夕焼けが少しずつ姿を消して、金星が西の地平線に沈む頃、天頂から南の空には、夏の星座が堂々と輝いています。8月10日ごろの星空のようすを見ると、天の高いところに、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座のベガ・わし座のアルタイル・はくちょう座のデネブで作られる「夏の大三角形」です。今年の旧暦の七夕は8月15日ですが、中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」と「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。
街中の夜空ではなかなか見ることができませんが、夏休みに都会から離れた山の上や海辺などで夜空を見上げると、夏の大三角を貫いて南の地平線にむかって、淡い光の帯を見ることができます。これが「天の川」です。実際に見たことが無いという方も多いと思いますが、夏の天の川は他の季節に比べて濃くはっきりと見えます。アウトドアやキャンプなどで昼間体を動かした後、食後のひとときに是非機会を作って夜空を見上げてみてください。
夏の夜空には小望遠鏡や双眼鏡でも楽しめる星雲や星団がたくさんありますが、今月はその中から理科の教科書にも載っている有名なリング状星雲M57を紹介します。こと座の中にあるこの星雲は、星雲の中心にある星が一生を終えて、自分自身の重力バランスを失って大爆発を起こし、内部に持っていたガスを吹きだしている様子と考えられています。
今月はもうひとつ、宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」でも出てくるはくちょう座のアルビレオを紹介します。宮沢賢治が「眼もさめるような、青宝玉(サファイア)と黄玉(トパース)の大きな二つのすきとおった球」と表現した、それはとても美しい二重星です。望遠鏡の倍率を低めにして、広い視野で見た方が、美しく見えると思います。肉眼でも見える星ですので、望遠鏡への導入はとても簡単です。是非のぞいてみてください。
この他にも、この付近にはたくさんの星雲星団が見えます。双眼鏡をこの方向に向けるだけで、無数の星たちをみることができます。こちらのファインディングチャートを参考に、是非あなたも双眼鏡や望遠鏡で楽しんでみてください。
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