●大口径望遠鏡を簡単に持ち運べるドブソニアン式
天体望遠鏡は、宇宙からやってきた光を凸レンズや凹面鏡を使って集め、それを人間の眼やカメラに像として映してくれる道具です。ですから、その光を集める面積が大きければ大きいほど、明るく鮮明な像を見ることができます。
しかし、大きな望遠鏡は持ち運びが難しくなってしまいうため、昔からいろいろな工夫がなされています。当社で多く扱っている天体自動導入望遠鏡は、カセグレン式反射望遠鏡を採用して、光軸を折り返すことで鏡筒を短くし、大口径ながらも持ち運びができる望遠鏡を実現しています。
一方、従来からのニュートン式反射望遠鏡を工夫して、持ち運びしやすくしたものも現れました。アメリカ カリフォルニア州のアマチュア天体観測家J. L. ドブソン(John Lowry Dobson 1915〜2014)氏が1960年ごろに考案したのは、従来の望遠鏡にあった大きな三脚や架台をなくし、水平に回転する円盤の上に上下に向きを変えられる鏡筒が載っただけの望遠鏡でした。経緯台と同じように極限まで構造を単純にして、組み立てや分解を簡単にすることで、大口径な望遠鏡を持ち運びできるようにしたのです。
この方法は、特に当時のアマチュア天文家の間で広まり、様々な工夫を施した自作の望遠鏡が現れるようになりました。このような望遠鏡のことを、製作者の名前を取って「ドブソニアン式望遠鏡」と呼ぶようになりました。
しかし、ドブソニアン式望遠鏡には欠点もありました。従来の望遠鏡についている微動装置が無いため、低い倍率で星雲星団などを見る場合は問題にならなくても、高い倍率で惑星などを見るのには不都合があることや、地球の自転で移動していく天体を追尾するのもある程度経験が必要で、望遠鏡をはじめて扱う人にとっては、天体を導入することも難しいものでした。
そのような背景から、ドブソニアン式望遠鏡は主にマニア層を中心に普及してゆきました。1990年ごろからは、天体の導入を支援するための装置も開発されるようになり、近年は、ドブソニアンの単純な構造を利用した安価な反射望遠鏡を提供するメーカーも現れました。
Sky-watcher Gotoドブソニアンシリーズは、このようにして発展してきたドブソニアン式望遠鏡に、本格的な天体自動導入装置を組み合わせ、問題点であった天体の導入や追尾を自動化することで、実用性を大幅に改善しました。はじめて望遠鏡を扱う方でも使える、魅力的な大口径望遠鏡になっています。