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いよいよ今日から師走。この時期、街はクリスマスムードが少しずつただよいはじめ、あちこちでデコレーションされたイルミネーションが艶やかに輝きだしています。そんな街のイルミネーションから、ふと空を見上げてみると、そこにも地上の星たちよりもっと美しい冬の星空が広がっています。 12月といえばもう季節は冬ですが、夕方は夏の星座が西の空に見え、まだまだにぎやかな季節です。今年はそこにさらに2つの惑星が加わり、大賑わいとなっています。夕焼けが終わる18時ごろ、西の空の中ほどに明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座のベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座のデネブ(2600光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」と「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。こと座の中には、昨年8月のこのページで紹介したM57があります。また、夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところには、、昨年8月のこのページで紹介したアルビレオという星があります。そのアルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中には、8月のこのページ紹介したM27と呼ばれる星雲もあります。 |
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夏の大三角から南西の空に目を移すと、周りに星が少ないところにぽつんと黄色っぽく輝く星が見えます。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。 さらに、土星より東(左)寄りの空には、金色に目立って輝いている星が見えます。この星が木星です。木星も9月27日に「衝」を迎え、今が最も良く見える時期です。 |
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木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。 |
マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影 |
土星や木星が西の空に低くなる午後9時ごろの星空のようすを見ると、天頂から西の空の高いところには秋の星座たちが見えています。明るい星が少ない秋の空ですが、「馬肥ゆる秋」のごとく、西の空の中ほどに見えているのは、天馬ペガススの姿です。ペガススの四辺形は、おとなしめな秋の星たちの中では比較的わかりやすい星の並びです。ペガスス座には、今年10月のこのコーナーで紹介した球状星団M15があります。 このペガススの四辺形を手がかりに、他の星座たちも探してみましょう。四辺形の西側(右側)の縦の辺をまっすぐ南のほうに延ばしていくと、まわりに明るい星がないところにひとつだけ1等星を見つけることができます。この星がみなみのうお座のフォーマルハウト(22光年)です。日本ではその名の通り「みなみのひとつぼし」などと呼ぶ地方もあります。 一方、ペガススの四辺形の北東の辺から、明るい星が4つ、やや広い間隔で並んでいるのを見つけることができます。この付近がアンドロメダ座です。ペガススの四辺形とアンドロメダ座との接点の星は「アルフェラッツ」という星で、アラビア語で「馬の中心」という意味があります。星座絵に描かれた天馬ペガススの、ちょうどおなかの部分にあたる星なのです。アンドロメダ座には、昨年10月のこのページで紹介したアンドロメダ大銀河M31やNGC891・今年10月のこのページで紹介した二重星アルマク・2008年10月のこのページNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。 |
40倍くらいでみたペルセウス座二重星団の シミュレーション画像 まさに「宝石箱」です |
そのアンドロメダ座の北側には、小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座があります。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。 そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、空のきれいなところであれ、ば天の川の中に肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが二重星団です。地球から7600 光年にある2つの星団で、低倍率の望遠鏡や双眼鏡見ると、天の川のたくさんの星の中に見える様子は感動的です。 この付近は天の川の中にあるので、双眼鏡や望遠鏡で見てみると、これ以外にもたくさんの星雲星団を見ることができます。左の写真は、その秋の天の川を撮影したものです。上の方を横に流れているのが天の川で、たくさんの星や星雲星団の中に、暗黒星雲が複雑に入り組んでいる様子も見ることができます。双眼鏡でこの付近を見ると、無数の星たちが輝いている様子を見ることができます。 さらに目を東の空に向けると、そこにはすでに冬の星座も顔を出しています。ペルセウス座より少し低い ところに、黄色く輝いて見えるのがぎょしゃ座のカペラ(42光年)です。ぎょしゃ座には昨年12月のこのページで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。 |
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一眼レフデジタルカメラで撮影した秋から冬の星雲星団 APS-C一眼レフ+20mm F1.8レンズ→F2.5使用 1分露出 長野県野辺山高原にて撮影 nano tracker使用 |
そのぎょしゃ座の南(右)の空の中ほどに鈍く赤く輝く星が見えています。この星が火星です。火星までの距離は光の速さで約4分で、12月1日に地球に最も近づきます。
火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、約2年2ヶ月ごとに地球に接近します。しかし、接近ごとにその距離が異なります。その理由は、火星の軌道が真円ではなくちょっとゆがんだ楕円をしているためです。 下の図は、その軌道を上から見た図になります。今年の火星接近は大接近ほどにはなりませんが、それでも次に同じ距離まで近づくのは、10年後の2033年になります。是非この機会に火星を観察してみてください。 |
セレストロン CPC1100-Jで見た火星 マイクロフォーサーズミラーレスカメラで撮影 |
2016年から2029年までの地球と火星の接近する位置 地球の軌道を鉛直方向から見た図 |
●火星はいつ、どこで見たらいいの? その火星は、12月の空では深夜0時ごろ南の空の高いところに見えています。ひときわ明るく赤く輝いているので、一目みて「あれだ」と解るはずです。天体観測をする場所は、空気がきれいで空の透明度が高く、まわりに明かりが少ない場所が良いとされています。しかし、火星をはじめとした惑星の観測は必ずしもそうとは限りません。それは、惑星たちは地球から比較的近い天体で、太陽の光に照らされて十分な明るさをもっているからです。ですから、都会のように透明度がわるく明るい空でも十分見ることができます。 しかし、惑星観測にもよりよい条件で見ることによって、同じ望遠鏡でも表面の模様をよりはっきりと見ることができます。私たちの地球には、それを取り巻く大気(空気)があります。大気は、地表が温められたり冷めたりすると地表を移動します。これが風となるわけですが、上空の風(気流)が激しく吹くと、空気によってその向こうの宇宙からくる光がかき乱されて、モヤモヤと動いて見えてしまいます。これを天体望遠鏡で高い倍率で見ると、ぼやけてはっきりとした模様を見ることができなくなってしまうわけです。 そこで、なるべく気流の影響を受けないようにするため、以下のことに気をつけて観測してみましょう。 ★火星がなるべく空の高いところに来たときに見る 12月の火星は、日の入りとほぼ同時に東の空から昇ってきて、深夜0時ごろに真南の最も空の高いところを通過します。空の低いところは、宇宙からの火星の光は地球の大気をたくさん通るので、大気の影響も受けやすくなります。ですから、なるべく空の高いところに来る時間を狙って観測してみてください。 ★都会より、山の上 ヒートアイランド現象などにより、都市部は常時空気が対流を起こしていて、大気の状態は決して良くありません。また、標高が低い分大気の影響も受けやすくなります。その点、標高の高い高原や山の上では、都市部よりは空気が薄くなり、地表の温度も安定しているため対流も起こりにくく、大気も安定してきれいな惑星像を見ることができます。 ★火星の自転周期は24時間37分 火星は、地球よりちょっとだけ長い24時間37分で自転しています。このため、毎日同じ時間に火星を見ていると、表面の模様がほとんどかわりません。数時間たってから見てみると、自転による模様の変化もわかるはずです。 今月火星が輝いているのはおうし座で、火星のすぐ近くにはアルデバラン(65光年)が明るさを競うかのように輝いている様子が見えます。アルデバランより少し高い空には、2020年12月のこのページで紹介したプレアデス星団M45(すばる)も見えています。また、火星の北(左)にあるぎょしゃ座にはカペラ(42光年)が輝き、昨年12月のこのページで紹介したM36・M37・M38の3つの散開星団があります。さらにその下からは、冬の星座の王者オリオン座やふたご座も見え始めています。 金星・火星・木星・土星などの惑星たちは、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。 |
●来年の天文現象をちょっとご紹介● 来年の天文現象から、特に注目したい現象を3つご紹介します。 |
★4月20日(木) 部分日食 2023年は世界的に見ると2回の日食があり、その1回目となる4月20日(木)の日食は千葉県南部・伊豆諸島・小笠原諸島・伊豆半島・紀伊半島・四国南部・九州南部と沖縄で部分日食として見ることができます。 |
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右写真:2020年6月21日の日食
(クリックするとその時の様子を見ることができます) |
★9月21日(木) アンタレス食 さそり座の一等星アンタレスが月に隠される現象が9月21日(木)の宵空で見られます。日本で見られる一等星の星食は、2018年2月2日のレグルス食以来5年ぶりになります。 |
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右写真:2017年1月9日のアルデバラン食
(クリックするとその時の様子を見ることができます) |
★10月29日(日)未明 部分月食 2023年は世界的に見ると月食はこの部分月食1回だけで、日本では明け方の空に見ることができます。地域によっては、月が欠けたまま西の空に沈んでいく様子を見ることができます。 |
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右写真:2022年11月8日の月食 (クリックするとその時の様子を見ることができます) |
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