見受けられます。
その自然の恵みをもたらしてくれる太陽も、秋分を過ぎて日に日に日の入りが早くなり、夕焼けも美しい季節になりましたね。夕焼けが消え、空がすっかり暗くなった午後9時ごろの星空のようすを見ると、東の空の高いところに、金色にひときわ明るく輝いている星が見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
一方、西の空の高いところに視線を向けると、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座のベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座のデネブ(1500光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」と「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座の中には、去年9月のこのコーナーで紹介したM57と呼ばれる星雲があります。また、夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところには、アルビレオというとてもきれいな二重星や、先月のこのページで紹介したM27と呼ばれる星雲もあります。
はくちょう座散開星団M39のシミュレーション画像 20倍くらいの倍率で見るとこのように見えます
一般の望遠鏡や双眼鏡での導入方法はこちら
その夏の大三角のうちのひとつ、10月のうちはまだ高いところに見えるはくちょう座のデネブの少し北に、M39という散開星団があります。星空のきれいな場所では、肉眼でも天の川の中にぼんやりと光のしみのように見ることができる星団で、双眼鏡や低倍率の望遠鏡で見ると、おなじくらいの明るさの星がバラバラっと散らばっている様子がとても美しい星団です。
M39は天の川銀河(私たちの銀河系)の中の天体で、地球から約810光年と比較的近い距離に有るため、このように低倍率の望遠鏡でも大きく広がって見えるわけです。
ペガスス座M15のシミュレーション画像 80倍くらいで見るとこのように見えます 口径20cmクラスより大きな望遠鏡で見ると、 周辺の細かい星粒が見えてきます
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西の空の夏の星座たちにくらべて、少しおとなしめに輝くのが、天頂から東の空に見える秋の星座たちです。「馬肥ゆる秋」のごとく、天頂付近に見えているのは、天馬ペガススの姿です。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。
そのペガススの鼻先に、球状星団M15があります。地球から約31,000光年の距離に有る天の川銀河(私たちの銀河系)の中の天体で、球状星団という名前の通り星がボール状に集まったもので、年老いた星がお互いのエネルギーをもとめて集まってきている様子と考えられています。天の川銀河(私たちの銀河系)の外側を取り巻くように存在する天体で、いまだに謎の多い天体のひとつです。
M15の他にも、みずがめ座のM2(約37,500光年)も秋の夜空で良く知られた球状星団です。これらの星雲や星団は、肉眼では見ることができないため、見つけるのが難しいものです。でも、天体自動導入望遠鏡なら、天体の名前を入力するだけで見つけることができます。
このペガススの四辺形を手がかりに、他の星座たちも探してみましょう。四辺形の西側(右側)の縦の辺をまっすぐ南のほうに延ばしていくと、まわりに明るい星がないところにひとつだけ1等星を見つけることができます。この星がみなみのうお座のフォーマルハウト(22光年)です。日本ではその名の通り「みなみのひとつぼし」などと呼ぶ地方もあります。
一方、ペガススの四辺形の北東の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。ペガススの四辺形とアンドロメダ座との接点の星は「アルフェラッツ」という星で、アラビア語で「馬の中心」という意味があります。天馬ペガススのちょうどおなかの部分にあたる星なのです。アンドロメダ座には、去年10月のこのコーナーで紹介したアンドロメダ大銀河や、2006年10月のこのページで紹介した二重星アルマク・2008年10月のこのページNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。
そして、アンドロメダ座の北側には小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座がます。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。 そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが2008年11月のこのページで紹介した二重星団もあります。
秋の夜空には、たくさんのロマンときれいな星空が広がっています。秋の夜長に、是非星空を眺めてみませんか?。もちろん、今年の秋のおいしい味覚をいっしょに楽しみながら・・・(笑)。
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