タイトル画像および背景画像:マーズオービターカメラ(MOC)システムで撮影した火星
Image from (C)NASA

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 今年の8月は例年に比べ気温が低い日が続き、比較的過ごしやすい毎日でしたね。この事務所のまわりのたんぼでは、稲穂が少しずつもたれはじめています。あたり一面が黄色く色づくのももうすぐです。秋の味覚が待ち遠しい季節になりましたね。

 星空の方は、夏から秋へと少しずつ移り変わってきています。9月10日ごろの星空のようすを見ると、空の高いところから南の空には夏の星座が見えています。天頂近くに明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ・わし座のアルタイルはくちょう座デネブで作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。南の空には南斗六星をはじめとした2等星の連なりでできるいて座があります。星空のきれいな場所では、夏の大三角からこのいて座にかけて濃く太い天の川を見ることができます。この付近に双眼鏡を向けると、無数の星雲や星団を見つけることができます。ちょうどこの方角が、私たちの天の川銀河の中心方向にあたります。

 一方、東の空には秋の星座たちが見えています。比較的明るい星が少ない秋の星座ですが、空の高いところに見える秋の四辺形は、天馬ペガススのおなかにあたる場所にあります。この四辺形は、他の秋の星座を探す目印になりますから、実際の星空で良く確かめてみてください。

 そのペガススの南に、ひときわ赤く輝く星を見つけることができるはずです。この星が8月27日に129年ぶりの大接近を迎えた火星です。火星と地球は2年2カ月おきに接近をします。前回の接近は2001年6月11日でしたが、今回はその時よりももっと近くに接近し、近年では最も近づく大接近中の大接近になりました。今回ほどの大接近になると、小望遠鏡でも十分に表面の模様を見ることができます。

 地球のすぐ外側をまわる火星は、約1年10カ月の周期で太陽のまわりをまわっています。1年で一周する地球とは、約2年2カ月の間隔で接近します。ところが、火星は軌道が少し歪んでいるため、その接近するときの地球と火星の位置によっては大きく接近したり、あまり接近しなかったりします。その様子は下の図のようになります。火星軌道の歪みが太陽に寄っている7〜9月に接近が起こるときのことを「大接近」と呼んでいて、火星を観測する絶好の機会となります。

6月7月8月のこのコーナーでは、火星についてより詳しくコメントしています。興味のある方は是非ご覧ください。

大接近・中接近・小接近での大きさの比較
最遠の時は太陽の向こう側にいるので、
実際には地球から見ることはできません。
今回の大接近が火星の観望に最適であることがわかりますね

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→カセイを選択

 大接近を迎えたあとも、しばらく火星は−3.6等星の明るさを保っています。その火星と月のランデブーが、9月9日の宵の空で見られます。右の図は19:30ごろの南東の空の様子を現したものです。満月少し前の月にも負けないほどの明るさで、すぐ近くに赤いしずくのように光る火星を見ることができるはずです。

 この様子は、30倍くらいにした望遠鏡で、ひとつの視野の中で見ることもできます。良く観察していると、月と火星の位置関係が少しずつ変わって行く様子も見ることができるはずです。火星と月が最も接近するのは21:50ごろで、月は火星の上(北)をかすめて東の方に少しずつ移動していきます。火星が沈む午前3時ごろには、月と火星はだいぶ離れて見えているはずです。


9月9日19:30 火星と月のランデブーの様子
クリックすると拡大します

9月9日の火星と月のランデブー 当日の画像
すべての画像はクリックすると拡大します
※月と火星が写っている3枚はMeade LXD55-SN8EC・火星像はMeade LX200GPS-25で撮影

18:30ごろ 西の空に月と火星が並んで昇ってきた

月全体とと火星
比較するとこんなに小さい

拡大すると極環が輝いているのが見える

強拡大すると表面の模様が見えてくる

25cmシュミカセで撮影した火星像
 月の直径は3,476kmで火星の直径は6,787kmですから約2倍の大きさがありますが、このときの月までの距離は383,868kmで火星までの距離は57,565,260kmですから、約150倍遠いわけです。これでも「大接近」なのですから、宇宙はとても広いことが実感できるでしょう。


みずがめ座球状星団M2のシミュレーション画像
20cmクラスの望遠鏡で見るとこのように見えます

Meade オートスターでの導入方法

テンタイ→セイウン/セイダン→メシエテンタイ→
「2」をキーパッドから入力

一般の赤道儀式での導入方法はこちら

 その火星がいま見えているところがみずがめ座です。みずがめ座は、一番明るい星でも3等星と比較的暗い星が多く、街あかりが明るいところでは、その形は解りにくい星座です。ですから、火星が輝いている周囲には明るい星がなく、よけい赤く不気味に光る火星が目だって見えています。

 そのみずがめ座の中にはM2と呼ばれる球状星団があります。地球から約50,000光年の距離に有る天の川銀河(私たちの銀河系)の中の天体で、球状星団という名前の通り星がボール状に集まったもので、年老いた星がお互いのエネルギーをもとめて集まってきている様子と考えられています。天の川銀河(私たちの銀河系)の外側を取り巻くように存在する天体で、いまだに謎の多い天体のひとつです。

 M2の他にも、ヘルクレス座のM13や、いて座のM22、日本からは低空に見つけにくいですが、ケンタウルス座のω(オメガ)星団などが、良く知られた球状星団です。これらの星雲や星団は、肉眼では見ることができないため、見つけるのが難しいものです。でも、天体自動導入望遠鏡なら、天体の名前を入力するだけで見つけることができます。

 火星が西の空に傾きかけたころ、明け方少し前になると、空はすっかり冬の星座に入れ替わっています。空の高いところにはぎょしゃ座カペラおうし座アルデバラン、その南側には冬の星座の王者オリオン座ベテルギウス・全天で最も明るい恒星のシリウスのあるおおいぬ座・そしてこいぬ座のプロキオンが冬の大三角を形作っています。夏の大三角と冬の大三角が同時に見えるのも、この時期だけですね。

 その冬の大三角より少し北側に光る明るい星が土星です。これからの季節は土星も観望の好期になります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 土星の輪や火星表面の模様は、口径6cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径6cmですから、充分火星を見ることができます。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、是非あなたの目で確かめてください!。

20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

Meade オートスターでの導入方法

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 Meade ETX-70AT・LX90-20・LX200GPSシリーズ→10月下旬〜11月上旬以後
 Meade ETX-ECシリーズ→11月下旬〜12月上旬以後
 Meade LXD55-SN8EC→1台のみ 即納可
 Black Sniperシリーズ→即納可能
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