星空案内はこちらのページと一緒にお読みください

 すっかり春めいてきた今日このごろ。各地から花の便りが聞かれる季節となりました。

 当社の事務所近くのたんぼの畦には、今年もつくしがたくさん顔を覗かせています。右の2枚の写真のうち、左の写真は事務所近くのつくしですが、同じつくしでも右の写真のものはものすごく茎が長いですね(笑)。これは、ノルウェーの北部フィンマルク地方でみかけたつくし。緯度の高い北欧では、つくしは6月に現れます。日本とは季節が2ヶ月も違うことになりますね。

 一方、地面から視線を上にあげると、日本ならではの春の花、桜も咲き始めています。今年は3月の寒暖の差が大きく、全国的に桜の開花時期が例年より1週間くらい早いようですね。今年はちょうど月初が満月になります。月夜の桜の下でお花見を楽む方も多いのではないでしょうか。

日本のつくし ノルウェーのつくし

???? その夜桜の向こうには、晴れていれば美しい星空が広がっているはずです。今年は、夕方の太陽が沈んだ後の空に、金星が見えています。昨年3月までの間も、同じように西の空の高いところに見えていた金星ですが、去年はその後ずっと明け方の東の空に「明けの明星」として見えていました。今年は、このまま10月ごろまで「宵の明星」として私たちの目を楽しませてくれることでしょう。
 今月の金星までの距離は、光の早さで約13分で、少しずつ地球に近づいてきています。天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。金星はこれから地球に接近してきますから、望遠鏡でその姿を見ると日に日に大きさや形が変わるのがわかるはずです。

 そして今月はもうひとつ、是非金星といっしょに探してほしい星があります。金星のさらに内側を回っている水星です。水星は太陽のすぐ近くを公転しているため、夕方と明け方のわずかな時間しか見ることができない非常に見つけにくい惑星です。
 日本の春の宵空では、地球の自転軸の傾きの関係で太陽の天球上の通り道である黄道が地平線に対して垂直に近く交差するため、非常に見やすくなるのです。特に今年の4月は、その金星と水星がたまたま同じ方角に見えることから、普段は見つけにくい水星も簡単に見つけることができるはずです
 右の画像は、4月の夕方19:00ごろの東京付近での西の空のシミュレーション画像です。日に日に高くなる金星に、地球からの見かけ上水星が近づいて、そして離れていく様子がわかります。特に金星と水星のすぐそばに細い月が見える16日は、もっと美しい眺めになることでしょう。

4月の夕方 金星と水星の動き
4月の夕方19:00ごろの東京付近での西の空のシミュレーション画像
大阪では約20分後・福岡では約40分後にほぼ同じになります

 金星や水星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、大きさと明るさが大きく変化します。その様子はこちらのページで解説しています。

4月の星空へのリンク 金星や水星が西の空に沈む午後9時ごろの星空のようすを見ると、おとなしく輝く春の星たちを見ることができる季節になりました。宵の西の空にはまだ冬の星座がにぎやかに輝いています。北西の高いところに見える明るい一等星がぎょしゃ座カペラ(41光年)です。ぎょしゃ座には2008年1月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。

 ぎょしゃ座の南には、ギリシャ神話の大神ゼウスが化けた白い牛の姿を描いたおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(60光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。おうし座の南には、冬の星座の王者オリオン座ベテルギウス(310光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座プロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。おおいぬ座には、2004年の1月のこのページで紹介した散開星団M41があります。

 その北側にはふたご座ポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えてきています。この名前は、ギリシャ神話の大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた、双子の兄弟の名前から付けられています。ふたご座にも、2004年3月のこのページで紹介したM35という散開星団があります。

 さらに目を空の高いところに向けると、春の星座が輝いています。冬の星座と比較すると明るい星が少ない春の星座ですが、今年は空の高いところに明るい星が一つ光っています。ふたご座のポルックスとカストルよりもう少し高い空に、不気味に赤く光る星が火星です。今月の火星までの距離は、光の早さで約8分で、1月28日に地球に最接近したあと、少しずつ遠ざかっています。火星は、私たちの地球の直径の約半分の大きさしかないため、今回のように接近したときにしか、表面の模様をみることができません。是非この機会に望遠鏡を使って火星を見てみてください。

 もうひとつ、都会の街明かりの中では少し見つけにくい星座ですが、いま火星が見える付近の3等星数個が逆Y字に連なっている星座がかに座です。双眼鏡や望遠鏡で探してみると、そこには2003年の4月のこのページで紹介したプレセペという散開星団があります。


Meade LX200-25で撮影した火星

 その火星の東には、春の夜空では数少ない一等星のレグルス(72光年)が光るしし座が見えています。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。2005年5月のこのページでも、M65・M66というふたつの銀河を紹介しています。

 さらに目を北の空に向けると、春の空ではとても良く目立つ北斗七星は見えています。北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルス(34光年)・おとめ座スピカ(220光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。北斗七星はおおぐま座という星座の一部です。おおぐま座には、2002年の4月のこのページで紹介したM81・M82をはじめとして、小望遠鏡でも見ることができる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。

 そして、その春の大曲線の終点のスピカの少し西に、もう一つの明るい星が見えます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星は3月23日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、今が最も良く見える時期です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

 さらに夜が明ける前、午前4時ごろに東の空を見ると、金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影

 水星や金星・火星・木星・土星は、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。

 このページで紹介している星雲星団や土星の輪は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

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