星空案内はこちらのページと一緒にお読みください

 気温の寒暖の激しかった今年の5月。全国的にはお天気の良い日が多く、すっきりとした夜空にたくさんの星を見ることができましたね。そして、いよいよ6月。一日ごとの太陽が昇っている時間が最も長い月。その中でも夏至と呼ばれる日がいちばん昼間が長くなります。今年は21日が夏至にあたり、この日は東京では4時25分に日が昇り、19時00分に日が沈みますから、実に14時間35分も昼間の時間があります。6月中の日の出・日の入りの時間はほとんどかわりません。

 夜空が曇りの日は、地上の風景にも目を向けてみましょう。この事務所のまわりは比較的自然が多く、野鳥も多く生息しています。水の張られたたんぼにはすでに田植えもおわり、その中でエサをついばむしらさぎの姿を見ることができます。この付近には「チュウサギ」と「コサギ」が多く生息していて、このコーナーでも時折その姿を紹介していますが、ときおりちょっと変わったさぎもやってきます。写真は「アマサギ」です。頭から首にかけての亜麻色の毛からこの名前がついているのですが、この時期、アマサギたちも恋の季節を迎えています。それは、そのクチバシの色でわかるのだそうです。この写真のアマサギも、クチバシがピンク色をしていていますね。

 さて、夜空の方はなかなかすっきりしない日が続きますが、それでもたまに見られる晴れ間には、大気の汚れが洗い流されて、とてもきれいな星が見えるときがあります。5月中旬まで夕方の西の空でひときわ明るく輝いている金星。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、もうすでに夕方の空にはみることはできなくなっています。現在、金星は地球のすぐ内側まできていて、太陽と接近しているため肉眼でみることはできません。そして、6月8日には、122年ぶりの太陽面通過という現象が起こります。

 太陽面通過(日面通過)は、地球の内側をまわる内惑星が、地球と太陽との間に入り込み、地球からの見かけ上、太陽面に黒い丸として見られる現象で、確率的に非常に珍しい現象です。昨年5月には、水星の太陽面通過が日本で見られました。右の画像はその時の様子です。水星は大きさも小さく、地球からの距離も金星より遠いため、この画像のように小さく見えますが、金星はもっと近いところを通過していきますから、肉眼でも確認できるほど大きな丸として見ることができます。この機会に是非その現象をあなたの目で確かめてみてください。

 その金星が輝いていた宵の空には、金星の変わりに金色に輝く惑星を見ることができます。6月10日ごろの星空のようすを見ると、おとなしめに輝く春の星座の中で、西の空の高いところにひときわ明るく金色に輝く星を見つけることができます。これが木星です。木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあります。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。

 一方、北の空を見ると、おとなしめの春の星座のなかでは特に目立つ北斗七星がみえます。北斗七星は星座ではなくおおぐま座という星座の一部になります。おおぐま座は全天で3番目に面積の広い大きな星座で、たくさんの銀河が点在しています。特に昨年4月のこのコーナーで紹介したM81・82は小望遠鏡でも楽しめる天体です。また北斗七星は、北極星をさがす目印にもされますし、柄の部分のカーブをそのまま延ばして、春の星の中で最も明るいうしかい座アークトゥルスおとめ座スピカへと続く春の大曲線の一部としても使われます。

20cmクラスの望遠鏡で見た木星
デジタルカメラで撮影

Meade オートスターでの導入方法

タイヨウケイ→モクセイを選択


ヘルクレス座の球状星団M13のシミュレーション画像
20cmクラスの望遠鏡で見るとこのように見えます
6cmクラスの望遠鏡では、ぼーっとした光のしみのように見えます

Meade オートスターでの導入方法

テンタイ→セイウン/セイダン→メシエテンタイ→
「13」をキーパッドから入力

一般の赤道儀式での導入方法はこちら

 一方、東の空にはもう夏の星座が見えています。空の中ほどに、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ・わし座のアルタイルはくちょう座デネブで作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。また、南の空にはさそり座の姿も見えています。

 その夏の大三角やさそり座よりずっと空の高いところに、3等星でできたアルファベットの「H」の形の星の連なりを見つけることができます。これがヘルクレス座で、この中にはM13と呼ばれる球状星団があります。地球から23,500光年の距離にある天の川銀河(私たちの銀河系)の中の天体で、球状星団という名前の通り星がボール状に集まったもので、年老いた星がお互いのエネルギーをもとめて集まってきている様子と考えられています。天の川銀河の外側を取り巻くように存在する天体で、いまだに謎の多い天体のひとつです。

 M13の他にも、一昨年5月のこのコーナーで取り上げたりょうけん座のM3や、いて座のM22、日本からは低空に見つけにくいですが、ケンタウルス座のω(オメガ)星団などが、良く知られた球状星団です。これらの星雲や星団は、肉眼では見ることができないため、見つけるのが難しいものです。でも、天体自動導入望遠鏡なら、天体の名前を入力するだけで見つけることができます。

 このコーナーで紹介している星雲星団や、土星の輪・木星の衛星や縞模様などは、口径6cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径6cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

 また、2001年に8月に発見されたNEAT彗星(C/2001Q4)と、2002年10月に発見されたLINEAR彗星(C/2002T7)、そして4月10日に新たに発見されたBradfield彗星(C/2004F4)が、今天文マニアの注目を集めています。6月5日現在、NEAT彗星(C/2001Q4)とLINEAR彗星(C/2002T7))は、夕方の西の空で見えています。詳しくは、こちらのページにまとめましたので、是非ご覧ください。

(写真:6月4日に撮影したNEAT彗星 (C/2001 Q4))

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