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 早くも1月が過ぎてしまいました。今年は全国的に暖冬で、地球温暖化の影響とも言われています。そのためか、例年強く吹く大陸からの季節風が弱く、太平洋側でもあまり晴天が長く続きません。その代わり、普段冬の天気の芳しくない日本海側でも、きれいな星空が見られる日が多くなっています。

 この冬の宵空では、太陽が沈んだ後の南西の空に宵の明星金星が輝いています。今月の金星までの距離は光の速さで約8分で、太陽の向こう側を周って少しずつ地球に接近してきているところです。今年の春まで、宵の明星として見ることができます。
 水星と金星は地球より内側をまわっているので内惑星と呼ばれています。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、見かけの大きさと明るさが変化します。その様子はこちらのページで解説しています。

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天体望遠鏡で見た
昼間の金星
 その金星が西の空に沈み、夜も深まる午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空には、まだ秋の星座のアンドロメダ座が見えています。アンドロメダ座には、10月のこのページで紹介したアンドロメダ大銀河M31NGC8912006年10月のこのページで紹介した二重星アルマク2008年10月のこのページNGC752など、双眼鏡や望遠鏡で見て楽しい天体がたくさんあります。

 そのアンドロメダ座の北側には小学校の教科書にも載っているカシオペヤ座があります。アンドロメダは、ギリシャ神話のカシオペヤの娘で、父はカシオペヤの西となりにいるケフェウス・夫となったのが東隣のペルセウス・・・という具合に、この季節の星座たちはひとつの神話でつながっています。もし興味のある方は、図書館やインターネットで調べてみてはいかがでしょう。

 そのペルセウス座とカシオペヤ座の中間付近を見ると、空のきれいなところであれば天の川の中に肉眼でもなにやらぼーっとした光のしみのようなものを見つけることができます。これが昨年11月のこのページで紹介した二重星団です。

 さらに天頂から南の空に目を転じると、明るい星が多くとてもにぎやかな冬の星座たちを見ることができます。北よりの高いところに見えるのがぎょしゃ座カペラ(42光年)です。ぎょしゃ座には、昨年12月のこのページで紹介したで紹介したM36・37・38の3つの散開星団があります。

 ぎょしゃ座の南にはおうし座があります。おうし座の一等星アルデバラン(65光年)の付近は、ヒアデス星団という散開星団Mel25の一部で、この付近を双眼鏡で見てみると、40個程度の星が広く散らばっているのを見ることができます。さらに、もう少し空の高いところにある数個の星がごちゃごちゃっと集まって見えるところが「すばる」ことプレアデス星団M45です。双眼鏡で見てみると、いろいろな明るさの100個くらいの星が群れを成しているのがわかります。


50倍くらいの望遠鏡で見たM35

セレストロン Nexstar+での導入方法
「3」(Deep Sky)キー→メシエ
→「035」をキーパッドから入力

Sky-watcher Gotoドブソニアンでの導入方法
「4」(メシエ)キー→
→「035」をキーパッドから入力

Meade オートスターでの導入方法
Deep Sky→
Messier Object→
キーで「35」を入力

双眼鏡や天体自動導入機の無い望遠鏡での見つけ方はこちらのページ

 すばるやヒアデス星団より少し低いところには、冬の星座の代表オリオン座ベテルギウス(310光年)・全天で最も明るい恒星のシリウス(8.7光年)のあるおおいぬ座・そしてこいぬ座プロキオン(11.2光年)が冬の大三角を形作っています。おおいぬ座には、2014年の2月のこのページで紹介した散開星団M41があります。また、シリウスから東に行った天の川の中には、先月のこのページで紹介したとも座の散開星団M46M47があります。
 冬の大三角の北には、ふたご座ポルックス(52光年)とカストル(32光年)も見えています。このふたごは、ギリシャ神話では大神ゼウスとスパルタ王妃レダとの間に生まれた双子の兄弟と言われています。

 そのふたご座のお兄さんのカストルの足もとに、M35という散開星団があります。地球からの距離は2570光年と比較的遠い星団ですが、いろいろな明るさの星がたくさん集まって、双眼鏡でもでも、とてもきれいに見える星団です。

 一方、冬の大三角をふたご座と反対にずっと南にいった、水平線ギリギリに見えるカノープスという星をご存知でしょうか?。全天で最も明るいおおいぬ座のシリウス(-1.6等星)に次いで2番目に明るい-0.7等星で、地球からの距離は310光年。シリウスは8.7光年とかなり近い星なので、それと比較するとカノープスは絶対等級(実際の星の明るさ)は-5.48MV(シリウスは+1.47MV)と、とても明るく質量の大きな星です。
 ここまで書くと、ただの明るい星じゃん?という感じですが、この星はりゅうこつ座という日本からはほとんど見えない星座にあるため、実は見るのがとても難しい星です。理論上は東北以北ではまったく見ることができず、関東では南の空が水平線近くまで開けている場所で、なおかつ透明度が良い日でなければ見ることができないのです。


清里高原(山梨県)で撮影した
富士山と
冬の大三角とカノープス
18〜200mmズームレンズ18mmF3.5

APS-Cミラーレスカメラ
4秒露出×120枚 20分間比較明合成

 カノープスは、中国南部などの道教の地域では、「南極老人星」と呼ばれています。水平線から赤みがかった色でよろよろと昇ってくるように見られることや、見られる時期と時間が限られていることから、このような神格された名前が付けられているようです。この星が見られると長生きできるなどという言い伝えもあるそうです。

 左の写真は、八ヶ岳山麓の高原で撮影したカノープスです。この日は空気が乾燥していて、地平線近くまで透明度が高かったのでとてもよく写っていますが、この場所でも大気の状態が悪いとなかなか見つけることができません。緯度が低い四国や南九州・沖縄地方なら、もっと簡単に見つかります。

 カノープスを見るには、最も高い位置に来る南中の前後に探す必要があります。2月中旬なら、関東では夜9時・大阪では20分後・福岡では40分後に南中します。オリオン座やおおいぬ座からカノープスを見つけるためのチャートがこちらにあります。是非皆さんもカノープスをご自身の目で探してみてください。

 冬の間は日の出の時間が遅いので、朝起きたときはまだ真っ暗という方も多いことでしょう。そんなとき、ちょっと着込んで外に出て東の空を見上げると、鈍く赤く光る火星を見ることができます。その火星のすぐ横にももうひとつ、同じくらいの明るさの赤い星があります。この星がさそり座アンタレスです。

 アンタレスとは、アラビア語で「アレスの敵」という意味があります。アレスは、ギリシャ神話の戦争の神。ギリシャ神話の語り継がれた地方では、火星はこの戦争の神の象徴であると考えられていて、アンタレスと火星が接近すると、戦争が起きると言われていました。そのギリシャ神話の作られた場所・・・現在のイラン・・・やはり、何かを象徴しているのでしょうか。


東京での2月中旬の朝5:30ごろの南東の空の様子
アンタレスと火星がまるで赤さを競うかのように並んでいます
 今月の火星までの距離は光の速さで約15分で、10月6日の再接近に向けて、ゆっくりと地球に近づいています。是非この機会に火星を観察して、日に日に大きくなる火星の様子をご自身の目で確かめてみてください。

 火星は地球のすぐ外側をまわる惑星ですが、約2年2ヶ月ごとに地球に接近します。しかし、接近ごとにその距離が異なります。その理由は、火星の軌道が真円ではなくちょっとゆがんだ楕円をしているためです。地球軌道と火星軌道が離れている2月ごろに接近するときには小接近になりますが、軌道が接近している8月ごろに接近するときには大接近になるのです。


Meade LX200-25で撮影した火星

 その火星より少し低いところには木星も見えています。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。
 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星はその明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影
 このページで紹介している星雲星団や惑星の様子は、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

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