東日本大地震の発生から、まもなく2ヶ月になろうとしています。地震とそれによる津波の被害に遭われた皆様に、心からお見舞い申し上げます。
今回の地震と津波により原子力発電所が被災した影響で、当社の事務所がある埼玉県を含む地域で、電気が足りない事態になっています。節電が呼びかけられている関係で、地震以後の星空は、それまでに比べて少し暗くなり、以前の夜空では見ることができない暗い星がとてもよく見えています。
電気というエネルギーは、自然に作り出されるものではありませんし、無尽蔵にあるわけではありません。それなのに、私たちはそれに頼りすぎたがために、なにか「大切なこと」を忘れてきたのかもしれません。その結果、発電所の被害によりその周辺の人々がさらに大きな被害に巻き込まれる結果になってしまいました。
地震は、私たちが住む地球の「活動」のうちのひとつです。そして、地球は太陽系の仲間のうちのひとつです。太陽は、原子力発電所の数億倍の規模の核爆発で、エネルギーを私たちにもたらします。さらに太陽系は銀河系の仲間のうちのひとつです。さらにその外側には、多数の銀河があります・・・。
この機会に、是非宇宙に目を向けてみてください。 地球上に住む私たちは、自然には逆らえないのだということを実感するとともに、いかにして共存していかなければならないのか、その答えが見つかるのではないかと思います。
これほどの大災害があっても、夜空にはいつもとなんら変わりなく、美しい星空が広がっています。午後9時ごろの空の様子を見ると、まだ冬の星座のなごりが見えています。やや北の空の中ほどに黄色く明るく光るぎょしゃ座のカペラ(41光年)と、少し南の空に見える同じくらいの明るさのこいぬ座のプロキオン(11.2光年)が良く目立ちます。この2つの星の中間付近の少し高い空に、明るい星が2つ並んでいるのがふたご座のポルックス(52光年)とカストル(32光年)です。
さらに目を空の高いところに向けると、明るい星の少ない春の星座がおとなしく光っています。ふたご座のとなりにはかに座があります。かに座は最も明るい星でも3等星しかなく、街中の明るい空では残念ながらその姿をみることはできませんが、双眼鏡や望遠鏡で探してみると、そこには2003年の4月のこのページで紹介したプレセペという散開星団があります
かに座からさらに南の空に目を移すと、春の夜空では数少ない一等星、しし座のレグルスがあります。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。 そのうちのいくつかには、小望遠鏡でも見える明るい銀河があります。3月のこのページで紹介したM65・66もそれらの銀河のひとつです。
おおぐま座銀河M81・M82の 望遠鏡で見たときのシミュレーション画像 20cmクラスの望遠鏡で50倍くらいの倍率で見たときの 視野にしてあります
Meade オートスターでの導入方法
しし座から、今度は目を北の空に向けてみると、暗い星が多い春の星座の中ではとても目立つ北斗七星があります。北斗七星はおおぐま座という星座の一部です。おおぐま座にも小望遠鏡でも見ることができる銀河がたくさんあります。そのなかに、M81・M82の2つの銀河があります。どちらも約1800万光年と比較的天の川銀河に近く、小望遠鏡でも見やすい天体です。
左の画像は望遠鏡で見たようすのシミュレーション画像で、下の大きめの方がM81、上の細長い方がM82です。空の条件のよいところでより大口径の望遠鏡を使ってみると、この画像よりもっと細かいところまで見えるときもあります。特にM82のほうは、明るい部分が複雑に分裂している様子をみることができます。ここからは、強力なX線や電波が発せられていることが地上からの観測で解っており、銀河内部で大爆発が起こっていると考えられています。
これまで、銀河や星雲や星団の名前に「M」の文字がついた天体をいくつか紹介してきましたが、これは、18世紀のフランスの天文学者シャルル・メシエが作った星雲星団のリストです。彗星の番人と呼ばれたメシエは、彗星と間違えやすい星雲や星団をあらかじめリストアップして、彗星探索をしやすくしようとしました。メシエ天体は全部110個あり、これらは18世紀の望遠鏡でも見ることができたことからもわかるように、現在の小望遠鏡でも容易に見ることができる天体ばかりです。
しかし、そうは言っても肉眼では見ることができない天体ですから、望遠鏡の視野に入れるのはとても難しいものです。でも、天体自動導入望遠鏡なら、天体の名前を入力するだけで見つけることができます。
さて、その目印となる北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座のアークトゥルス・おとめ座のスピカへと続く春の大曲線の一部としても使われます。その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、先月のこのページで紹介したM3という球状星団があります。
さらに、その春の大曲線の終点のスピカとしし座との間に、もう一つの明るい星が見えます。この星は土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
土星は4月5日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、今が最も良く見える時期です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
土星のすぐとなりにおとなしく光っている白い星は、春の夜空では数少ない一等星、おとめ座のスピカ(270光年)です。
さらに明け方、日の出1時間前の午前3時ごろ、東の空からいくつかの明るい星がまとまって昇ってくるのが見えます。そのうち、最も明るいのが金星です。天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。今月の金星までの距離は、光の早さで約10分で少しずつ地球から遠ざかっています。日に日に小さくなり、太陽に照らされている部分の形も変わっていきます。
そして金星のすぐ隣に、より少し暗いながらも負けじ劣らず金色に輝いているのが木星です。木星までの距離は光の速さで40分で、たまたま地球からの見かけ上、金星の向こう側に見えているということになります。金星より4倍遠いところあるにもかかわらず、大きさが地球の直径の10倍あるため、こんなに明るく見えているのです。
さらに5月中旬ごろには、この2つの星に加えて水星の姿もこの近くに見えています。このころの水星までの距離は光の速さで6分で、一時的に月の次に地球に近い星になっています。水星は太陽のすぐ外側を回っているため、太陽が昇る前と沈んだ後のわずかな時間しか見ることができず、なかなか見つけることができない星でもあります。是非この機会に探してみてください。
このように、惑星たちはそのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
このページで紹介している星雲星団や土星の輪は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
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