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 今日から11月。当社の事務所のある埼玉周辺では、標高の高いところから紅葉が少しずつ麓に下りてきています。今年は寒暖の差が大きく、紅葉の色づきも例年以上に美しいようです。夕日が沈む時間も早くなり、夕焼けがとても美しい季節になりましたね。

 その夕焼けが終わり夜も深まる午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空の中ほどに、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ・わし座のアルタイルはくちょう座デネブで作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。
 こと座には、7月のこのページで紹介したリング状星雲M57があります。はくちょう座付近には、2015年9月のこのページで紹介した天の川の中に見える散開星団M39や、アルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中にある、8月のこのページで紹介した亜鈴状星雲M27や座の球状星団M71など、小望遠鏡で見つけられる星雲星団がたくさんあります。是非ご自分の目ではるか宇宙からの光を確かめてみてください。

 一方、西の空の夏の星座たちにくらべて、少しおとなしめに輝くのが、天頂から南の空に見える秋の星座たちです。「馬肥ゆる秋」のごとく、天頂付近に見えているのは、天馬ペガススの姿です。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。ペガスス座には、、2013年10月のこのコーナーで紹介した球状星団M15があります。

 このペガススの四辺形を手がかりに、他の星座たちも探してみましょう。四辺形の西側(右側)の縦の辺をまっすぐ南のほうに延ばしていくと、まわりに明るい星がないところにひとつだけ1等星を見つけることができます。この星がみなみのうお座フォーマルハウト(22光年)です。日本ではその名の通り「みなみのひとつぼし」などと呼ぶ地方もあります。

 そして、ペガススの四辺形の北東(左上)の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。ペガススの四辺形とアンドロメダ座との接点の星は「アルフェラッツ」という星で、アラビア語で「馬の中心」という意味があります。星座絵に描かれた天馬ペガススの、ちょうどおなかの部分にあたる星なのです。アンドロメダ座には、先月のこのページで紹介したアンドロメダ大銀河M31NGC891の他、2006年10月のこのページで紹介した二重星アルマク2008年10月のこのページNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。

 そのアンドロメダ座の北側には、小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座があります。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう

一眼レフデジタルカメラで撮影した秋の星雲星団
APS-C一眼レフ+20mm F1.8レンズ→F2.5使用 1分露出
長野県野辺山高原にて撮影 
nano tracker使用

 ペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した二重星団です。
 この付近は天の川の中にあるので、双眼鏡や望遠鏡で見てみると、これ以外にもたくさんの星雲星団を見ることができます。左の写真は、その秋の天の川を撮影したものです。上の方を横に流れているのが天の川で、たくさんの星や星雲星団の中に、暗黒星雲が複雑に入り組んでいる様子も見ることができます。双眼鏡でこの付近を見ると、無数の星たちが輝いている様子を見ることができます。

 さらに目を東の空に向けると、そこにはすでに冬の星座も顔を出しています。ペルセウス座より少し低い ところに、黄色く輝いて見えるのがぎょしゃ座カペラ(42光年)です。ぎょしゃ座には1月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。
 ぎょしゃ座の南にはおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(65光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。
 一方、もう少し空の高いところに見える数個の星がごちゃごちゃっと集まって見えるところが「すばる」ことプレアデス星団M45です。双眼鏡で見てみると、いろいろな明るさの100個くらいの星が群れを成しているのがわかります。おうし座の南には、冬の星座の王者オリオン座ベテルギウス(600光年)も東の空から昇ってきています。
 秋の夜は長く、朝日が東の空から昇ってくるのも日に日に遅くなっていきます。ちょっと早起きして明け方5時ごろ、東の地平線から金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星が明けの明星金星です。今月の金星までの距離は光の速さで約14分で、少しずつ地球から遠ざかっています。これから太陽の向こう側に回りこむため、日に日に太陽に近づいて見えにくくなり、来年に入ると夕方の西の空に宵の明星として見えるようになります。
 水星と金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。
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天体望遠鏡で見た
昼間の金星
 さらに11月中旬になると、金星に続いて木星も東の空から昇るようになります。13〜14日にかけては、この金星と木星が望遠鏡でひとつの視野に入るほどまで見かけ上接近します。17日にはさらに月も加わって、朝焼けの空の中でとても美しい眺めになりそうです。是非早起きして観察してみてください。 
11月の明け方の東の空のシミュレーション画像
東京での5:30ごろの様子
大阪では約20分後・福岡では約40分後がほぼ同じ空です
金星は日に日に低くなり、代わりに木星が高くなってきます

2015年10月9日朝の
金星と月のランデブー

11月13日朝の金星と木星のランデブーの様子
埼玉県日高市にて撮影
14日からは木星のほうが金星より高い位置になります
朝焼けの中の金星と木星
右上にスピカ
右下に東京スカイツリー
85mmF2レンズ
APS-C一眼レフデジカメ

上が金星・下が木星
木星のしま模様が見えます
KV90M133直焦点
APS-Cミラーレスデジカメ
ARK-1で自動導入・自動追尾
少し露出時間長くすると
木星のガリレオ衛星も写ります
KV90M133直焦点
APS-Cミラーレスデジカメ
ARK-1で自動導入・自動追尾
11月17日朝の月と金星と木星のランデブーの様子
埼玉県日高市にて撮影

85mmF2レンズ APS-Cミ一眼レフ
月出から日の出までのタイムラプス
ムービーはこちら(MP4 28MB)

さいたま市方面の高層ビルの上に月・木星・金星の順に昇ってきます
左下以外は135mmF2.5レンズ APS-Cミラーレスデジカメ

 もうひとつ、この金星や木星より少し高い空に、おとめ座の一等星スピカ(約260光年)をはさんで火星も見えています。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。
 今月の火星までの距離は光の速さで約19分で、金星よりもさらに向こう側にあり、実際の大きさも金星の約半分しかないため、2等星くらいの明るさしかなく、小さく暗く見えますが、これから来年7月31日の大接近に向けて、少しずつ地球に接近してきます。今月と来年7月31日の火星の見かけの大きさは、約6倍も変わります。是非毎月火星を観察して、その変化をご自身の目で確かめてみてください。

Meade LX200-25で撮影した火星
 火星は、私たちの地球のすぐ外側を回っている惑星で、約2年2ヶ月ごとに地球に接近します。しかし、接近ごとにその距離が異なります。その理由は、火星の軌道が真円ではなくちょっとゆがんだ楕円をしているためです。
 右の図は、その軌道を上から見た図になります。地球軌道と火星軌道が離れている2月ごろに接近するときには小接近になりますが、軌道が接近している8月ごろに接近するときには大接近になるのです。

2016年から2029年までの地球と火星の接近する位置
地球の軌道を鉛直方向から見た図
2018年7月31日の大接近は大変良い条件になります
接近する日 距離 視直径
2016/05/31 0.50AU

18.6"

2018/07/31 0.38AU

24.3"

2020/10/06 0.41AU

22.6"

2022/12/01 0.54AU

17.2"

2025/01/12 0.64AU

14.6"

2027/02/20 0.68AU

13.8"

2029/03/30 0.65AU

14.5"

2031/05/12 0.55AU

16.9"

これから15年間の地球と火星の接近する日とその距離・大きさのシミュレーション
最遠のときは太陽の向こう側にあるので、地球からはみることができません。
 金星や火星・木星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。

 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
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各マークについての解説はこちら
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