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 いよいよ今日から6月です。今年は関東甲信越以西ではすでに梅雨入りしてしまい、曇り空が憂鬱な毎日がはじまっています。そんな梅雨空ではあるものの、雨の合間に見える晴れの日は、夜空もとてもきれいに見えます。

 今月の満月は23日ですが、この満月は欧米で「スーパームーン」等と呼ばれています。何がスーパーなのとかというと、その大きさです。今年の満月で最も月が地球に近づくのが、今回の満月になります。昨年は5月6日に起こりました。右の写真は、当社事務所のある埼玉県日高市内の展望台から撮影した、そのときの様子です。

 月は、地球の周りを楕円軌道を描いて公転していて、さらに太陽の重力の影響も受けるため、軌道が複雑に変化します。このため、地球との距離が離れたり近づいたりして、見かけ上の大きさが最大で8.85%も変わります。6月23日の満月は、太陽と反対側を公転する月が、太陽の重力の影響を受けて、もっとも地球に近づく日になります。

???? その月が東の空から昇るのは、日没ごろ。今月、太陽が沈んだ後の夕焼け空の中には、2つの明るい星が輝いているのを見つけることができます。すぐに見つかる金色に明るく輝くのが金星です。さらに6月20日ごろまでは、そのすぐ近くに水星も見つけることができるはずです。水星や金星を天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。今月の地球から水星までの距離は光の速さで約6分・金星までは約13分です。どちらの星も、太陽の向こう側を周ってきて、水星が金星の手前を追い抜いている様子を地球から見ていることになります。

 水星や金星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。内惑星は、太陽のすぐ近くを公転しているため、太陽が沈んだ後や昇る前のわずかな時間しか見ることができませんが、今回の水星・金星の接近は、そんな見つけにくい内惑星を見るのに、とてもよい機会になります。ぜひこの機会に見つけてみてください。

 水星や金星が沈んだあとの午後9時ごろの星空のようすを見ると、を見ると、西から南の空にはおとなしめに輝く春の星たちを見ることができます。西の空の中ほどに、白っぽくおとなしめに光るのが、春の夜空では数少ない一等星、しし座レグルス(77光年)です。しし座というと、11月のしし座流星群で有名ですが、実際に宵の空に見えるのは春の季節になります。しし座をはじめとした春の星座は、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、銀河系の外側のはるかかなたにある銀河が、数多く見られるところでもあります。

 そのうちのいくつかには、小望遠鏡でも見える明るい銀河があります。2012年5月のこのページで紹介したM65・66もそれらの銀河のひとつです。さらに、しし座より少し低いところにはかに座があります。かに座は最も明るい星でも3等星しかなく、街中の明るい空では残念ながらその姿をみることはできませんが、双眼鏡や望遠鏡で探してみると、そこには2003年の4月のこのページで紹介したプレセペという散開星団があります。

 しし座をはじめとした春の星座は、太陽系のある天の川銀河の円盤状になっているちょうど薄くなった方角にあたります。このため、「銀河ののぞき窓」とも言われるとおり、天の川銀河の中の星たちの数が少なく、その外側にある他の銀河をたくさん見ることができます

 しし座から今度は目を北の空に向けてみると、春の星の中でも特に目立つ北斗七星があります。北斗七星は星座ではなくおおぐま座という星座の一部になります。おおぐま座には、4月のこのページで紹介したM81M82の2つの銀河があります。北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルス(約37光年)・おとめ座スピカ(約260光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、先月のこのページで紹介したM3という球状星団があります。

 その春の大曲線の終点に光るスピカからももう少し低い空に、今年は黄色く光る明るい星が見えています。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 土星は4月29日に「衝」(太陽−地球−土星が一直線に並ぶ)を迎え、これからの季節が最も良く見える時期です。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 この土星をはじめ、夕方見られる水星・金星といった惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

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