星空案内はこちらのページと一緒にお読みください

 残暑お見舞い申し上げます。今年は全国的に天候も良く、大地と太陽からいっぱいの恵みを受けた秋の味覚が、皆さんのお宅の食卓をにぎわせるももうすぐです!。事務所のまわりのたんぼでは、もうすでに金色の輝きが見られるようになり、すでに稲刈りもはじまっています。

 秋の夜空といえばまず思い浮かぶのが仲秋の名月。先月28日に、全国で見られた6年半ぶりとなる皆既月食は、関東など一部の地方では天気が悪く見ることができなかったところもあったようですね。皆さんはご覧いただけたでしょうか。その様子はこちらのページで紹介しています。ことしの仲秋の名月は、その皆既月食の次の満月の1日前となる9月25日です。「お月見」と呼ばれる風習は、旧暦(太陰暦)の8月の十五夜に出る「仲秋の月」と、9月の十三夜に出る「後の月」に、その年に収穫された農作物をお供えして、天の恵みに感謝をするものと考えられています。

 旧暦と呼ばれる太陰暦はカレンダー(こよみ=暦)の一種で、日本では、現在使われている「太陽暦」が使われはじめた明治6年より前に実際に使われていました。太陽暦が太陽のまわりを地球が一周するのを基準に作られたものであるのに対し、太陰暦は月の満ちかけを基準に作られたもので、同じ日付でも約1カ月のずれがあります。

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→モクセイを選択

 月は、星空を見るには明るすぎてちょっと邪魔になってしまいますが、今月の前半の宵空は月の影響もなく、きれいな星空を見ることができます。夕焼けが終わり、金星が西の空に低くなる午後9時ごろの9月10日ごろの星空のようすを見ると、南の空に金色にひときわ明るく輝いている星が見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

 木星のすぐ下には、赤く不気味に光るさそり座アンタレス(550光年)も見つかるはずです。アンタレスから、地平線に向かって釣り針のような形に星が連なっていて、その先には2002年6月のこのページで紹介したM6M7等の明るい星雲星団が集まっています。この付近が私たちの銀河系の中心方向で、空のきれいなところにいくと、ここから天の川が空の高いところに立ち上っているのを見ることができるはずです。


こと座の惑星状星雲M57のシミュレーション画像
80倍くらいの倍率で見るとこのように見えます
比較的明るく見つけやすい星雲で、小望遠鏡から十分楽しめます

Meade オートスターでの導入方法

テンタイ→セイウン/セイダン→メシエテンタイ→
「57」をキーパッドから入力

一般の赤道儀式望遠鏡での導入方法はこちら

 さそり座からさらに、空の高いところに目を移すと、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座デネブ(2000光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。

 その夏の大三角のひとつ、こと座の中には、M57と呼ばれる星雲があります。地球からの2150光年の距離にあり、今から約2000万年前に中心にある星が星の一生を終え、放出されたガスがリング状に広がっていく過程が見えているのです。中心にはこれからガスを放出しきって死んで行くであろう白色わい星も見ることができます。

 この種の、小さく円形に広がった星雲のことを、惑星のように見えることから「惑星状星雲」と呼んでいます。このM57は、その中でも比較的明るい星雲で、8cmクラスの望遠鏡でも簡単に見ることができます。50倍くらいからその形をとらえることができるようになり、100倍くらいでタバコの煙のわっかのようなかわいい姿をみることができます。

 もうひとつ、M57から少し離れた夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところに、アルビレオという星があります。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にも出てくる名前で、肉眼ではひとつの星に見えますが、望遠鏡で見ると2つの色の異なる星が寄り添って、とてもきれいな二重星です。地球から380光年の距離にあって、30万年という長い周期でゆっくりとまわりあっている星です。

 このアルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中にには、2005年8月のこのページで紹介したM27と呼ばれる星雲もあります。

 街中の夜空ではなかなか見ることができませんが、都会から離れた山の上や海辺などで夜空を見上げると、夏の大三角を貫いて南の地平線にむかって、淡い光の帯を見ることができます。これが「天の川」です。実際に見たことが無いという方も多いと思いますが、夏の天の川は他の季節に比べて濃くはっきりと見えます。


はくちょう座β星アルビレオのシミュレーション画像
50倍くらいで見るとこのように見えます
色の対比のとてもきれいな二重星です

Meade オートスターでの導入方法

コウセイ→ナマエノアルコウセイ→
アルビレオを選択

一般の赤道儀式望遠鏡での導入方法はこちら

 一方、天頂付近の夏の星座たちにくらべて、少しおとなしめに輝くのが東の空に昇ってきた秋の星座たちです。「馬肥ゆる秋」のごとく、東の空に見えているのは、天馬ペガススの姿です。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。

 このペガススの四辺形を手がかりに、他の星座たちも探してみましょう。四辺形の西側(右側)の縦の辺をまっすぐ南のほうに延ばしていくと、まわりに明るい星がないところにひとつだけ1等星を見つけることができます。この星がみなみのうお座フォーマルハウト(22光年)です。日本ではその名の通り「みなみのひとつぼし」などと呼ぶ地方もあります。

 一方、ペガススの四辺形の北東の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。アンドロメダ座には2002年11月のページで紹介した有名なアンドロメダ座大銀河M31(230万光年)などがあります。そして、その北側には小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座があります。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。

 夜も更けて夜半ごろになると、東の空から明るい星が次々と昇ってきます。ぎょしゃ座カペラ(41光年)やおうし座アルデバラン(60光年)、その南側には冬の星座の王者オリオン座ベテルギウス(310光年)リゲル(910光年)といった一等星がきらびやかに輝き、さらに明け方近くになると全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座プロキオン(11.2光年)も昇ってきて冬の大三角を形作っています。

 そのおうし座のアルデバランの近くに、同じくらいの明るさで不気味に赤く光る星が見えるはずです。これが火星です。今月の火星までの距離は、光の早さで約9分と、現在月・金星の次に近い距離にいる星です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。現在火星は、地球から最も離れたところを通過した直後で、これからゆっくりと地球との距離を狭めていきます。そして今年12月に再び地球に接近をします。今回の接近は2003年ほどの大接近にはなりませんが、小望遠鏡でも十分に表面の模様を見ることができます。火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、いち早く自分の目で確かめてみませんか?。

Meade LX200-25で撮影した火星

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→カセイを選択

 さらに明け方近くになると、太陽が昇る前の東の空でひときわ目だって明るく輝いているのが、「明けの明星」の金星です。今月の金星までの距離は、光の早さで約3分と、月の次に近い距離にいる星で、現在少しずつ地球から遠ざかっています。天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。7月までは宵の明星として輝いていた金星ですが、これからは明け方の空にその輝きを見せるようになります。

 木星の縞模様や火星表面の模様・金星の形は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。

 秋の夜長に、是非星空を眺めてみませんか?。もちろん、今年の秋のおいしい味覚をいっしょに楽しみながら・・・(笑)。

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→キンセイを選択

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