星空案内はこちらのページと一緒にお読みください

 いよいよ3月。この事務所のある埼玉近辺では、梅がちょうど見頃となっています。梅の花は紅梅・白梅といった色の違いから、花の咲き方や枝の広がり方など、実に様々なものがあります。どの花よりもいち早く、春の訪れを感じさせてくれる花ですね。

 星空の方も、3月になると冬の星座から春の星座へと移り変わっていきます。3月注目の天文現象として、13日に東方最大離角を迎える水星が、夕方の西の空で見やすくなっています。水星は太陽に最も近いところをまわっている惑星で、このように地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、大きさと明るさが大きく変化します。その様子はこちらのページで解説しています。

 内惑星は地球からの見かけ上、太陽に近いところに見えることが多く、夕方と明け方のわずかな時間しか見ることができない非常に見つけにくい惑星です。しかし、春の夕方の空に水星が見られるときは、地球の自転軸の傾きの関係で日本からは非常に見やすくなるのです。特に今年は最も太陽から離れて見える3月12日に細い月がすぐ近くに見え(上の画像がそのシミュレーション図です)、非常に見つけやすくなります。是非この機会に探してみてください。





 水星や月が沈み、夕焼けが消えるころには、夜空にはたくさんの星が輝いています。3月10日ごろの星空のようすを見ると、宵の西の空には冬の星座がにぎやかに輝いています。北西の高いところに見える明るい一等星がぎょしゃ座カペラです。ぎょしゃ座には一昨年1月のこのページで紹介したぎょし3つの散開星団があります。ぎょしゃ座の南には大神ゼウスが化けた白い牛の姿を描いたおうし座があります。一等星アルデバランの北西には、一昨年12月のこのページで紹介したすばるが見えています。

 さらに目を南に転じると、冬の星座の王者オリオン座、その東側に光るこいぬ座プロキオンと、低いところでまばたきながら青白く輝く全天で最も明るい恒星のおおいぬ座シリウス冬の大三角を形作っています。シリウスのすぐ南には、昨年1月のこのコーナーで紹介したM41という散開星団があります。

 冬の大三角から、目を北側の高いところに移すと明い星が3つ並んでいるのを見ることができるでしょう。このうち少し暗めの2つの星は、ふたご座カストルポルックスです。ギリシャ神話では大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた双子の兄弟と言われています。ふたご座のお兄さんのカストルの足もとには、昨年3月のこのページで紹介したM35という散開星団があります。

 そして、もうひとつのいちばん明るい星が土星です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 さらに時間がすぎて夜11時ごろになると、春の星座も続々と昇ってきます。明るい星が多くにぎやかな冬の星座に比べると、春の星座はおとなしめですが、その中でも北の空に見える北斗七星は比較的めだつ存在です。北斗七星はおおぐま座という星座の一部です。おおぐま座には、一昨年の4月のこのページで紹介したM81・M82をはじめとして、小望遠鏡でも見ることができる銀河がたくさんあります。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光をあなたの目で確かめてみてください。

20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→ドセイを選択
 その北斗七星と北極星の間を、昨年8月に発見されたマックホルツ彗星(C/2004Q2)がゆっくりと移動していく様子を見ることができます。マックホルツ彗星は、1月24日太陽に最も接近し、その後少しずつ遠ざかっているところです。まだ5〜6等星と望遠鏡や双眼鏡を使えば十分見ることができる明るさを保っています。是非この機会に探してみてください。詳しくはこちらのページをご覧ください。


2月1日に撮影したマックホルツ彗星(C/2004Q2)

Meade LX200-25GPSで見た木星
デジタルビデオカメラで撮影

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→モクセイを選択

 北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルスおとめ座スピカへと続く春の大曲線の一部としても使われます。その2つの一等星よりも明るく、この冬の明け方の空で最も目だって見えるのは、おとめ座にみえる木星です。木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあります。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。木星は4月4日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、いまが最も良く見える時期です。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

 土星の輪や木星の衛星や縞模様は、口径6cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径6cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

 さらに時間が進むと、南東の空に赤く光る一等星が昇ってきます。この星がさそり座アンタレスです。今年の天文現象の中でも特に注目したいものとして、今月31日に起こるアンタレスの掩蔽があります。掩蔽(えんぺい)とは、遠くにある物体がその向こう側にある物体を隠すことを差しますが、天文での掩蔽は、太陽系内の天体がその移動により見かけ上その天体より向こう側にある天体を隠してしまう現象です。別名「星食」とも呼ばれる現象で、この方が皆さんには耳なじみがあるかもしれません。
 1等星の掩蔽は1999年のアルデバランの食以来6年ぶりとなる、非常に貴重な現象です。現象について詳しいことは、もう少し時期が近づいてからご案内したいと思います。


1999年2月23日の
アルデバランの食の様子

Meade LX200GPS-25で撮影した火星

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→カセイを選択

 そのアンタレスに続いて、東の空が朝焼けがはじまる少し前には火星の姿も見えるようになります。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、一昨年8月の大接近に続いて、今年10月にも地球に接近をします。今回の接近は前回ほどの大接近ではありませんが、小望遠鏡でも十分に表面の模様を見ることができます。火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、いち早く自分の目で確かめてみませんか?。

 これから星空の美しい季節です。是非あなたの目で宇宙からの星たちの光を確かめてください!。

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各マークについての解説はこちら
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