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 今日から11月。日の入りの時間も日に日に早くなり、紅葉と夕焼けが美しい季節になりましたね。
 今年の秋の宵空では、太陽が沈んだ後の夕焼け空の中に宵の明星金星が見え始めています。11月3日には、その金星と、春先から見えていた土星が、夕焼け空の中で月と並ぶ様子が見られます。

11月3日の夕方の西の空での月・金星・土星の様子


山中湖から見た11月3日の夕方の西の空
富士山の山すそギリギリに土星が見えます。
月と金星のランデブーは、来年3月まで毎月の月初めに見られます。
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 金星を天体望遠鏡で見てみると、上の写真のように月のように欠けている様子がわかります。
 水星と金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。金星は、このあと来年3月までは宵の明星として見ることができます。今月の金星までの距離は、光の早さで約9分で、しばらくは太陽の向こう側をゆっくりと地球に近づいてくるため、太陽が沈んだあとの低い空に見えています。
 さらに金星より少し高い空には、ひときわ赤い光で不気味な存在感に輝いている火星が見えます。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。

 今月の火星までの距離は光の早さで約11分で、5月31日に最接近で地球が火星を追い越し、少しずつ離れて行っています。今回は「中接近」で、2003年8月の大接近ほどは近づきませんでしたが、それでも天体望遠鏡で火星表面が見られるほどまで接近しました。

 金星や火星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。

Meade LX200-25で撮影した火星
 火星は、私たちの地球のすぐ外側を回っている惑星で、約2年2ヶ月ごとに地球に接近します。しかし、接近ごとにその距離が異なります。その理由は、火星の軌道が真円ではなくちょっとゆがんだ楕円をしているためです。
 右の図は、その軌道を上から見た図になります。地球軌道と火星軌道が接近している8月ごろに接近するときには大接近になり、反対に2月ごろに接近するときは小接近になるのです。
接近する日 距離 視直径
2016/05/31 0.50AU

18.6"

2018/07/31 0.38AU

24.3"

2020/10/06 0.41AU

22.6"

2022/12/01 0.54AU

17.2"

2025/01/12 0.64AU

14.6"

2027/02/20 0.68AU

13.8"

2029/03/30 0.65AU

14.5"

2031/05/12 0.55AU

16.9"

これから15年間の地球と火星の接近する日とその距離・大きさのシミュレーション
最遠のときは太陽の向こう側にあるので、地球からはみることができません。
 その金星や火星が西の空に沈む午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空の高いところには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ・わし座のアルタイルはくちょう座デネブで作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座には、2015年7月のこのページで紹介したリング状星雲M57があります。また、はくちょう座付近には、アルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中には、8月のこのページで紹介した亜鈴状星雲M27や、や座の球状星団M71など、小望遠鏡で見つけられる星雲星団がたくさんあります。是非ご自分の目ではるか宇宙からの光を確かめてみてください。

 一方、西の空の夏の星座たちにくらべて、少しおとなしめに輝くのが、天頂から南の空に見える秋の星座たちです。「馬肥ゆる秋」のごとく、天頂近くに見えているのは、天馬ペガススの姿です。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。ペガスス座には、2013年10月のこのコーナーで紹介した球状星団M15があります。

 このペガススの四辺形を手がかりに、他の星座たちも探してみましょう。四辺形の西側(右側)の縦の辺をまっすぐ南のほうに延ばしていくと、まわりに明るい星がないところにひとつだけ1等星を見つけることができます。この星がみなみのうお座フォーマルハウト(22光年)です。日本ではその名の通り「みなみのひとつぼし」などと呼ぶ地方もあります。

 そして、ペガススの四辺形の北東の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。ペガススの四辺形とアンドロメダ座との接点の星は「アルフェラッツ」という星で、アラビア語で「馬の中心」という意味があります。星座絵に描かれた天馬ペガススの、ちょうどおなかの部分にあたる星なのです。先月のこのページで紹介したアンドロメダ大銀河M31NGC891の他、2006年10月のこのページで紹介した二重星アルマク2008年10月のこのページNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。

 そのアンドロメダ座の北側には、小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座があります。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう

一眼レフデジタルカメラで撮影した秋の星雲星団
APS-C一眼レフ+20mm F1.8レンズ→F2.5使用 1分露出
長野県野辺山高原にて撮影 
nano tracker使用

 ペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが昨年12月のこのページで紹介した二重星団です。

 この付近は天の川の中にあるので、双眼鏡や望遠鏡で見てみると、これ以外にもたくさんの星雲星団を見ることができます。左の写真は、その秋の天の川を撮影したものです。上の方を横に流れているのが天の川で、たくさんの星や星雲星団の中に、暗黒星雲が複雑に入り組んでいる様子も見ることができます。双眼鏡でこの付近を見ると、無数の星たちが輝いている様子を見ることができます。

 さらに目を東の空に向けると、そこにはすでに冬の星座も顔を出しています。ペルセウス座より少し低い ところに、黄色く輝いて見えるのがぎょしゃ座カペラ(42光年)です。ぎょしゃ座には1月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。
 ぎょしゃ座の南にはおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(65光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。11月15日夜から16日未明にかけて、このヒアデス星団やベテルギウスが月に隠される現象が見られます。一等星が深夜に月に隠されるのは、2005年3月31日のアンタレス食以来11年ぶりです。
 一方、もう少し空の高いところに見える数個の星がごちゃごちゃっと集まって見えるところが「すばる」ことプレアデス星団M45です。双眼鏡で見てみると、いろいろな明るさの100個くらいの星が群れを成しているのがわかります。おうし座の南には、冬の星座の王者オリオン座ベテルギウス(600光年)も東の空から昇ってきています。
 秋の夜は長く、朝日が東の空から昇ってくるのも日に日に遅くなっていきます。ちょっと早起きして東の空を見てみると、明け方4時ごろ、金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星は木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。


Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影
 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

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