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 この冬は、日本海側を中心に大雪などの被害もありましたが、3月になるとだいぶ暖かな日も多くなり、当社の事務所がある埼玉では、そろそろスギ花粉の季節です(苦笑)。マスクと鼻炎薬が手放せない季節になりました・・・。でも、日に日に少しずつ暖かくなり、木々の芽吹きや鳥のさえずりから春が近くまで来ていることも感じさせてくれます。

 この季節は、花粉とあわせて中国大陸からの黄砂の影響もあり、晴れてもなかなかきれいな星空が見えない日も多いのですが、風向きが変わると空がとても青く、きれいな星空が見られるときがあります。この春の宵空では、太陽が沈んだ後の夕焼けの中に宵の明星金星が見えています。今月の金星までの距離は光の速さで約10分で、昨年11月に太陽の向こう側を周ってから少しずつ地球に接近してきているところです。このあと7月ごろまで、宵の明星として見ることができます。

 水星と金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。

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天体望遠鏡で見た
昼間の金星
 その金星から目を少し低い空に向けると、金星に負けじ劣らず金色にとても目立って輝いている星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡で見てみると、表面のしま模様が良く見えます。
 また、木星のまわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星も見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。


セレストロン CPC1100-Jで見た木星
マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影

 金星や木星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。

 金星や木星が西の空に沈み、夜も深まる午後9時ごろの星空のようすをを見ると、北西の空には、まだ秋の星座のカシオペヤ座が見えています。そのカシオペアの上には、漢字の「人」という字を横にしたように星が連なるペルセウス座があります。そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、空のきれいなところであれば天の川の中に肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した二重星団です。

 さらに空の高いところに目を移すと、明るい星が多くとてもにぎやかな冬の星座たちを見ることができます。北よりの高いところに見えるのがぎょしゃ座カペラ(42光年)です。ぎょしゃ座には冬の天の川が中央を流れていて、双眼鏡で見ると無数の星たちが輝いているのを見ることができます。ぎょしゃ座には、2021年12月のこのページで紹介したM36M37M38の3つの散開星団があります。
 そのぎょしゃ座の少し南に鈍く赤く輝く星が火星です。火星までの距離は光の速さで約10分で、昨年12月1日に地球に最も近づきました。
 火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、約2年2ヶ月ごとに地球に接近します。しかし、接近ごとにその距離が異なります。その理由は、火星の軌道が真円ではなくちょっとゆがんだ楕円をしているためです。今回の接近は、2018年の大接近ほどではありますが、次回同じくらいまで接近するのは2034年までありません。是非この機会に火星に目を向けてみてください。

セレストロン CPC1100-Jで見た火星
マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影
 ぎょしゃ座や火星より少し低いところには、おうし座の一等星アルデバラン(65光年)が輝いています。この付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。さらに、火星やアルデバランより少し低いところに、都会の明るい空でも肉眼で数個の星がごちゃごちゃっと集まっているのを見ることができます。これが1月のこのページで紹介した「すばる」ことプレアデス星団M45です。双眼鏡で見てみると、いろいろな明るさの100個くらいの星が群れを成しているのがわかります。先ほどのヒアデス星団が約150光年と近いのに対し、プレアデス星団は約440光年と約3倍の距離があるので、このように小さくまとまった星団として見えますが、星としてのエネルギーはとても大きく明るいので、肉眼でも見えるほどに明るいのです。

 一方、南の空には冬の星座の代表オリオン座ベテルギウス(約600光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座プロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。おおいぬ座には、2014年の2月のこのページで紹介した散開星団M41があります。

 冬の大三角の一端を担うオリオン座には、ベテルギウスのほかにもう一つの一等星リゲル(約900光年)と、オリオンのベルトにある3つの二等星が目立って見えますが、そのベルトの下のところに、少し空のきれいなところだと、肉眼でも3つの4等星が縦に並んでいるのを見ることができます。ここに双眼鏡や望遠鏡を向けると、1月のこのページで紹介したオリオン座大星雲M42・M43を見つけることができます。

 さらに、冬の大三角より高い空には、ふたご座ポルックス(52光年)とカストル(32光年)が仲良く輝いています。ふたご座には、昨年2月のこのページで紹介した散開星団M35があります。

とも座散開星団M46・M47
セレストロン Nexstar Evolution 6-J + Hyperstar
マイクロフォーサーズミラーレスカメラ 15秒露出
栃木県太平山にて撮影
8倍クラスの双眼鏡で見てみると、
ちょうど2つの星団をひとつの視野に見ることができます
 周囲に街灯等がなく、空のきれいな場所に行くと、このふたご座から冬の大三角を貫くように、淡い光の帯が続いているのを見ることができます。これが天の川です。私たちの太陽系は、私たちの天の川銀河の中心から少し離れたところに位置していますが、冬の天の川は、円盤状になっている天の川銀河の中心とは反対の方向を見ていることになり、中心方向にあたる夏の天の川より細く淡く見えます。それでも、双眼鏡や望遠鏡で見てみると、これまで紹介してきたもの以外にも、たくさんの星雲や星団を見ることができます。
 そのうちの一つ、おおいぬ座のシリウスの少し東に見えるのが、とも座にあるM46M47です。東側(右の写真の左側)の暗い星がたくさん集まって見えるのがM46で、地球から約5,300光年の距離にあります。西側(右の写真の右側)の比較的明るい星がざらざらと集まって見えるのがM47で、地球から約1,600光年の距離にあります。この距離の差が、見かけの明るさや広がりと大きく関係しています。

 さらにM46の中を良く見てみると、星団の中の上(北)のほうに、魚のめだまのように見える小さな星雲があるのに気づくでしょう。これはNGC2438という惑星状星雲です。約2,900光年の距離にあり、M46よりずっと手前にある天体なので、M46を構成する星とは直接関係はなく、たまたま星団の手前に見えているわけです。

 このようにして、宇宙を立体的に考えながら天体を見てみると、私たちの地球が置かれている状況を目で感じ取ることができるのではないと思います。

セレストロン Nexstar+での導入方法
「3」(Deep Sky)キー→メシエ
→「046・047」をキーパッドから入力

Sky-watcher Gotoドブソニアンでの導入方法
「4」(メシエ)キー→
→「046・047」をキーパッドから入力

Meade オートスターでの導入方法
Deep Sky→
Messier Object→
キーで「46・47」を入力

双眼鏡や天体自動導入機の無い望遠鏡での見つけ方はこちら

 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

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