星空案内はこちらのページと一緒にお読みください

 憂鬱な梅雨空が続く毎日。埼玉ではこのところ寒暖の差が激しい日が続いています。体調を崩しやすい季節ですね。空の方もなかなか晴れず、星空を待ち望んでいる今日このごろです。

 この季節、この事務所のまわりでは野鳥たちが子育てをしている様子が見られます。昨日も事務所の前の用水路にはカルガモが6羽のひなを連れて来ていました。今日は巣立ちしたばかりの子ツバメたちが、電線に一列に止まって親鳥が運んでくるエサを求めてピーピーさえずる様子も見ることができました。日常の中に自然の営みを感じることができると、とても心が休まる気がしますね。


Meade LX90-20にて撮影

 こんな梅雨空の日々でも、時折見られる晴れた夜空は、空気の汚れがすっかり洗われて、とてもきれいな星空が見られます。梅雨が開ければ夏本番。この夏休みは、とても楽しみな天文現象があります。夏休みも終わりに近い8月28日の宵空で、全国で見られるのは6年半ぶりとなる皆既月食が見られます。詳しくはこちらのページで紹介しています。

 今年前半。太陽が沈んだ後の宵空で人目をひいていた金星。地球のすぐ内側をまわる金星までの距離は、光の早さで約3〜4分と、現在月の次に近い距離にいる星で、今月12日には最大光輝となります。この頃の金星を天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子を見ることができます。金星はこれから地球に急速に接近してくるため、望遠鏡でその姿を見ると日に日に大きさや形が変わるのがわかります。今月下旬からは日に日に宵空での光度を下げて行きます。是非その変化をあなたの目で確かめてみてください。

 金星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。内惑星は地球からの見かけ上、太陽に近いところに見えることが多く、夕方と明け方のわずかな時間しか見ることができない非常に見つけにくい惑星ですが、金星が夜9時過ぎになっても沈まないのは、4〜7月ごろに宵の明星として西の空に見られる時だけで、今年はその意味で非常に珍しい年と言えます。


望遠鏡で見た昼間の金星
望遠鏡でみるとこのように月のように満ち欠けしているのがわかります

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→キンセイを選択

 金星が見つかったら、そのすぐ近くにもうひとつ、おとなしく黄色っぽく輝く星が見つかるはずです。この星が土星です。土星までの距離は光の速さで約80分かかります。土星を望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。

 夕焼けが終わり、金星が西の空に低くなる午後9時ごろの7月10日ごろの星空のようす見ると、西の空にはまだ春の星座たちが見えています。北西の空を見ると、暗い星が多い春の星座の中ではとても目立つ北斗七星があります。北斗七星はおおぐま座という星座の一部です。おおぐま座にも、2003の4月のこのページで紹介したM81・M82をはじめとして、小望遠鏡でも見ることができる銀河がたくさんあります。これらの銀河は、地球から約2000万光年も離れています。是非宇宙を延々と旅してきた星たちの光を、あなたの目で確かめてみてください。

 北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、また、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルス(89光年)・おとめ座スピカ(270光年)へと続く春の大曲線の一部としても使われます。その途中、春の大曲線の内側にあるりょうけん座という小さな星座には、2005年6月のこのページで紹介したM3という球状星団があります。

20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→ドセイを選択

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→モクセイを選択

 スピカからそのままこんどは目を南の空に向けると、金色にひときわ明るく輝いている星が見えます。この星が木星です。木星は5月5日に「衝」を迎え、今が最も良く見える時期です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

 木星のすぐ下には、赤く不気味に光るさそり座アンタレス(550光年)も見つかるはずです。アンタレスから、地平線に向かって釣り針のような形に星が連なっていて、その先には2002年6月のこのページで紹介したM6M7等の明るい星雲星団が集まっています。この付近が私たちの銀河系の中心方向で、空のきれいなところにいくと、ここから天の川が空の高いところに立ち上っているのを見ることができるはずです。

 今度はさそり座から、その天の川に沿って空の高いところに視線を移すと、明るい3つの1等星でできた大きな三角形が見つかるはずです。いちばん高いところの星がこと座ベガ(25光年)・南の星がわし座のアルタイル(17光年)・少しおとなしく光る北の星がはくちょう座デネブ(2000光年)で。これが「夏の大三角」です。7月7日といえばたなばたですね。ベガはたなばた伝説の織り姫星・アルタイルは彦星だと言われています。

 その夏の大三角やさそり座よりずっと空の高いところに、3等星でできたアルファベットの「H」の形の星の連なりを見つけることができます。これがヘルクレス座で、この中には2005年6月のこのページで紹介したM13と呼ばれる球状星団があります。

 夜も更けて午前2時ごろになると、東の空に不気味に赤く光る星が見えてきます。これが火星です。今月の火星までの距離は、光の早さで約12分と、現在月・金星の次に近い距離にいる星です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、2003年8月の大接近のことは記憶にある方も多いのではないでしょうか。現在火星は、地球から最も離れたところを通過した直後で、これからゆっくりと地球との距離を狭めていきます。そして今年12月に再び地球に接近をします。今回の接近は2003年ほどの大接近にはなりませんが、小望遠鏡でも十分に表面の模様を見ることができます。火星は私達の地球と良く似た惑星として、近年探査機が頻繁に向かっている注目の惑星です。いつか人類が立つかもしれない火星の様子を、いち早く自分の目で確かめてみませんか?。

Meade LX200-25で撮影した火星

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