星空案内はこちらのページと一緒にお読みください

 いよいよ今日から師走。吹く風はもう冬を感じさせます。街もクリスマスムードが少しずつただよいはじめ、あちこちでデコレーションされたイルミネーションが艶やかに輝きだしています。そんな街のイルミネーションから、ふと空を見上げてみると、そこにも地上の星たちよりもっと美しい冬の星空が広がっています。
???? 太陽が西の空に沈んですぐ、夕焼け空の低いところに、ひとつの明るい星が見えてきます。この星が宵の明星金星です。金星を天体望遠鏡で見てみると、左の写真のように月のように欠けている様子がわかります。
 金星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。
 金星は8月15日に外合(地球から見て太陽の向こう側を通過する)を過ぎて、少しずつ地球に接近しているところです。今月の金星までの距離は、光の早さで約11分で、金星は日に日に空の高いところに見られるようになります。来年前半はこの金星が宵空の高いところに輝き、6月6日には太陽面を通過していく現象・8月14日には月に隠される金星食と、主役級の活躍を見せてくれます。

 その金星が西の空に沈み、空がすっかり暗くなった午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空の低いところにはまだ夏の星座のはくちょう座デネブ(1400光年)が見えています。はくちょう座には、昨年11月のこのページで紹介したM39という明るい散開星団があります。

 さらにはくちょう座より高いところには、少しおとなしめに輝く秋の星座たちが見えます。比較的明るい星が少ない秋の星座ですが、空の高いところに見える4つの2等星で作られる秋の四辺形は、天馬ペガススのおなかにあたる場所にあります。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。ペガスス座には、・昨年10月のこのコーナーで紹介した球状星団M15があります。

 このペガススの四辺形を手がかりに、他の星座たちも探してみましょう。四辺形の西側(下側)の縦の辺をまっすぐ南のほうに延ばしていくと、まわりに明るい星がないところにひとつだけ1等星を見つけることができます。この星がみなみのうお座フォーマルハウト(22光年)です。日本ではその名の通り「みなみのひとつぼし」などと呼ぶ地方もあります。

 一方、ペガススの四辺形の北東の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。ペガススの四辺形とアンドロメダ座との接点の星は「アルフェラッツ」という星で、アラビア語で「馬の中心」という意味があります。天馬ペガススのちょうどおなかの部分にあたる星なのです。アンドロメダ座には、昨年11月のこのページで紹介した有名なアンドロメダ大銀河2008年10月のこのページで紹介した散開星団NGC752などがあります。また、このアンドロメダ座の2等星の並びのいちばん先端、ペルセウス座に近いところに輝く2等星アルマクは、昨年11月のこのページでも紹介したとても美しい二重星として知られています。

 アンドロメダ座の北側には小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座がます。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。
 そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した二重星団もあります。

 そして、アンドロメダ座より低い南の空に、周りのどの星より明るく金色に輝く星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影

 木星からさらに東の空に目を転じると、明るい星が多くとてもにぎやかな冬の星座たちを見ることができます。北よりの高いところに見えるのがぎょしゃ座カペラ(42光年)です。ぎょしゃ座には2003年1月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。

 ぎょしゃ座の南にはおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(65光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。一方、もう少し空の高いところに見える数個の星がごちゃごちゃっと集まって見えるところが、昨年12月のこのページで紹介した「すばる」ことプレアデス星団M45です。

 すばるやヒアデス星団から少し低いところには、冬の星座の代表冬の星座の王者オリオン座ベテルギウス(600光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.6光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座プロキオン(11.4光年)が冬の大三角を形作っています。その北側にはふたご座ポルックス(34光年)とカストル(50光年)も見えてきています。ふたご座にも、2004年3月のこのページで紹介したM35という散開星団があります。

 さらに時間が過ぎ23時ごろになると、しし座レグルス(77光年)の少し下から、不気味に赤く光る火星が昇ってってきます。今月の火星までの距離は、光の早さで約10分で、来年3月の小接近に向けてゆっくりと近づいてきています。

 このように、惑星たちはそのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。


Meade LX200-25で撮影した火星

 明け方、3時ごろになると、東の空から青白く光るおとめ座スピカ(約260光年)と一緒に、もうひとつ黄色く光る明るい星が見えてきています。この星は土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 このページで紹介している星雲星団や土星の輪は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

来年の天文現象をちょっとご紹介

来年も楽しみな天文現象が盛りだくさんです!。
その中から、特に注目したい現象を5つご紹介します。

★3月6日 2年2ヶ月ぶりに火星が接近

 火星と地球は、約2年2ヶ月の周期で地球に接近します。今回は、火星の軌道が最も地球から離れたところで接近するため、2003年の大接近と比較するとあまり大きく見ることはできませんが、それでも夜空に赤く輝く火星をいつもより大きく見ることができます。

右写真:2003年9月の大接近の時の火星
(クリックするとその時の様子を見ることができます)

★5月21日(月) 本州では129年ぶりの金環日食

 日本での2012年最大の天文現象といっても過言では無いでしょう。東京・名古屋・大阪を含む各地で金環日食が見られます。その他の地域でも大きく欠ける部分日食として見ることができます。

右写真:2010年1月15日に中国で見られた金環日食の様子
(クリックすると今回の日食の詳細を見ることができます)

★6月4日(月)宵 西日本で部分月食

 上の日食の14日後となる満月には、西日本で部分月食を見ることができます。2012年に日本で見られる月食は、この1回だけです。

右写真:2007年8月28日の月食
(クリックするとその時の様子を見ることができます)

★6月6日(水) 8年ぶりの金星の太陽面通過

 私たちの地球のすぐ内側を公転している金星が、太陽の手前を横切っていく現象が、6月6日に見られます。前回は2004年6月8日に見られましたが、次回は2117年12月11日まで、105年先まで見られません!。

右写真:2003年5月7日の水星の太陽面通過
(クリックするとその時の様子を見ることができます)

★8月14日(火)未明 暗夜に見られるものとしては23年ぶりの金星食

 上の太陽面通過後、明けの明星になる金星が、8月14日の未明に月に隠されます。三日月のような月にすぐ横に、しずくのように光る金星が見られるはずです。
 日本で夜に見られた金星食は、1989年12月2日以来23年ぶりの現象です。次回、今回のように暗夜に起こる金星食は、2063年5月31日までありません!。

右写真:2001年1月25日の土星食
(クリックするとその時の様子を見ることができます)

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