3月11日14時46分、マグニチュード9.0という巨大地震とそれによる大津波により、東北から関東まで広い地域で、たいへん大きな被害をもたらしました。被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。20日以上たった現在、復旧作業が徐々に進んではいるものの、いまだ被害の全容を知ることができません。
そして、原子力発電所が被災した影響で、当社の事務所がある埼玉県を含む地域で、電気が足りない事態になっています。節電が呼びかけられている関係で、地震以後の星空は、それまでに比べて少し暗くなったように感じます。当社の事務所も計画停電により夜間に停電になることがありますが、停電中の夜空はさらに暗く、普段の夜空では見ることができない暗い星がとてもよく見えています。
電気というエネルギーは、自然に作り出されるものではありませんし、無尽蔵にあるわけではありません。それなのに、私たちはそれに頼りすぎたがために、なにか「大切なこと」を忘れてきたのかもしれません。その結果、発電所の被害によりその周辺の人々がさらに大きな被害に巻き込まれる結果になってしまいました。
地震は、私たちが住む地球の「活動」のうちのひとつです。そして、地球は太陽系の仲間のうちのひとつです。太陽は、原子力発電所の数億倍の規模の核爆発で、エネルギーを私たちにもたらします。さらに太陽系は銀河系の仲間のうちのひとつです。さらにその外側には、多数の銀河があります・・・。
この機会に、是非宇宙に目を向けてみてください。 地球上に住む私たちは、自然には逆らえないのだということを実感するとともに、いかにして共存していかなければならないのか、その答えが見つかるのではないかと思います。
これほどの大災害があっても、夜空にはいつもとなんら変わりなく、美しい星空が広がっています。午後9時ごろの空の様子を見ると、西の空には明るい星が多くとてもにぎやかな冬の星座たちを見ることができます。北西の空の高いところに見える明るい一等星がぎょしゃ座のカペラ(41光年)です。ぎょしゃ座には2月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。
ぎょしゃ座の南にはおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(65光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。ヒアデス星団より少し低いところには、冬の星座の代表冬の星座の王者オリオン座のベテルギウス(310光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座のプロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。おおいぬ座には、2004年の1月のこのページで紹介した散開星団M41があります。さらにその南には、1月のこのページで紹介したカノープス(310光年)も見えているはずです。
冬の大三角の上には、ふたご座のポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えてきています。このふたごは、ギリシャ神話では大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた双子の兄弟と言われています。ふたご座には、2月のこのページで紹介し散開星団M35があります。
一方、ポルックスやカストルから東の方の空には、明るい星の少ない春の星座がおとなしく光っています。ふたご座より少し低いところに、かに座があります。かに座は最も明るい星でも3等星しかなく、街中の明るい空では残念ながらその姿をみることはできませんが、双眼鏡や望遠鏡で探してみると、そこには2003年の4月のこのページで紹介したプレセペという散開星団があります
かに座からさらに空の高いところに目を移すと、春の夜空では数少ない一等星、しし座のレグルスがあります。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。 そのうちのいくつかには、小望遠鏡でも見える明るい銀河があります。先月のこのページで紹介したM65・66もそれらの銀河のひとつです。
しし座から、今度は目を北の空に向けてみると、暗い星が多い春の星座の中ではとても目立つ北斗七星があります。北斗七星はおおぐま座という星座の一部です。おおぐま座にも、2003年の4月のこのページで紹介したM81・M82をはじめとして、小望遠鏡でも見ることができる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。
北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座のアークトゥルス・おとめ座のスピカへと続く春の大曲線の一部としても使われます。その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、2005年の5月のこのページで紹介したM3という球状星団があります。
りょうけん座の球状星団M3のシミュレーション画像 20cmクラスの望遠鏡で見るとこのように見えます
Meade オートスターでの導入方法
M3は地球から32,300光年の距離に有る天の川銀河(私たちの銀河系)の中の天体で、球状星団という名前の通り星がボール状に集まったもので、年老いた星がお互いのエネルギーをもとめて集まってきている様子と考えられています。天の川銀河(私たちの銀河系)の外側を取り巻くように存在する天体で、いまだに謎の多い天体のひとつです。
M3の他にも、ヘルクレス座のM13や、いて座のM22、日本からは低空に見つけにくいですが、ケンタウルス座のω(オメガ)星団などが、良く知られた球状星団です。
これまで、銀河や星雲や星団の名前に「M」の文字がついた天体をいくつか紹介してきましたが、これは、18世紀のフランスの天文学者シャルル・メシエが作った星雲星団のリストです。彗星の番人と呼ばれたメシエは、彗星と間違えやすい星雲や星団をあらかじめリストアップして、彗星探索をしやすくしようとしました。メシエ天体は全部110個あり、これらは18世紀の望遠鏡でも見ることができたことからもわかるように、現在の小望遠鏡でも容易に見ることができる天体ばかりです。
しかし、そうは言っても肉眼では見ることができない天体ですから、望遠鏡の視野に入れるのはとても難しいものです。でも、天体自動導入望遠鏡なら、天体の名前を入力するだけで見つけることができます。
さらに、アークトゥルスの南の同じくらいの高さに、今年はもうひとつ黄色く光る明るい星が見えてきています。この星は土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
土星は4月5日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、今が最も良く見える時期です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。
土星のすぐ下におとなしく光っている白い星は、春の夜空では数少ない一等星、おとめ座のスピカ(270光年)です。
さらに明け方午前4時ごろになると、金色に明るく輝く星が昇ってきます。この星が金星です。天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。今月の金星までの距離は、光の早さで約9分で少しずつ地球から遠ざかっています。日に日に小さくなり、太陽に照らされている部分の形も変わっていきます。
金星や土星は、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。
このページで紹介している星雲星団や土星の輪は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。
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