タイトル画像および背景画像:マーズオービターカメラ(MOC)システムで撮影した火星
Image from (C)NASA

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 ゆううつな梅雨空が続く毎日。埼玉ではこのところ寒暖の差が激しい日が続いています。体調を崩しやすい季節ですね。空の方もなかなか晴れず、星空を待ち望んでいる今日このごろです。

 こんな梅雨空の日々でも、時折見られる晴れた夜空は、空気の汚れがすっかり洗われて、とてもきれいな星空が見られます。7月10日ごろの星空のようすを見ると、宵の西から天頂にかけては、春の星座が見えています。太陽が沈んだ後すぐに西の空でひときわ明るく輝いているのは木星です。夕方の西空に見えるので、宵の明星の金星と間違えてしまう方もいるかもしれませんが、今金星は明けの明星として輝いています。

 明るい星が少ない春の星座の中でも、北西の空の高いところに目立つっているのが北斗七星です。北斗七星は星座ではなくおおぐま座という星座の一部になります。北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルスおとめ座スピカへと続く春の大曲線の一部としても使われます。うしかい座には、5月のこのコーナーで紹介した球状星団M3があります。また、おとめ座から空の高いところに目を向けると、星空のきれいなところでは、小さな星がごちゃごちゃっと散らばっているのを見ることができます。ここがかみのけ座と呼ばれる星座で、かみのけ座全体がMel.111(メロット111)という星団になっていています。この星団までの距離は約270光年と比較的近い星団のため、肉眼でもわかる大きな広がりを持っています。この付近は、ちょうど私達の銀河系の薄くなった方角にあたるため「銀河ののぞき窓」などと言われていて、口径の大きな望遠鏡で見てみると、無数の銀河(小宇宙)が群がっている様子を見ることができます。

 一方、天頂付近から東の空には夏の星座が見えています。天頂付近にはかんむり座ヘルクレス座といったちょっと暗くおとなしめな星座があります。かんむり座はその名の通り半円形に星が並んだかわいらしい星座です。ヘルクレス座には、北天で最も美しいといわれるM13(去年6月のこのページで紹介)という美しい球状星団があります。

 東の空の中ほどには、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ・わし座のアルタイルはくちょう座デネブで作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。また、南の空にはさそり座の姿も見えています。

 夜半ごろになると、赤く輝くさそり座のアンタレスよりも、もう少し東よりに寄った空に、赤く不気味に赤く光る星を見つけることができるはずです。この星が地球のすぐ外側をまわる火星です。火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。

 火星は、今年8月に129年ぶりの大接近を迎えます。火星と地球は2年2カ月おきに接近をします。前回の接近は2001年6月11日でしたが、今回はその時よりももっと近くに接近し、近年では最も近づく大接近中の大接近になります。今回ほどの大接近になると、小望遠鏡でも十分に表面の模様を見ることができます。

 地球のすぐ外側をまわる火星は、約1年10カ月の周期で太陽のまわりをまわっています。1年で一周する地球とは、約2年2カ月の間隔で接近します。ところが、火星は軌道が少し歪んでいるため、その接近するときの地球と火星の位置によっては大きく接近したり、あまり接近しなかったりします。その様子は下の図のようになります。火星軌道の歪みが太陽に寄っている7〜9月に接近が起こるときのことを「大接近」と呼んでいて、火星を観測する絶好の機会となります。


今回の火星の大接近の様子を
宇宙から見たシミュレーション
緑が地球の軌道・赤が火星の軌道
各惑星は解りやすいように大きくしてあります。
地球は火星に追いつき、追い越して行く

今回の火星の大接近での、火星の視直径(見かけの大きさ)の変化のシミュレーション

6月3日と8月27日では2倍の差がある。

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→カセイを選択

これから15年間の地球と火星の接近する日とその距離
接近する日 距離 視直径
2003/8/23 0.373

25.2

2005/11/3 0.466

20.2

2007/12/19 0.589

15.8

2010/1/29 0.664

14.0

2012/2/29 0.677

13.7

2014/4/6 0.624

15.1

2016/5/18 0.517

18.0

2018/7/25 0.387

24.1

距離の単位はAU(天文単位)
1AUは地球と太陽の平均距離

視直径の単位は角度の秒


地球と火星の軌道を上から見た図

 「望遠鏡」が発明された17世紀前半から今日まで、それぞれの時代の天文学者やアマチュア天文家が火星を観測してきました。火星が地球に接近する度に、天文家たちは新たな発見を繰り返してきたのです。

 天体にはじめて望遠鏡を向けたイタリアの天文学者ガリレイ(Galileo Galilei 1564-1642)は、その表面にもやっとした模様があることを記録に残しています。

 オランダのホイヘンス(Chritiaan Huygens 1629-1695)は、赤い火星の表面に逆三角形の黒いところがあることを発見し、それが約24時間ごとに現れることを発見しました。つまり、火星も地球と同じように約24時間で一周していることを発見したのです。

大接近・中接近・小接近での大きさの比較
最遠の時は太陽の向こう側にいるので、
実際には地球から見ることはできません。
今回の大接近が火星の観望に最適であることがわかりますね
 フランスのカッシーニ(Giovanni Domenico Cassini 1625-1712)は、ホイヘンスが発見した自転軸の方向に白い部分があることを発見しました。火星の北極と南極にあたる場所にあるため、これを極冠と名づけました。さらに18世紀にはいり、ドイツのハーシェル(Frederick William Herschel 1738-1822)は、その極冠の大きさが南北交互に変わることを発見し、地球と同じように火星にも季節があることを発見しました。(余談ですがハーシェルはもともとオーケストラのオーボエ奏者でした。実は私もオーボエ奏者です(笑)。)

スキアパレリが書いた火星スケッチ
クリックすると拡大します
 天体望遠鏡も大きな進化を遂げ、世界中で大口径の望遠鏡が作られるようになった19世紀後半、1877年に火星が大接近したとき、アメリカ海軍天文台のホール(Asaph Hall 1829-1907)は、「大赤道儀」と呼ばれていた26インチ(66cm)反射望遠鏡を使って、2つの衛星(フォボス・ダイモス)を発見しました。また、イタリアの天文学者スキアパレリ(Giovanni Virginio Schiaparelli 1835-1910)は、ブレラ天文台の8.6インチ(22cm)メルツ屈折望遠鏡を使って火星をくまなく観測し、精密なスケッチを残しています。このスケッチにはそれぞれの模様に名前が書き込まれていて、それが現在もそのまま火星の地名として使われています。このとき、スキアパレリは火星表面に溝のような地形が多数あることを発見しました。これを"Caneli"(イタリア語で「溝」の意味のCaneloの複数形)と名づけています。

 それがフランスのフラマリオン(Nicolas Camille Flammarion 1842-1925)によってフランス語に訳され、さらに英語の"Canal"(運河)と訳されたため、これがアメリカに渡ってからひとつの論争に発展します。アメリカのアマチュア天文家ローウェル(Percival Lowell 1855-1916)は、自身の作った天文台でスキアパレリの書いたスケッチをもとに火星を観測し、その溝が「火星人が作った運河ではないか?」との仮説をたてました。ここからアメリカでの大論争が繰り広げられ、ローウェル氏を中心とする火星人肯定派と、その溝を工作物ではないとする天文学者バーナード(Edward Emerson Barnard 1857-1923)等の否定派が、いろいろな仮説を立ててお互いの正当性を主張しました。その検証をするためにより分解能の高い望遠鏡が必要となり、世界的に巨大望遠鏡建設がブームとなったのもこの時期です。この火星人の論争を題材にしたイギリスのウェルズ(Herbert George Wells 1866-1946)のSF小説「宇宙戦争」(原題"The War of the Worlds")は後に映画化されたことでも有名です。

 20世紀に入り、大望遠鏡により火星を観測した結果、この「溝」は工作物ではないことがわかり、この論争は決着を見るのですが、その後も火星に生命体が存在するかどうかについては今もなお論議が続いています。

 このように、これまで火星が地球に大接近をするたびに、新たな発見が繰り返されてきました。今回の大接近でも、もしかすると新たな発見があるかもしれません。今回の大接近では、地球から7機の探査機が火星に向かっています。来月のこのコーナーではその探査機についてご紹介しようと思っています。

 ガリレオがはじめて火星を見た望遠鏡は口径4cmだったと言われています。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径6cmですから、充分火星を見ることができます。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、是非あなたの目で確かめてください!。

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