早くも1月が過ぎてしまいましたね。ここ数年、冬には極端に寒かったり積雪量が多かったりという年が続きましたが、今年は今のところ平年並みのようで一安心です。冬型の気圧配置が強くなると、日本海側では曇りがちな天気が続きますが、関東や太平洋側では空気が乾燥し透明度の良い夜空に、冬の美しい星たちが輝く季節です。
今月は、皆さんに是非見ていただきたい天文現象があります。それは「七曜の全天体が見える」ことです(笑)。「曜日」の起源は、かつて天動説が信じられていた時代に、太陽と月と5つの惑星の動きを観測し、その規則性から7つの曜日を割り振ったと考えられています。日本では、明治5年に現在も使われているのグレゴリオ暦(太陽暦)になってから、曜日は「日」「月」「火」「水」「木」「金」「土」になっていますが、今月上旬の夜空では、このすべての星を一晩で見ることができるのです!。太陽(日)と月は日常生活の中でも見る機会があると思いますが、今回は、それ以外の5惑星を見つけてみましょう。
まず最初に見ていただきたいのは、夕方の西の空に輝いている水星です。水星は、1月31日に東方最大離角を迎え、夕方の西の空で見やすくなっています。月初から8日ごろまでの間、太陽が沈んだ30分後ごろの西の空の夕焼けの中に、明るく輝く水星を見つけることができるはずです。水星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。
右の写真は、2008年12月31日の夕暮れの写真ですが、クリックして拡大すると、富士山の右斜め上に2つの星(水星と木星)が並んで見えています。今回もこのときと同じように、赤く染まった空の中に見えているはずです。2月2日〜4日にかけては、細い月が西の空に見えていますから、この写真と同じように月から地平線に向かってやや右下あたりを探せば、明るく輝く水星を見つけられるはずです。
水星を見つけたら、今度は夜の空に見える惑星を探してみましょう。午後9時ごろの星空のようすを見ると、北西の空にはW字型の星が連なるカシオペヤ座が見えています。カシオペヤ座からもう少し空の高いところに、漢字の「人」という字を横にしたように星が連なるペルセウス座があります。この、ペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近には、2013年12月のこのページでも紹介している二重星団と呼ばれるこの星の集まりがあります。また、さんかく座にあるM33や、カシオペヤ座のM52など、この季節はたくさんの美しい星雲星団を見ることができます。是非あなたも双眼鏡や望遠鏡で楽しんでみてください。
さらに天頂から南の空に目を転じると、明るい星が多くとてもにぎやかな冬の星座たちを見ることができます。北よりの高いところに見えるのがぎょしゃ座のカペラ(42光年)です。ぎょしゃ座には2013年1月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。
ぎょしゃ座の南にはおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(65光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。一方、もう少し空の高いところに見える数個の星がごちゃごちゃっと集まって見えるところが、2013年12月のこのページで紹介した「すばる」ことプレアデス星団M45です。
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すばるやヒアデス星団より少し低いところには、冬の星座の代表オリオン座のベテルギウス(640光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座のプロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。さらにその南には、2012年1月のこのページで紹介したカノープス(310光年)も見えているはずです。
おおいぬ座のシリウスのすぐ南には、M41という散開星団があります。地球からの距離は約2500光年と、ヒアデス星団やプレアデス星団に比べると遠い天体ですが、双眼鏡でもその存在を容易に確認することができます。
その冬の大三角の北には、ふたご座のポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えてきています。このふたごは、ギリシャ神話では大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた双子の兄弟と言われています。ふたご座には、先月のこのページで紹介した散開星団M35があります。
今年のふたご座に、もうひとつ金色に輝く明るい星が目だって見えています。この星は木星です。木星は1月6日に「衝」を迎え、今が最も良く見える時期です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。
夜も更けて11時ごろになると、空にはもう春の星座も見えるようになります。冬の星座と比較すると明るい星が少ない春の星座ですが、今年の冬の深夜から明け方の空には、3つの惑星たちが見えています。真東の水平線から青白く光るおとめ座のスピカ(約260光年)と一緒に不気味な存在感で赤く明るく輝く星が火星です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。
現在、火星までの距離は光の早さで約8分で、今年4月に再接近に向けて少しずつ地球に近づいてきていて、します。今回の接近は2003年ほどの大接近にはなりませんが、火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、いち早く自分の目確かめてみませんか?。
●2003年の6月・7月・8月・9月のこのコーナーでは、火星についてより詳しくコメントしています。興味のある方は是非ご覧ください。
さらに夜半過ぎ、スピカや火星を追うようにもうひとつ黄色く光る明るい星が見えてきます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
そして、朝焼けが始まる朝5時ごろになると、明けの明星の金星も見ることができます。金星は、昨年12月の下旬までは夕方の西の空で宵の明星として見えていましたが、1月11日に太陽と地球の間を通過する内合を迎え、今年の前半は明け方の空に輝くようになります。今月の地球から金星までの距離は約3分で、急速に地球から離れていっています。金星を天体望遠鏡で見てみると、左の写真のように月のように欠けている様子がわかります。
20cmクラスの望遠鏡で見た土星 デジタルカメラで撮影
このように、今月は一晩中星空を眺めていれば、5惑星のすべてを見ることができます。しかし、そんなに起きていられない!(笑)という方は、夕方に水星と木星をみて、朝ちょっと早起きすれば、金星・火星・土星を見ることができます。是非チャレンジしてみてください!。
また、これらの惑星はそのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
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